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―― レイスとキリルの家 ――
[いつの間にか、もう月が出ていた。
ため息をつく。また、女の子を訪問すべき時間ではなくなっていた]
[細く開かれた扉。向こうにキリルが見えて頬がゆるんだ]
ごめん。迷惑だったかな。
どうしても――どうしても会いたくなって。
キリル、俺が怖かったらそのままでいいよ。
でも昨日、また毎日話をするよっていったのに、今日出来なかったから。
[背後に何かの気配を感じた。
それがレイスだとは気がつかず、ちらりと後ろを振り返る。
そちらはちょうど暗くてよく分からなかった。首を振る]
歩けるって言っても痛むだろう?
カーチャの怪我が悪化でもしたらと思うと心配だ。
それに、この方がきっとはやい。
[カチューシャが慌てて言えど
男は彼女を下ろそうとはせず
抱き上げたまますたすたと歩みだす。
流れる景色よりも花色が映すのは揺れる金糸。
カチューシャの家に辿りつけば玄関で彼女を下ろし]
用事、済ませておいで。
いそがなくていいからね。
[言葉を添えて、中へと促す]
[いつもなら何も気にせず、そのまま声を掛けていたことだろう。からかいの言葉一つ投げたかもしれない。
けれども赤い月は今日も昇る。]
…… まさか、な。
[嫌な想像が過ぎり、声を掛けるのを躊躇った。
振り返った視線から逃れる様に、少し移動する。丁度近くの木の影に隠れる形になった。
キリルの側からは見えたかも知れないが。]
レイスは、 イヴァン を投票先に選びました。
― →墓地 ―
[辿り着いた墓地で、夫と子の元にひざを付く。
キリルに言った言葉は本心からだ。
さっきまでのことを思い出して、暖かい気持ちになるのも]
でも、あなたたちはいないのよね。
[褒められたとか、お礼の言葉とか。
そういうのを聞いても、一度思い出した感情は消えない]
死んだら、会えるのかしらねぇ…
でも、怒られるのは嫌だし。
[呟きつつ、ネックレスをはずす。通した形見の二つはそこに置いて]
─ 自宅 ─
……ん。
[扉の向こう、見えたのはやっぱり大好きな笑顔。
迷惑と言われてふるり、と首を横に振った。
どう伝えたら良いのだろう。また少し泣きそうになる]
ボクも…、会いたかった。会いたかったの。
[それでも中に招き入れることはしない。
境のように扉を立てる向こう、人影が見えた。
既に暗くなりはじめる道の向こうではあったけれども]
────…?
[兄貴。と、イヴァンの肩越しに声をかけようとした。
けれど隠れるように影が移動をするのに、困惑して口を閉ざす。
少し、声を掛けるのを躊躇った]
/*
とりあえず投票してみたりしつつしつつ。
でもこれ通っちゃうとキリング僕になりそな予感。が。
と言って他の人を殺れる気は微塵もしなかった。
痛い、のはいたい、けど、我慢できないほどでは……
[心配してくれる気持ちを否定はしたくないし、実際運ばれるほうが早いのは確実だけど。
それでもしっかりとした腕の中で運ばれる恥ずかしさはなんとも言いがたくて。
赤く染まった顔を隠すようにちょっとでも俯こうと無駄な努力をしていた]
――ありがとう。
直に済ませるから、ちょっと待っててください。
[玄関でおろされて、急がなくて良いといわれても恥ずかしいからつい早足で歩く。
とはいえ痛みで直にひょこ、と立ち止まるけれど。
それでもなんとか用事を済ませた。
手にしたのは一つの袋。
中には着替えとキリルにサンドイッチの秘訣を教えてといわれて思いついた調味料の小瓶]
……っ、おまたせ、しました。
[ぱたぱたと、動き回ったせいで、かさぶたになりかけていた傷がまたすこし開いた]
―広場―
[日が沈めば、茂みの奥のミハイルが灯りを使えば見えるだろうか。
広場へと戻ってくるようならそれを見詰め。
誰か別の人が来ればそちらへと目を向けるが]
/*
死亡フラグが乱立しすぎだなwwww
カチューシャに責められるまでは死ねない気が する。
ってことは明日か、明日なのかね!!!
あれ、それじゃあ今日はどうするんだい。どうしようww
―― レイスとキリルの家 ――
あぁ。そう言ってもらえて良かった……!
