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[未だ危機感は覚えていない。
けれど無意識のうち護る為の力はヒューゴへと向く]
…………。
[『蝕』の後に会っていないから。
家族のように扱ってくれるから。
頭に過る理由を連ねるあたり言い訳じみているけれど
誰にも知られぬのだからいいかと思う]
― 自宅 ―
[家に帰ったなら、やはり待っていたのは母親のお小言
心配させたのはわかっているから、大人しく話を聞いて]
うん、みんな、昨日のはなんかおかしい、って言ってたし……
危ないことはしない、って、約束だもん、ね。
[そう言って、自分の部屋へと
この先、もっと大きな騒ぎになるかも知れないなんて、わかっていても誰にも言わないだろうけれど**]
― テレーズ宅 ―
[そして、部屋で休んでいたテレーズは、そのまま夕刻になっても一向に目覚める気配が無く]
どうしちゃったんだろう?とにかく、ヒューゴ先生を呼ぼう。病気かもしれないから。
[慌てるテレーズの両親を、宥めて、主に力仕事の為に雇われている男に使いを頼む]
きっと大丈夫だよ、テレーズ姉さん、苦しそうには見えないもの。
[ただ深く深く、眠っているだけ、に見えた]
[宿屋の主人は無論アルビーネよりも背が高い。
だから彼の傍に居ても背丈が欲しいとは思わない。
思うのは、医師の実家で彼の母親の手伝いをしていた時。
ヒューゴが村を出ていた頃、
日中は医師であったその人は診療所にいて]
……ああ、だから、か。
[クレイグをみて身長が欲しいと思った切欠に思い当たる。
思い当たって今は必要ないのだと理解して]
…………そっか。
[何処かで寂しさを覚えながら納得する]
[宿屋にある自室でベッドに腰掛け本を開く。
新しい本の匂いも好きだと思う。
目次に目を通し、知りたい『蝕』記される場所を知るけれど
折角の本なのだから最初から楽しみたいと思ってしまい
何処かを読み飛ばすことなく初めの項目から目を通してゆく]
……ん。
これくらいなら明日には読み切れるかな。
[戻ってすぐに部屋に籠ってしまったから
村人たちが封じを受け、意識を失うを知るのはもう少し先のこと**]
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
俺は診るのが仕事だからな、代も貰うことだし礼は要らん。
湿布は夜寝る時と、後は剥がれてきたら新しいのに貼りなおせ。
痛みが増した時用に飲み薬も出しておくが、腫れや痛みが続くようなら俺を呼べ。
[仕事に戻ると診療所を出るソーヤを見送ってから、処方の説明をした薬を入れた袋をアルカに渡して同じように見送ろうとして。
彼女が元々持っていた袋を指差しながらかけられた言葉>>7に、あぁ、と頷いた]
朝飯にさせてもらうから大丈夫だ。
ありがとう。
[そう声を返してからアルカにも手を振り見送った後。
彼女のカルテに今の診断と処置を記入してから、茶を淹れてパンを一口齧った所で新たな来訪の声>>11が届いた。
とりあえず一口は飲み込んでからパンを置き]
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
構わん。入って来い。
[言いながら視線を扉に立つポラリスへと向けると、その手にある花に目がいった。
それが泉に咲いていた睡蓮だと気付くのと同時、彼女から切り出された話に面食らう。
つい先ほどソーヤ達と交わした話題のお陰で彼女が何を前提に話しているのかは解ったが、迎える順序が逆だったならより困惑したことだろう。
どの道、感情の起伏の薄い男がそれを表面に出すことは無く]
ポラリス。
まず、呼吸を整えろ。
その間に茶を淹れるから、飲んでからもう一度話せ。
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
[昨日村の老人達にしたように、肯定も否定もせず話を聞く態勢を取る。
男にとって村の逸話などは迷信という認識だが、だから有り得ないと切り捨てもしない。
実際動植物は変化が起きていると聞いていたし、より詳細を知っていそうな者から話を聞くのは、自分にとってはむしろ自然だ。
睡蓮が手折られたというなら犯人は誰かも気にかかる。
傍目にも不安や焦りに駆られているポラリスが犯人とも思えず、心当たりの有無も含めて筋道立てて話せるようにと促したのだが]
…どうした?
[途切れた言葉と、その表情>>12に。
何か自分には解らない変化が起きたのかと、眉を寄せて問いかけた**]
─自宅─
[ゆっくりとした歩みで自宅に戻り、すぐに裏の厩へ回る]
アレッキオ、ちゃんとご飯食べたかな…
[脅かさないようにと思ったが、ガチャガチャと動く音が聞こえて
騾馬の姿をみる前に落胆した]
だめかー……どーしちゃったんだよお前。
[撫でようと伸ばす手すら噛みつこうとするのにさらに落胆して、
何も出来ずに柵に向かってうなだれた]
…………。
[俯き加減のまま、また騾馬の方へ手を伸ばす。
噛みつこうと敵意を剥き出しの顔の前に手のひらをかざし…
そのまま、数秒。
かざした手を下ろしたとき、騾馬から敵意が抜け
穏やかな光が瞳に戻っていた]
……………な、。
[俯いたまま、落ちた言葉は形を成してはいなかった]
い。
[言葉が切れた瞬間に身体から力が抜け、柵にしこたま額をぶつけた]
いったああ!
