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!!
シャロン、何を!!
[手を引かれてよろけるようにシャロンの方へ。その後ろから武装をした自警団が入って来るのを見て驚きで目を丸くし]
シャロン、君…!
待って!
パトラッシュは違う!!
人狼じゃない!!
[雪崩れ込む自警団に片手を伸ばすもそれを留めることは出来ず]
[大丈夫、という言葉に、ほっとするものを感じつつ、うん、と頷いて。
指折り数え、上げられる名前に、くす、と笑う]
……レッグ、自分、抜いてるでしょ?
でも、ボクは、信じてるから……レッグは、違うって。
[小さな声、それでもそこにははっきりとした意思が込められて]
[パトラッシュの言葉にせせら笑う]
いくら言い換えようと、本質は同じよ。
貴方が、本当に人狼じゃなかったとして、それは貴方がこの村に来たとき誰も信頼しないで、村人達を疑い、隠したからこその結果じゃなくて?
もっとも。
貴方の声も、ディーノの声も。
今の私には何一つ信じることは出来ませんけどね。
うふふ。
[唐突にディーノの手が乱暴に横に引かれ、]
何すん……ッ!!
[声をあげかけ、シャロンの背後に控えていた者達に気付く。
しまった、と思ったがもう遅い。遅すぎる。]
くそったれが!
[爪を地面に食い込ませ、姿勢を低く。
それは来るべきものを迎え撃つ体勢。]
人狼か。
人間か。
答えは簡単よ。
殺して。
殺して。
殺して。
殺して。
殺して。
最後に生き残ったものが、自分自身を知っていればいいだけのこと。
あれ?だって…
[もう一度指折り数えて考える。]
俺っしょ?エリィに…フラン、オッサン、ディーノにシャロン…わんこ…
あと、死んだノブにぃとリディ……
ほら、やっぱし9人??
[シャロンの言葉にキッと睨みつけて]
それじゃあ人狼じゃない、無実の人までも犠牲にしてしまう!
そんなの人狼の思う壺だ!!
[吐き捨てるかのように投げかけて。視線をパトラッシュが居る方向へと向ける。その姿は自警団の陰になり見えない]
パトラッシュ…!!
……カルロスさん、忘れてない?
ほら、旅の傭兵さんの事。
[そう言えば、寝込んでいたせいもあるけれど、話を聞きそびれているな、と。
ふと、そんな事を考えて]
[ディーノの言葉に反応して、シャロンが言葉を連ねた]
バカね!
貴方は、無実の人間を犠牲にしてないとでも言うつもり?
貴方と私が占ったノブは、人狼の犠牲になっているのよ。
私達が、彼を人間だと断定したから、彼は死んだのよ。
それでも貴方は、誰も犠牲にしてないとでも言うつもり?
そんなのは・・・嫌なことから目を背けている子供と同じよ!
[雪崩れ込んで来る自警団たちの手には物々しい得物が握られている。昨夜と同じく、銃を手にする者の姿も見える。それはこの洞穴が土で出来ていて、跳弾を気にせずとも良いためか。]
[違う、そんなことはどうでも良い。
ここから出る、それだけを考えろ。
避けて、走って、すり抜けて、出る。
それだけだ、簡単だろう!?]
何かを手に入れるためには、何かを犠牲にしなければいけないの。
何も捨てないで、全てを手に入れようなんて、寓話の中の英雄だけ。
なら、犠牲にしてでも、前に進むしかないじゃない。
そんな覚悟も無い子供に・・・講釈垂れられる覚えは無いわ。
[人の群れの中をかいくぐる。
その隙に、ディーノの顔が見えた。
冷ややかな表情のシャロンに腕を掴まれて。
驚いたような、泣きそうな顔でこちらの方を見ていた。
あ。と思う。
駄目だ、置いていったら。
殺される、あいつと同じように。]
犠牲にしてないとは思ってない…。
でも!
僕らが手を下さなければならない人数を減らすことは出来る!!
それが僕の役目なんだ!!
事前に、早めに人狼を見つけて、そいつらを駆逐すれば…余計な被害は出さないで済む!
ノブを人間だと言ったから彼が殺された?
そうかもしれない。
だからって、偽の判定をすれば彼は生き延びたのか!?
それこそ皆の手にかかって殺されてしまう!
目を逸らしてるわけじゃない、それを受け止めて進まなきゃいけないんだ!!
[ぶん、と腕を振って掴まれていた手を払う]
いたっけ、って。
んと、仕事で何か面倒な事があって……流れてたら、ここに着いた……って。
そんな感じの話、聞いたけど……。
[詳しくは知らないなあ、と。呟きながら首を傾げ]
[ディーノに腕を払われても、さして気にもせずに、言葉を。
言葉を]
同じことよ。
占いだけで人狼を見つけようとするなら、それだけの時間がかかる。
その間にもどんどん犠牲は増えていくわ。
なら、自分の頭で考えて、人狼だと思うものを殺していかなければいけないじゃない。
それで、人狼を殺せたときに、犠牲がなくなるのよ。
自分の手で人を手にかけるのが怖いの?
間違いだったときのことを思って、先に悔やむの?
言ったはずよ。
犠牲があっても、前に進むしかないって!
ディーノっ!!
[何か考えがあるでもない。
駄目だ、独りにしちゃ駄目なんだ。
それだけが頭を巡る。
名前を叫んで、シャロンとディーノの方へ跳ぶ。
「占い師が!」「襲う気か」「早く」
自警団が素早く動き。
ダンッ…………
重く、響く銃声。]
[洞穴の入り口から奥に向けて。
跳んだパトラッシュの腹部を貫くように、銃弾が撃ち込まれた。
血飛沫が飛ぶ。
目の前が暗くなって、前に進む力を失って、地面に叩きつけられる。]
…ああ、怖いよ。
頭で分かってても、その罪を背負っていかなきゃならないと分かっていても。
実際それはやらなきゃならないんだ。
でも怖いものは怖い!
既にその責を背負ってるから、尚更怖いんだ!
全て受け止められるほど、僕は強くない…!
[ずきりと頭が痛む。両手で頭を押さえて、その痛みを押さえ込む。過去の記憶が頭の中で展開された]
─────っ!!
パトラッシューーーーーーー!!!
[響いた音にハッと顔を上げ、頭の痛みも忘れて。
叫んだ]
ああああああああああああああああっ!!!
嫌だ!! パトラッシュ!!!
[聞こえたのは音だけ。撃たれたのか、無事なのか。それすら分からず。居ても立っても居られず、その場から自警団が居る場所へと駆けてその人ごみを掻き分けようと]
…なんか不思議な人。
居たといわれれば、あーって思うのに…いつのまにか思考から消えてる。
なんっつーか…まるで、隠れてるとか潜んでるとか…そんな風に思っちまう。
…気のせい、だよな?
[その弾を撃った自警団員は、まだ年若い男で。
自分が弾を撃ったのが信じられないというように呆けていた。
「馬鹿野郎、他に当たったらどうするっ!」
叱責する他の団員の声が、洞穴に響く。]
[そんなどうでもよい音ばかりが耳に入って。
肝心の、大切な人の声が聞き取れない。
耳鳴りが煩い。]
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