[遮られるように立てられたままの扉。
疑われたり恐れられたりするのは当たり前で、こうして合って貰っているだけで感謝すべきだ。分かってる。でもどうしようもなく不安だったから]
中にレイ兄はいる?
[その在不在を確認したかったのは、中で一人よりは中に彼がいた方が安全なんじゃないかと思ったから。彼とはふるい付き合いだが、キリルと恋仲になってから何となく後ろめたい思いを持っていた]
あのさ。今日、その、シーマの件があったから。
だから、
[扉で遮られて彼女の視線の先は分からない。
背後の気配に落ち着かなくて時折挙動不審に振り向くけれど、それは森の中で感じた幻想と同じなのかもしれない]
人狼がいるってこと、怖がってるんじゃないかなって。例えば、俺とか。
生きるために──…
誰かを犠牲に。
[嗚呼。くらりと眩暈がする。
でももう少し。今はまだ呑み込まれるわけにはいかない]
…────、今日は誰にしようかな…。
[最後は密やかに、冷酷な獣の気配が滲んで嗤った]
[抱き上げている間は俯く彼女の口許がちらと見えるくらいか。
玄関で待つ間、考え事をするように視線を足元へと向ける。
声が掛かり、戻ってきたカチューシャを見遣れば
開いた傷口から赤が一筋の線を描こうとしていた]
急がなくていいっていったのに。
困ったこだね。
[彼女に向けることは柔い響き]
キリルやロランの言葉ならキミは素直にきくのかな。
[小さく呟き、なんでもないというように首を左右に振る。
袋を手にした彼女に歩み寄り
先ほどと同じように抱き上げようと手を伸ばした]
―森―
[薄暗くなり始めた頃には、ランタンに火を入れた。
普段ならば鳥の鳴き声くらいは聞こえるのに、今日は耳にしていないように思う。]
結局、今日は何もみつかんなかったな…。
[未だ銃を構えたまま、広場の方へと戻ろうとして、ハタと足を止めた。]
あ、…篝火。
……は、もう要らねぇ、か。
[マクシームは篝火のある広場横で殺された。
篝火には何の意味も無かった、ということだ。]
─ 自宅 ─
…ごめんね、イヴァン。
[大きく安堵の息を零すのに、彼の裡の怖れを知る。
それが申し訳なくて、ボクは僅かに眉を下げた。
問われるのに、再び首を横に振る]
ううん、まだ誰も。
今夜はカチューシャも泊まりに来る予定なんだけれど。
だから今は、……だい、じょうぶ。
[戸口で話をしているのを気にしたかと、付け加えた。
木の陰に隠れた兄の姿は見えていたけれど。
気遣ってくれているのかと、声立てるのを抑える]
ボクが、イヴァンを…?
[意外な言葉を聞いた。とばかりに、瞬いた。
目を見張り、緩く首を横に振る]
……ごめんなさい。
早く戻ってきたかったから……
[柔らかい声で告げられる言葉に、しゅんと俯いた。
さきほどまで傷を意識していなかったから、血がまた流れている事に気づいて心配させてしまったのだと理解する。
キリルとロランの名前に首をかしげ]
ユーリーさん?
[不思議そうに問いかけた。
小さな呟きはちゃんとは聞き取れなくて、何を言ったのか考えていたから彼の行動への反応が遅れた]
ひゃっ! っ、ま、また……?
[抱き上げられて、近い位置にある顔を見上げ。
羞恥をうったえるように、含羞を含んだ瞳で睨む]
…イヴァンが、今は目の前に。
兄貴もすぐ、傍にいる、から。
────…辛い。
[扉を押さえる手に、力を篭める。
今はと抑える理性と紅い月に呼び覚まされる本能と。
波のように打ち寄せる二つに抗うように、木の扉をきつく掴む]
― 広場 ―
[空を見上げつつ、広場へと向かう。だから足元はあぶなっかしく、
時折躓きかけたりもした。
やがて辿り着いたそこには篝火はなく
暗い森には明かりが一つ、ゆらめいている]
ロラン、まだ、外に居たの。
そろそろ夜だから、ちゃんと鍵しめておかないと。
[広場の影に、まずはそんな風に声をかけた]
…ねえ、イヴァン。
本当に人狼は、いるのだと思う?
本当に村の中にいるのだと思う?
だとしたら誰だと思う?
ボクは──…、
[一つの名、告げかけて躊躇い、]
………ボクが人狼なら、イヴァンはどうする…?
[きつく木の扉を掴んだまま、問い掛けた。
───月が、紅い]
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