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[そろそろ充分な数が集まったであろうかというとき、シャロンが静かに口を開いた]
しばらく、ここにいてもらえるかしら?
鼠だって、窮地にあえば猫を噛むわ。
あまり刺激しないように、まず私から先に。
もし、私が殺されてしまったら、後はよろしくね。
[と、言い残し、シャロンが一人で先行した]
[洞窟の中は薄暗く、よく先は見えない。
もし暗がりから襲い掛かりでもすれば一発だろうが、そのときは人狼も道連れだ。
逃げる場所なんて何処にも無いのだから。
わざと足音を立てながら歩き、そして、声を上げる]
来てあげたわ。二人とも。
私と、会いたかったんじゃないかしら?
本当は、別の人を調べたかったけどね。
彼女は人狼には見えなかった。
あって狂人だと思ったから。
でも、念のため…。
彼女が人狼だとしたら、あまりにも可哀想だったから…。
[気になってね、と視線を落とす]
…人狼が居なければクローディアも死ななかった。
きっと、以前のままだったと思う。
彼女のためにも、人狼を探し出したい──。
[決意は更に強く。ぎり、と拳を握る。ふとパトラッシュに視線を移すと、何だかそわそわしているような気がして]
パトラッシュ?
どうか、した?
シャロン…!
何で、どうしてここが…!
[何故彼女がここに。つけられていた? 否、彼女はあの場には居なかった。だったら何故──]
…そうだね、会いたかったかも知れない。
クローディアが死んで気が触れた、哀れな人──。
[パトラッシュの横でしゃがんだまま。彼の首に回す腕の力を少し強める]
[足音、そして高く冷ややかな声。
入ってきた、朧月を背後に立つ人影。
ガルルル、と『パトラッシュ』が唸った。]
てめぇ。どうしてここが……ッ!
今更のこのこと何の用だ!!
[ディーノの横で、半ば吼えるようにして対峙する。]
私の気が?
何を言っているのかしら?
私は私よ。
何も変わりは無いわ。
ただ、クローディアから本当の占いの力を受け継いだ。
それだけのことよ。
・・・ああ。そうだ。
一応、貴方の占いの結果を聞いておこうかしら?
貴方も本物なら・・・この村も随分安泰ですけどね?
[パトラッシュの声に大仰に震えて見せた]
まあ・・・怖い。
やっぱり、貴方は人狼なのね。
私、食べられちゃうかも。
うふふ・・・。
…君は人間。
人狼では無い。
でも、君は占いの力が得られたと思い込んでるだけだ。
この手の力は先天的なもの。
後天的に得られることはまず無い。
以前の君にその片鱗が少しでもあるなら、ともかくね。
[相手の冷ややかな雰囲気に気圧されぬよう、気を強く持ちながら言葉を紡ぐ]
…ん……。
[もそりと床の上で身じろいで、体を起こす。]
悪ぃ、寝てた…。
[乱れた髪の毛をくしゃくしゃと掻いて、傍にエリカの姿を見つけると、安心したように笑む。]
そう。
じゃ、次はこちらの番。
・・・出来れば、こちらに来てもらえるかしら?
さすがに、そんなのが近くにいたら集中も出来ないわ。
後、貴方がどう思おうと、それは貴方の勝手。
現に私はこの力を得た。
それを貴方に否定される筋合いは無いわ。
[前半身を低くして、耳をぴんと立てて警戒態勢に。]
ディーノは本物の占い師だ!
お前こそ偽者だろうがよッ、何の根拠も無い噂を流しやがって……それとも何か。俺を占って人狼だとでも出たのか!?
[抑えられずに、声がだんだん大きくなってくる。]
[聞こえた声にそちらを見やり、ふわ、と笑んで]
……おはよ?
って、時間じゃないね。
えと……ごめんね、昨夜……運んでくれたんだよ、ね?
まだ、治りきってないのに、無理させて……。
[パトラッシュの言葉に、冷たい目で見つめながら言葉を返す]
貴方がディーノを本物の占い師と思っていること。
私が貴方を人狼だと思っていること。
一体。
何の違いが?
[シャロンの言葉に一度パトラッシュに視線を向ける。今彼を離したら永遠に失ってしまうような気がして、離れ難い。しかし彼女は自分を占わなければならない。逡巡の後、パトラッシュの首から手を離し、立ち上がってシャロンの下へ]
…シャロン、目を覚まして。
パトラッシュは人狼なんかじゃない。
君が大切にしていた人を殺した相手は、別に居る。
…まだ、あのわんこ追っかけてんのかな?
[この事件の容疑者は、あの日あの時間、宿に居た10名に絞られていると聞いた。
そのほとんどが見知ったモノ達で。]
色々ぐるぐる考えてみたけど、わかんねぇ…。
ノブにぃはリディの復讐で殺されたんだから…リディ以外にもう一匹いて、ノブにぃじゃないやつ。
エリィは絶対違うって思ってるし…オッサンもフランもそんな事するようには思えねぇ。
ワンコとディーノが組んでるってのもありうるっちゃありうるけど…。
…シャロンもよくわかんねーけど……
[指折り数えて考えて…]
あれ?10人じゃなかったっけ?もう一人誰だっけ。
[シャロンは、ディーノがこちらに来て、パトラッシュが同じ場所にいるのを確認すると、ディーノの額に手の平を当てて集中を。
昨日と同じ方法で]
・・・ふう。
なるほど。人間だったわね。
[昨日と同じ結果を]
それで、本物かどうか分からないのは、貴方が言ったことですけど。うふふ。
狂人だとしたら、今のセリフ、私を惑わすためのものかしら?
なぁ、若造。
さっきここに来てた雑貨屋の看板娘。
あいつ、今、親父っさんがいなくて一人なんだよ。
俺はどうせここから自力で出られやしねぇんだからさ。
あいつ、見てきてやってくれねぇか?
今夜も宿に泊ってくれてりゃいいが、根つめて、一人きりで雑貨屋の仕事してたりとかしたら、危険だろ?
頼むわ。俺はここで大人しくしてっからさ、な!
〔団長のお許しがないと勝手なことは出来ない、と言いつつ、親父の守りよか娘の守りの方が楽しいのは明白な事実のため、確認してくるから大人しくしてろよ、と言い残し、駆けていった〕
…若い…つーか、青いな。単純過ぎて。
〔その背中を呆れて見送る〕
[首元から、ディーノの温かい手が外れる。
ふと名残惜しい気がして。少しだけ、鼻の先をその手に押し付けて見送った。
シャロンの声には、思いっきり睨んで。]
信じることと疑うことは、丸っきり別物だ!
[きっぱりと言い切った。
占いの様子は固唾を飲んで見守っていたが。その結果に、少々意外な気持ちになる。てっきり、嘘を。「人狼だ」と言うものと思っていた。]
ま。パトラッシュの結果はすぐに分かるわ。
私の後ろにいる数十人の自警団の手によってね!
[占いを終わり、ディーノの手をぐいと引くと、それが合図だとばかりに、シャロンの後ろから物々しい武装をした自警団が次から次へと]
僕はパトラッシュを信じてる。
パトラッシュがその気なら、僕が彼を部屋に招いた時に既に手をかけれる状態だったはずだ。
でもそれをしなかった。
彼は人狼じゃないと信じてる。
[まっすぐな瞳をシャロンに向けて]
だから、人狼は他に居る。
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