……ってと。
んじゃ、『コレ』は、もらうよ?
『取り決め』のとおりに。
[倒れた女主人には、まだ域がったかどうか。
確かめもせずに言い放ちつつ、手にした刃をその胸元へと突き入れる。
通常であれば、身体を構築する様々なものに阻まれて、容易くそこまでは届かぬであろう刃は、尋常ならざる力を持ってその抵抗を退け、しろの奥に秘された紅を──鼓動の源を、抉り取った]
こうされるのが、アンタの……『宴の始まりに饗されるもの』の、『役回り』なんでしょ?
[紅を抉り出す刹那、びくん、と身を震わせた女主人に向ける囁き声は、甘やかとすら思える響きを帯びる。
常ならば、虚飾の睦言紡ぐ声は、今は『鬼』の囁きを織り成すもの]