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イェニー?
どうかしたの?
[問うてみるも、カナリアが返事をするはずもなく。
首を傾げながらもヘンリエッタは夜着から赤いケープのついたワンピースへと着替えた。
勿論、銀と赤を首から提げるのも忘れない]
─ →廊下 ─
[朝起きて先ずすることは、父への朝のご挨拶。
身嗜みを整えて廊下に出たのは、靴音がしてからだいぶ経ってからのことだった]
……???
[廊下に出ると、どことなく屋敷の中がざわついている。
バタバタと使用人が走っているらしい音も響いていた]
なに…?
[不安を煽る音。
嫌な予感を漂わせる雰囲気。
ヘンリエッタは怖くなって、同じ階にある父の部屋へと駆け出した]
─ →父の寝室前 ─
[最初は自室にも近い書斎へと駆け込んだ。
けれど扉には鍵がかかっており、中に父が居る様子はなくて。
それなら、と更に屋敷の奥にある父の寝室へと駆けて行く。
ユージーン>>37とは入れ違いとなったらしく、顔を合わせることはなかった]
お父様……、…!?
[父の寝室へと近付いて初めて気付く、嗅ぎ慣れない匂い。
駆けていた足がピタリと止まった]
[扉はまだ遠い。
けれど開け放たれたその場所から垣間見える、赤いいろ。
普段好んで身に付けている色と似ているようで全く違うそれ]
や………
おと…さま おか…さま
[1年前の、封じていたはずの記憶が蘇る。
ヘンリエッタは廊下で固まったまま、動けなくなっていた]
/*
火狐のセッティングやっと終わった…
急いで追いつかないとだわね。
頭数になれたら位で入ったとはいえ、動けてなさすぎて泣ける。
― 朝/客室 ―
[起床はいつもよりも遅い時間だった。
今は客人であるという事も理由であるし、昨夜遅くまで本を開いていた事も原因であろう。
家への土産は開封されないまま机の上にある。
点けっ放しだったランプを消し、カーテンを開くと]
ふむ、これなら――……?
[差し込む光の眩しさに細めた目は、そのまま訝しげなものを浮かべる。
吊り橋を渡る人影が幾つもあった。
同じような格好をした人間が、幾人も向こう岸へ]
……あれは、此処の使用人共ではないか。
そう言えば何やら騒がしい気がしたが……
[顎に手を当て、部屋の出入り口を振り返る。
今は殆ど物音も聞こえてこない。
少しして、そちらへ歩き出す]
― 朝/廊下 ―
[廊下に出、誰かしらの姿を探す。
程無く1人>>38を目に留めるのと、彼が窓を開け放つのは殆ど同じタイミングだった]
おい、何が、
[問い掛けの声は続いた叫び声にかき消されるか。
急ぎ足でそちらに向かい、背後に立つ。
と同時に見えたのは]
……、!?
[炎の色。
認識した一瞬後、目を僅かに見開いた]
[先程まで、確かにそこには吊り橋があった。
今橋の先にいる使用人たちが渡るのを、この目で見ていた。
某メイドの悪戯>>27以来、輪をかけて不得手になった吊り橋は、それでも唯一の連絡手段である事には変わりない。
それが無くなったという事は、つまり]
……おい。
[言葉を失っていた時間は短い。
目の前の背中>>39に声を掛け、その肩に手を乗せた]
何が起こっている。
[ユージーンがそれで振り返るならば、そちらに向ける表情には隠しきれない困惑と苛立ちが乗る]
/*
橋を落とすタイミングって早目がいいかな、と思って落としたわけですが。
(落とさないと停滞するし)
いっぺん、きっちりこの描写をやってみたかったんだ、実は。
なんとなく、さくっと墓に行きそうな気がするし(
それにしても、狼誰だろ?
少し気配がするのはネリーなんだけど、もうちょっと確信できるところが欲しいなぁ。
― 翌朝・館外 ―
[その日は早朝、何時頃からかは自分もよく覚えていないが、目が覚めると外に出て仕事放棄していた。理由はいろいろあるが、何となくサボりたい気分だった、というのが一番だった。
メイド長にバレたら大目玉だろうが、そこはそれ何とか言い訳を考えながら、一人でふらりと崖の上を彷徨った。何時も通りの生活をしていれば、異変にはいち早く気づけたかもしれない。]
あれ?
