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い。
[言葉が切れた瞬間に身体から力が抜け、柵にしこたま額をぶつけた]
いったああ!
[なにが起きたのかさっぱりわからないがおでこが痛い。
ついでに言えば、なにやら生暖かくて湿った空気が顔に当たっている。
顔を上げれば、アレッキオがじーっとこちらを見ていた。
ついさっきまでの敵意は嘘だったのかと思うくらいいつもと同じ様子に、
額の痛みもふっとんでぽかんとした]
アレッキオ、おま………え?
えええええ???
[手を伸ばしても噛もうとしない。
首を撫でたら嬉しそうにしてる。
試しにそばに落ちていた飼い葉を差し出したら、もしゃもしゃ]
どーなってんの………………。
[狐につままれたような心地とは、こういうことか。
相棒が正気に戻ったのなら有り難い事だが、解せない]
ボク、疲れてるのかな……
[首を傾げながら、家の中へ**]
[医師を呼びに使いの者が出かけた後、眠り続けるテレーズの傍に付き添うその両親を残して、そっと家を抜け出した]
[ヒューゴとは出来れば顔を合わせたくなかった。数日前より更に顔色が悪い事はさすがに見透かされてしまうだろうから]
……もう少し落ち着くまでは、摘まない方がいい、かな。
[理由はないが、そんな気がしていた。
無理に引き離してはいけないような、そんな感覚。
それは、何か特別な力に由来するものではなく。
ずっと森に慣れ親しんでいたが故に感じる、森との共振のようなもの]
っても、どーすりゃ元に戻んだろ。
アルカが言ってたみたいに、明日になればー、ってんなら、ほんとに何の問題もないんだけど。
[そんな簡単な事じゃないかも知れない、と。
伝承について話した後だから、余計に迷ってしまって]
……とりあえず、戻るか……っと、その前に。
[村へと戻る前に、歩みを向けるのは、森の奥。
祭壇と泉がどうなっているのか、何となく気になったから、そちらへと向かい]
……え?
[ここまで踏み込むのは、毎日ではない。
ないけれど、いつも変わらぬ佇まいを見せるこの場所の様子は、忘れない。
だから、異変はすぐに目に入った]
……睡蓮が……ない?
なんで?
[いつもなら、静かに波紋を散らす水面に揺れる花はそこにはなく。
それが認識させるのは──明らかな、異変の訪れ]
これって……泉に寝てる何かが、起きてたりすんのかな。
……あれ、でも。
ここに寝てるのって、なんだっけ?
ウチ戻っても……多分、教えてくんないよなぁ。
[『泉に眠る』という言葉は祖父母、取り分け祖母が嫌うから、家人に問う事は諦めて]
後、細かく知ってそうなのって……。
[誰だろう、と思いつつ、一先ず泉の傍を離れる。
既に異変を見知っている者たちがいたとは知らないから、誰かに伝えないと、という思いと。
どうにも落ち着きない相棒の鳴き声に急かされて]
― 森 ―
[足が向くのは森の方。ヒューゴ以外の人と会うのもあまり嬉しくなかった...のに]
あ...
[見つけたのは、こちらが先か、それとも彼の相棒が気付いて報せる方が早かったか]
や...あ、ソーヤ。
[ソーヤは、もう森からは帰る途中だったろうか?いずれにしても、今は会いたくなかった候補ナンバー2の友人に、困ったような微笑を浮かべて、小さく手を振った]
─ 診療所 ─
[入って来いと言われて>>26、ほっとしてから診療所の中へ。
慌てて話した内容は理解するには足りなかったのだろう、呼吸を整えろ、と言われた。
言葉が途切れたのには訝しげにされた>>27が、相手が落ち着いているのが幸いして、先ずは深呼吸して呼吸を整える。
用意されたお茶に礼を言って、一口飲んで短く息を吐いた]
えっと……順番に、話すね。
昨日起きた『蝕』は見た?
