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― 本屋 ―
[クレムがクレイグに掛ける言葉>>3を聞いて、そう言えば寝てなかった、と思った
多分、さっきすれ違ったアルビーネの相手をしていたからなんだと思うけれど、「変わったことが〜」と言う辺りで思わず笑いが零れてしまった]
クレムお兄ちゃんってば、それじゃクレイグお兄ちゃんが動物さんみたいだよー?
[くすくすと、それについて反論があったなら、多分クレイグのかたをもつだろうけれど
少し話をして、クレムが店を出るなら]
うん、またね、クレムお兄ちゃん。
無理はしたらだめなんだからね?
[と、やっぱり心配する言葉と共に見送って]
リィも、帰らないと……昨日の事があったからか、ママが心配してる、から。
[本屋に行くだけにしては遅くなった時間
だからきっと心配していると、それはクレイグには言わないけれど]
また、今度来たときに、お話聞かせてね。
[次の訪問の約束を、こっそりでもなく混ぜて本屋を後にした]
……みんな、昨日の事は普通じゃないって気が付いてるんだ……
[そう零したのは、近くに誰もいなくなった帰り道
だけど、どうすればいいかなんてわからないまま、家に帰った]
[盲目の彼女の感覚は、人よりも鋭敏で、しかも常日頃人一倍気にかけている弟同然の相手の変化に気付かぬ筈もなかった]
そうか...テレーズ姉さんはやっぱりごまかせないよね。
[思いつくのは、先刻頭に浮かんだ考え]
ごめんね、これ以上貴女に心配をかけるのも...嫌なんだ。だから...
うん、無理はしないよ。
ありがとう、クレムお兄ちゃん。
お兄ちゃんも、無理はしちゃだめだよ?
[自分には現れなかった「祈り子」の力
それに頼り切ることはしない、と自分で決めて]
魔を、眠らせる……そうかぁ、それもいい考え、かも?
[それが通じない、なんて、少女にはわからないからそう返して]
やっぱり、村の誰かの所にいるの、かなぁ?
[祈り子の心がクレムと共鳴したように、村の誰かと共鳴したのでは、と]
[未だ危機感は覚えていない。
けれど無意識のうち護る為の力はヒューゴへと向く]
…………。
[『蝕』の後に会っていないから。
家族のように扱ってくれるから。
頭に過る理由を連ねるあたり言い訳じみているけれど
誰にも知られぬのだからいいかと思う]
― 自宅 ―
[家に帰ったなら、やはり待っていたのは母親のお小言
心配させたのはわかっているから、大人しく話を聞いて]
うん、みんな、昨日のはなんかおかしい、って言ってたし……
危ないことはしない、って、約束だもん、ね。
[そう言って、自分の部屋へと
この先、もっと大きな騒ぎになるかも知れないなんて、わかっていても誰にも言わないだろうけれど**]
― テレーズ宅 ―
[そして、部屋で休んでいたテレーズは、そのまま夕刻になっても一向に目覚める気配が無く]
どうしちゃったんだろう?とにかく、ヒューゴ先生を呼ぼう。病気かもしれないから。
[慌てるテレーズの両親を、宥めて、主に力仕事の為に雇われている男に使いを頼む]
きっと大丈夫だよ、テレーズ姉さん、苦しそうには見えないもの。
[ただ深く深く、眠っているだけ、に見えた]
うん、そうかもしれない。
永い間封じられて、身体はとおに無くなっているから。
きっと、誰かの身体を借りなければこの時に留まれない筈だよ。
[宿屋の主人は無論アルビーネよりも背が高い。
だから彼の傍に居ても背丈が欲しいとは思わない。
思うのは、医師の実家で彼の母親の手伝いをしていた時。
ヒューゴが村を出ていた頃、
日中は医師であったその人は診療所にいて]
……ああ、だから、か。
[クレイグをみて身長が欲しいと思った切欠に思い当たる。
思い当たって今は必要ないのだと理解して]
…………そっか。
[何処かで寂しさを覚えながら納得する]
やっぱり、そうなんだ……
見つけられる、かな?