[なにが起きたのかさっぱりわからないがおでこが痛い。
ついでに言えば、なにやら生暖かくて湿った空気が顔に当たっている。
顔を上げれば、アレッキオがじーっとこちらを見ていた。
ついさっきまでの敵意は嘘だったのかと思うくらいいつもと同じ様子に、
額の痛みもふっとんでぽかんとした]
アレッキオ、おま………え?
えええええ???
[手を伸ばしても噛もうとしない。
首を撫でたら嬉しそうにしてる。
試しにそばに落ちていた飼い葉を差し出したら、もしゃもしゃ]
どーなってんの………………。
[狐につままれたような心地とは、こういうことか。
相棒が正気に戻ったのなら有り難い事だが、解せない]
ボク、疲れてるのかな……
[首を傾げながら、家の中へ**]
[医師を呼びに使いの者が出かけた後、眠り続けるテレーズの傍に付き添うその両親を残して、そっと家を抜け出した]
[ヒューゴとは出来れば顔を合わせたくなかった。数日前より更に顔色が悪い事はさすがに見透かされてしまうだろうから]
……もう少し落ち着くまでは、摘まない方がいい、かな。
[理由はないが、そんな気がしていた。
無理に引き離してはいけないような、そんな感覚。
それは、何か特別な力に由来するものではなく。
ずっと森に慣れ親しんでいたが故に感じる、森との共振のようなもの]
っても、どーすりゃ元に戻んだろ。
アルカが言ってたみたいに、明日になればー、ってんなら、ほんとに何の問題もないんだけど。
[そんな簡単な事じゃないかも知れない、と。
伝承について話した後だから、余計に迷ってしまって]
……とりあえず、戻るか……っと、その前に。
[村へと戻る前に、歩みを向けるのは、森の奥。
祭壇と泉がどうなっているのか、何となく気になったから、そちらへと向かい]
……え?
[ここまで踏み込むのは、毎日ではない。
ないけれど、いつも変わらぬ佇まいを見せるこの場所の様子は、忘れない。
だから、異変はすぐに目に入った]
……睡蓮が……ない?
なんで?
[いつもなら、静かに波紋を散らす水面に揺れる花はそこにはなく。
それが認識させるのは──明らかな、異変の訪れ]
これって……泉に寝てる何かが、起きてたりすんのかな。
……あれ、でも。
ここに寝てるのって、なんだっけ?
ウチ戻っても……多分、教えてくんないよなぁ。
[『泉に眠る』という言葉は祖父母、取り分け祖母が嫌うから、家人に問う事は諦めて]
後、細かく知ってそうなのって……。
[誰だろう、と思いつつ、一先ず泉の傍を離れる。
既に異変を見知っている者たちがいたとは知らないから、誰かに伝えないと、という思いと。
どうにも落ち着きない相棒の鳴き声に急かされて]
― 森 ―
[足が向くのは森の方。ヒューゴ以外の人と会うのもあまり嬉しくなかった...のに]
あ...
[見つけたのは、こちらが先か、それとも彼の相棒が気付いて報せる方が早かったか]
や...あ、ソーヤ。
[ソーヤは、もう森からは帰る途中だったろうか?いずれにしても、今は会いたくなかった候補ナンバー2の友人に、困ったような微笑を浮かべて、小さく手を振った]
─ 診療所 ─
[入って来いと言われて>>26、ほっとしてから診療所の中へ。
慌てて話した内容は理解するには足りなかったのだろう、呼吸を整えろ、と言われた。
言葉が途切れたのには訝しげにされた>>27が、相手が落ち着いているのが幸いして、先ずは深呼吸して呼吸を整える。
用意されたお茶に礼を言って、一口飲んで短く息を吐いた]
えっと……順番に、話すね。
昨日起きた『蝕』は見た?
私、あれを見てから気になることがあって調べものをしたの。
そしたら、『蝕』がある日は泉の『封』が不安定になるっていうのが分かって…。
そのことが分かったのは今日の朝だったから、急いで泉に様子を見に行ったの。
そしたら、この花が地面に落ちてたらしくて…。
泉も確認したけど、『封』は破られてたわ。
[そこまで言って、用意してもらったお茶をもう一度飲む。
視線は一度手に持ったままの睡蓮へ。
唇を引き締めてから、再びヒューゴへと視線を向けた]
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