─玉泉への道─
……。大丈夫。
僕は、大丈夫、だよ。
[僕の頭に細工師さんの手が乗せられます>>143。叩かれる訳ではなく、ただ乗せられました。
きっと心配を掛けてしまっているのでしょう。
でも、今本当に心配されるべきなのは、僕じゃありませんでした。
だから僕は懸命に言葉を紡いで、それから顔を上げます]
……。
[何か言うように口を動かした奥さん>>137の近くに、僕は歩み寄ります。
何を言っていいのかは分からなくて、細工師さんと繋がれていない方の手を、両方の手で包みこむように握ります。
それで血の汚れが移ってしまっても、僕は構いませんでした。
振り払われるようなことがなくても、短い時間の後には手を離して、それから宿屋に戻る彼らの後に続きます]