[騒がしさに気づいた時には、時既に遅し。]
[何が起こったのかは解からないが、何かが起こったのは解かった。そんな、何時もとは違う慌しさに、緑の瞳はゆっくり細まる。スカートの下にある、ナイフの位置だけは無意識に確認していた。
館へは戻らずに、真っ直ぐ向かうのは一番慌しい音のする場所。]
んなっ。
[とはいえ橋が燃えた、丁度その時を目の当たりにすれば、細まった瞳はまあるく開く。]
おいおい後先考えてねーわねこれ。
[舌打ちこそしなかったが、呆れたように呟いた。これではこの崖からは出られない。]
/*
子供をやるとどうしても動きが受動になるのが難点だぬ。
スレた子供だったら能動的にも動けるんだろうけども。
ところでいつヘンリエッタに自覚させようか(
いっそ自覚させないのも手かなー。
人格統合型は前にもやったし。
[音を立てながら燃える橋の向こうに、料理長の姿が見えた。誰かを探すように叫ぶような口格好で、どうやら名前を呼んでいるようだった。
その目が遠く、崖のこちら側の自分と合うと、表情はすぐさま変わっていった。人は絶望するとこんな風に表情が変わるのかと、他人事のように遠くから眺めていた。]
あんな普段出さないような声出しちゃって。
(聞こえないけど)
[溜息ひとつ。
未だ何が起こったのか要領得ていないが、事態はえらく深刻だった。
そして炎の向こう側へ逃げ延びた人へ、ひらひらと手を振った。]
ばいばーい。
[そう口を動かして、くるりと背を向けると館へ戻る。
もうここに居ても失うばかりで、得られる物は何もなかったから。]
─ 回想・前日 ─
[食堂に入り、用意された席につく。
先に席についていた面々に笑みと会釈を向けたところで、ふと一人の男性に視線が止まる。
>>1:82返された笑みはどこかで見覚えがあるようなと記憶を辿り、以前自分の店の顧客から紹介された画家だと気付いた。
彼の描く風景画にいたく感銘を受けたのだと熱く語られ、その時拝見した風景画のイメージでドレスを作ってほしいという依頼も受けて。
ドレス自体はマーメイドラインのシンプルなデザインにしたものの、碧から翠へと変わる繊細な色合いを出す為の染色に苦労したから覚えているが、彼にとってはたった一度会った相手だから記憶に残っていないかもしれない。
だから、ではないがこちらから声はかけることなく。
聞こえる会話にも、笑みを零しはするものの口は挟まなかった。
食事を終えて、食後のお茶を頂いて解散の空気になると自分も席を立ちネリーに声をかけ]
お仕事増やしてしまって悪かったわね、ご馳走様。
料理長にも美味しかったとお礼を伝えておいて下さる?
─ 回想・前日 ─
[微笑みと共に首を傾げて。
>>1:70アーヴァインからの返事はここで聞けただろうか。
ここで聞けずとも部屋に戻ったところで使用人から言伝が届いただろう。
部屋からトランクをひとつ持ち出すと、そのままアーヴァインの私室に向かい]
グレイヴスさん、お久しぶり。
手紙で頼まれたもの、持ってきたわよ。
[こつりと扉を叩き、声をかけ。
返答を確認してから中に入ると、トランクを広げて2着の服を取り出した。
一着は目の前の男性に合わせて作った深紅のドレススーツ。
もう一着は、パフスリーブで裾がふんわり広がる真紅のドレス。
二着ともに同じ白のレースをアクセントに使っていて、よく見れば揃いだと分かるデザインで]
どう?
今回の服もお気に召して頂けたかしら。
─ 回想・前日 ─
[悪戯な笑みと共に問いかけると、不器用な笑顔で肯定を返されて。
娘も気に入ってくれるだろうと言う男性に、ありがとうと礼を言ってから]
気に入ってもらえたら良いんだけど。
ヘンリエッタちゃんには明日見てもらおうかしらね。
そう時間はかからないと思うけれど、今からだとちょっと夜更かしさせちゃうもの。
[大人の体は大きな変動が少ないが、子供はそうはいかない。
その為ヘンリエッタの服はいつも心持ち大きめに作っておいて、成長に合わせて裾や胴回りを詰め直している。
もう慣れたものではあるが、それでも多少の時間はつき合わせてしまうことになるからと笑って]
殿方の部屋にあまり長居するのも何だし、そろそろ失礼するわね。
お休みなさい、また明日。
[そういって微笑み、アーヴァインの部屋を後にした。
誰かに会えば柔らかな笑みを向けたが、話しかけられない限りは足を止めることなくネリーに案内された部屋へと戻り休んだ]
─ 回想 終了 ─
― 朝/廊下 ―
何……?
[返事>>48に、眉根がきつく寄せられる。
相手の肩が跳ねた時に離れた手は、中途半端な位置で浮いたまま。
まるで睨みつけるようにしたまま沈黙し、やがて]
性質の悪い冗談……では無さそうだな。
[僅かに息を吐き、外した視線は再び窓の外へ]
……でなければ、アーヴァイン殿があれを止めぬのは可笑しい。
[落ちた橋の先には未だ幾人かの影がある。
腕を組み、目を一度傍らの人へと戻して]
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