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〔人狼が憎いなら、動かさないほうがいい…〕
ははっ…。
動かすも何も…。
俺が動けねぇよ…。
〔手元の眼鏡をノブにかけてやりたかったが、立ち上がることも出来ない。どんな表情で絶命していたのかさえ、無様に床に座り込んだ己からでは伺うすべも無かった〕
ちく…しょ…。
〔ギリ、と、歯を食いしばって、嗚咽を堪えた〕
〔ふと、目の前をフランが進んでくる〕
フラン?
おい、フラン、やめろ!近づかなくていい!
〔なんとかその足を捕まえようとした〕
[床へとへたり込み、しゃくり上げるような嗚咽。
涙に歪んだ視界は、ただただ赤く。]
…ノブにぃ……
[ろくに動けぬながらも、さまざまな事を知っていた年上の彼のことを、兄貴分として羨望の眼差しで慕っていた幼い頃。
捕まえてきたクワガタムシや野いちごと引き換えに、語ってくれた外の世界の話。
子供の数の少ない過疎の村では、腹を割って話せる男友達など少なくて。
ただ、零れ落ちる涙をとめることができずに。]
ええ。
望むもののために、貴方と協力していくわ。
正直、信頼はしていないわよ?
だけど、その能力は優秀な貴方だから、安心して協力できるわ。
だから、失望だけはさせないでね?
そのときは、アッサリ捨てるつもりでいるんですから。
ま。お互いそう思っているんでしょうけどね。
うふふ・・・。
[緑のコンテを戻し、両手でスケッチブックを掲げて]
[満足げに笑う]
[それは一番欲しかった人の顔]
[いつも見せていたあの表情]
[ペロリと嘗めずる]
[何か忘れてる―――ふと気がついて小袋をかさこそと]
[ピルケースを取り出し飴を含む]
[足を投げ出して大樹に身を預け]
[弾みでちりん、と鈴が鳴る]
[二歩目]
[その足は前に出なかった]
[バランスを崩して倒れこむ]
だってあのままじゃ。
[それでもなお]
[視線はただベッドの方に向けられて]
[呟く]
[鳩は、いつものように手紙を回収されず、ご褒美の餌も貰えない事を不思議に思っているのかいないのか、
静かにテーブルの上に佇んでいる。]
……あ……鳩?
[舞い降りたそれには、見覚えがあった。
時々、ノブの家の方へと飛んで行くのを見かけていたから]
ノブさんに……会いに来た……のかな?
[ちょっとだけ、遅かったね、と呟いて。
静かに佇むそれに、寂しげな笑みを向ける]
あら。
無駄に切り捨てたりはしないわよ?
そこは信頼してくれていいのに。
[意識を二つに分けて]
[こちらの意識をシャロンに向ける]
もっとも。
私も「期待」はするけれど「信頼」はしないけれど。
出来る限りは良い関係でいたいものね?
[クスクスと笑った]
[詰め所の中は騒然としていた。
そこに入り、宿屋の中でまた誰かが殺されたということを言うと、
またか、という声と
マジか、という声と
事件を俺が解決してやる、などという勇敢な言葉は聞こえず、ただ怯え惑うような姿だけ]
(ま。平和な村だったようですし。当然でしょうね)
[と、冷たい目で見透かしていたが―――思いついたように、もう一言]
・・・そう言えば、村に入り込んだ大きな犬がいること知っているでしょう?
あの犬・・・喋ったわ。
人狼伝説と、喋る犬。
―――何か似ていないかしら?うふふ。
…もう…熱さも…寒さも。
ノブには関係ないんだよ…。
関係、ないんだ…よ…。
〔テーブルの上の鳩をただただ見つめるだけで、それ以上、どうする事も出来なかった〕
当然。
お互い、相手が使える駒のうちは、無駄に捨てることはないでしょうね。
ヘマはしないで、良い関係を続けていくことを、私も願うわ。うふふ。
[しばらく、鳩を見つめて。
それから、ふるり、と首を振って]
あの……ね。
みんな、に……聞いて欲しいこと……あるんだけ、ど……。
[わずかに掠れた声で、座り込む皆に呼びかける。
妙にふらつくのは、熱のせいか、他に理由があるのか。
それは、わからないけれど]
いや、
[首をゆっくりと横に振る。
ディーノが謝る様子を前に、頭が少し冷えた。]
いいんだ。俺も取り乱しすぎた。
不安ならちゃんと傍に居るべきだったんだし、な。
[こっちこそごめん、と謝って俯き。
ふと風呂場のタイルに目が留まった。
そしてようやくこの状況に思いが至る。]
って、いつまでもここ居るわけにいかねぇよな。
悪り、俺出てるから!
[脱衣所の外にいるけどな、と付け加えて。踵を返して壊れたドアの外、脱衣所の扉の向こうへ。]
[孤児院にいた頃]
[絵が上手ねって褒めてくれたアンナ]
[嬉しくってアンナを描いたの]
[アンナ、すごく喜んでくれた]
[なのに]
[アーナ、アーナ]
[おやすみなさいしたまんま]
[私の前から居なくなっちゃった]
[真っ赤なワンピース]
[――柔らかで甘い、大好きなアーナ]
〔エリカの声に、顔を向ける〕
ここでいいんなら…聞くが。
出来れば酒場の方がいいだろう。
すまん…手を貸してくれんか?
ちょっと自分ひとりでは、立ち上がれそうに無いんだ…。
〔情けなく、哀願した〕
[―――数刻立ったころ、シャロンが自警団を引き連れて戻ってくる。
その内の半分は物々しい武装をしている。
武装をしていない半分から、さらに半分減ってノブの部屋へと。
もう半分は、各々のすぐそばで待機する。
そして―――武装した自警団達は、喋る犬を探して、宿屋の捜索へと]
[のろのろとランディを見上げて]
[しかしどこまで言葉が届いているのだろうか]
[ただぼんやりとその顔を見て]
……?
[聞こえてきた声に]
[耳に入ってきた音に]
[首を傾げた]
あ、うん。
[外に居ると告げて出て行くパトラッシュを見送って。そにより驚きで忘れていた今の状況を思い出す。物凄い格好で話してたんだなぁ、と恥ずかしさに顔を赤らめ顔半分を湯船に沈める]
………。
[不安なら傍に。あの時ディの傍に居れば自分はディを失わずに済んだのだろうか。人狼はディを襲わずに居たのだろうか。逆に好都合と2人とも殺されていたのだろうか。自分はこの場に居なかったのだろうか──]
[色々考えてみるも、答えは出てくるはずも無く。湯船から出て簡単に身体を洗うと、湯を浴びてから脱衣所へと戻る。鏡に映った自分を一瞥し、身体の水分を取ってから着替えを着込む。湿った髪の水分を乾いた布で吸い取りつつ、脱衣所の外へと出て行った]
ここで話すのは……よく、ないよ……。
[だから、移動しないと、と頷いて]
……手?
ボクの力で、ランディさん引っ張れるかなぁ……?
[冗談めかした口調で言いつつ、それでも、と思った所に。
聞こえてきた、物々しい音]
……なに?
[困惑しつつ、音のする方を振り返って]
ああ、そうだ。
自警団の連中を焚きつけておいたわ。
もし、上手くいけば、貴方の手を煩わせることなく、畜生一匹始末できるかも知れないわよ?
失敗しても―――別にリスクがあるわけじゃないしね。
[ハッと我に返って、描いたばかりの絵を塗りつぶそうと]
[コンテを手にして線を重ねる]
[描かれたノブはそれでも笑っていて]
[祈るようにそれを抱きしめて*目を閉じた*]
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