人狼物語 ─幻夢─

80 夜天銀月


織子 カルメン

─ 厨房 ─

[自分や先に食べていた者達の食器を洗い終えて。水仕事で赤くなった手をジッと見つめる。
小さな、非力な手だ。
糸や布を操るしか能の無い、ただの人間の、手。]

 敵いっこない……。

[もし、本当に人狼が居たならば。自分などひとたまりもないだろう。
──でも、人間相手なら?
足は自然と、調理器具を置いてある棚に向かい。]

 …………。

[引き出しを開け、小ぶりな、柄に薔薇の模様が入ったパーリングナイフを取り出す。
昨日、クロエと二人で野菜の皮剥きをした時>>1:174に、「模様が綺麗だから、これがいい……」と言って自分が使った物だ。

人差し指と親指でLの字を作って刃に当てると、同じくらいの長さ。あまり長くても自分には扱いにくいし、このくらいがちょうど良いだろう。
布巾を刃に巻き、ワンピースの腰紐に差した。上着の下になって、きっと見えないはず。]

(333) 2013/01/11(Fri) 19:16:10

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