私、あれを見てから気になることがあって調べものをしたの。
そしたら、『蝕』がある日は泉の『封』が不安定になるっていうのが分かって…。
そのことが分かったのは今日の朝だったから、急いで泉に様子を見に行ったの。
そしたら、この花が地面に落ちてたらしくて…。
泉も確認したけど、『封』は破られてたわ。
[そこまで言って、用意してもらったお茶をもう一度飲む。
視線は一度手に持ったままの睡蓮へ。
唇を引き締めてから、再びヒューゴへと視線を向けた]
……それで、さっきのこと、だけど。
…私にも、良く分からないの。
急に頭の中にテレーズちゃんが浮かんで…。
テレーズちゃんは影響受けてない、って……何でか、判って。
………ねぇ、これってもしかして、『封』が破られたから───?
[相手もあまり情報を得ていないようだけど、問わずには居られなくて疑問を投げかける。
『封』のことが何故分かるかなど問われるなら、逸話にある『魔』の封印に関わった家系だと言われていることを告げることになる]
あそこに封じられてるのは『魔』だけじゃないし…。
何も起こらないなら、これも使う必要は無いはずなんだけど。
…私が、テレーズちゃんのことが判ったのは何か起きる前兆なのかもしれない。
[手にした睡蓮の花を軽く持ち上げながら呟いて、小さく溜息を零した*]
散歩か?
……って、なんか、顔色悪くないか、お前?
[本格的な医術を学んでいるわけではないが、医にはかかわる身。
そんな所はやっぱり目につく]
泉もなんかおかしな事になってるし、森自体もなんか落ち着かないから……奥には行かない方がいいぜ?
[肩越しに、今通って来た道を振り返りながら言うと、相棒がそれに同意するようにばさり、と羽ばたいた]
今朝は、意味が良く解らなかったんだけど...テレーズの傍に、こんなのが落ちてて...
[眠ってしまったテレーズの枕元から拾った睡蓮の花びらを見せて眉を下げる]
もしかして、テレーズの事も関係あるのかな?『祈り子』とか『魔』とかの伝説と。
[森に良く出入りしている友人、彼が『魔』の依代になっている可能性は、小さくない]
[だから、試すように...]
.........
[もし、そうだったら、自分はどうするつもりだろう?彼を、眠らせる?]
……それ、って、もしかしなくても、大事なんじゃ。
[決して触れるな、と言い含められてきたからには、それだけの意味があるものなのだろう、という認識はある]
伝承に直接関わりあるか、っていうのは、よくわかんないけど。
……でも、何の関係もない、って事はないんじゃねぇかな、やっぱり。
『魔』っていうのは、確か、村まもってくれてるんだよ、な?
でも、『祈り子』……って、なんだっけ。
その辺りの事、ウチのじっちゃんもばっちゃんも、詳しく教えてくれた事ないんだよ。
[家庭事情に基づく残念側面を晒しつつ、口にするのはそんな疑問]
─ 森 ─
いや、だって大事だろ?
絶対に触れちゃダメだー、ってずーっと言い続けてたのが、起こしちゃダメだ、って意味だったら、やっぱり色々とまずいと思うし。
[実感なく見える様子>>46に、突っ込み一つ飛ばして。
語られる『祈り子』の話に数度、瞬いた]
……祈り続けて、でも、身を投げて、って。
[確かに、哀しい伝説だけれど。
でも、それだけで話したくなくなるんだろうか、と。
ふと過ったのは、そんな事。
『祈り届かず身を投げた』が、自分の親を想起させるが故の忌避とは知らないから、素朴な疑問は尽きないまま。
けれど、それは今は横へと置かれて]
……ま、ウチのあれこれはともかく。
伝説とかそういう話になると、本気でどーすりゃいいのか、わっかんねぇなぁ。
[口を突くのは、ぼやくような、声]
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