リィ、他のみんなの事、気をつけるようにしておくね。
[簡単に見つけられると思わないけれど、自分に出来るのはそれくらいだから、と**]
[宿屋にある自室でベッドに腰掛け本を開く。
新しい本の匂いも好きだと思う。
目次に目を通し、知りたい『蝕』記される場所を知るけれど
折角の本なのだから最初から楽しみたいと思ってしまい
何処かを読み飛ばすことなく初めの項目から目を通してゆく]
……ん。
これくらいなら明日には読み切れるかな。
[戻ってすぐに部屋に籠ってしまったから
村人たちが封じを受け、意識を失うを知るのはもう少し先のこと**]
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
俺は診るのが仕事だからな、代も貰うことだし礼は要らん。
湿布は夜寝る時と、後は剥がれてきたら新しいのに貼りなおせ。
痛みが増した時用に飲み薬も出しておくが、腫れや痛みが続くようなら俺を呼べ。
[仕事に戻ると診療所を出るソーヤを見送ってから、処方の説明をした薬を入れた袋をアルカに渡して同じように見送ろうとして。
彼女が元々持っていた袋を指差しながらかけられた言葉>>7に、あぁ、と頷いた]
朝飯にさせてもらうから大丈夫だ。
ありがとう。
[そう声を返してからアルカにも手を振り見送った後。
彼女のカルテに今の診断と処置を記入してから、茶を淹れてパンを一口齧った所で新たな来訪の声>>11が届いた。
とりあえず一口は飲み込んでからパンを置き]
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
構わん。入って来い。
[言いながら視線を扉に立つポラリスへと向けると、その手にある花に目がいった。
それが泉に咲いていた睡蓮だと気付くのと同時、彼女から切り出された話に面食らう。
つい先ほどソーヤ達と交わした話題のお陰で彼女が何を前提に話しているのかは解ったが、迎える順序が逆だったならより困惑したことだろう。
どの道、感情の起伏の薄い男がそれを表面に出すことは無く]
ポラリス。
まず、呼吸を整えろ。
その間に茶を淹れるから、飲んでからもう一度話せ。
─ 『蝕』翌日/診療所 ─
[昨日村の老人達にしたように、肯定も否定もせず話を聞く態勢を取る。
男にとって村の逸話などは迷信という認識だが、だから有り得ないと切り捨てもしない。
実際動植物は変化が起きていると聞いていたし、より詳細を知っていそうな者から話を聞くのは、自分にとってはむしろ自然だ。
睡蓮が手折られたというなら犯人は誰かも気にかかる。
傍目にも不安や焦りに駆られているポラリスが犯人とも思えず、心当たりの有無も含めて筋道立てて話せるようにと促したのだが]
…どうした?
[途切れた言葉と、その表情>>12に。
何か自分には解らない変化が起きたのかと、眉を寄せて問いかけた**]
─自宅─
[ゆっくりとした歩みで自宅に戻り、すぐに裏の厩へ回る]
アレッキオ、ちゃんとご飯食べたかな…
[脅かさないようにと思ったが、ガチャガチャと動く音が聞こえて
騾馬の姿をみる前に落胆した]
だめかー……どーしちゃったんだよお前。
[撫でようと伸ばす手すら噛みつこうとするのにさらに落胆して、
何も出来ずに柵に向かってうなだれた]
…………。
[俯き加減のまま、また騾馬の方へ手を伸ばす。
噛みつこうと敵意を剥き出しの顔の前に手のひらをかざし…
そのまま、数秒。
かざした手を下ろしたとき、騾馬から敵意が抜け
穏やかな光が瞳に戻っていた]
……………な、。
[俯いたまま、落ちた言葉は形を成してはいなかった]
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