― 真夜中 ―[人の動く気配が途絶えてから、“月のいとしご”の時間は始まる。そうと自分の部屋を抜け出して、別の部屋の前へ。ノックもせずに扉を開けて、中へいた青年に飛び掛かった。][扉を開くまでは人間のまま、飛び掛かった瞬間には白銀色の獣。果たしてそのバケモノの正体を、彼が認識する暇はあっただろうか。]