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シャロン…!
何で、どうしてここが…!
[何故彼女がここに。つけられていた? 否、彼女はあの場には居なかった。だったら何故──]
…そうだね、会いたかったかも知れない。
クローディアが死んで気が触れた、哀れな人──。
[パトラッシュの横でしゃがんだまま。彼の首に回す腕の力を少し強める]
[足音、そして高く冷ややかな声。
入ってきた、朧月を背後に立つ人影。
ガルルル、と『パトラッシュ』が唸った。]
てめぇ。どうしてここが……ッ!
今更のこのこと何の用だ!!
[ディーノの横で、半ば吼えるようにして対峙する。]
私の気が?
何を言っているのかしら?
私は私よ。
何も変わりは無いわ。
ただ、クローディアから本当の占いの力を受け継いだ。
それだけのことよ。
・・・ああ。そうだ。
一応、貴方の占いの結果を聞いておこうかしら?
貴方も本物なら・・・この村も随分安泰ですけどね?
[パトラッシュの声に大仰に震えて見せた]
まあ・・・怖い。
やっぱり、貴方は人狼なのね。
私、食べられちゃうかも。
うふふ・・・。
…君は人間。
人狼では無い。
でも、君は占いの力が得られたと思い込んでるだけだ。
この手の力は先天的なもの。
後天的に得られることはまず無い。
以前の君にその片鱗が少しでもあるなら、ともかくね。
[相手の冷ややかな雰囲気に気圧されぬよう、気を強く持ちながら言葉を紡ぐ]
…ん……。
[もそりと床の上で身じろいで、体を起こす。]
悪ぃ、寝てた…。
[乱れた髪の毛をくしゃくしゃと掻いて、傍にエリカの姿を見つけると、安心したように笑む。]
そう。
じゃ、次はこちらの番。
・・・出来れば、こちらに来てもらえるかしら?
さすがに、そんなのが近くにいたら集中も出来ないわ。
後、貴方がどう思おうと、それは貴方の勝手。
現に私はこの力を得た。
それを貴方に否定される筋合いは無いわ。
[前半身を低くして、耳をぴんと立てて警戒態勢に。]
ディーノは本物の占い師だ!
お前こそ偽者だろうがよッ、何の根拠も無い噂を流しやがって……それとも何か。俺を占って人狼だとでも出たのか!?
[抑えられずに、声がだんだん大きくなってくる。]
[聞こえた声にそちらを見やり、ふわ、と笑んで]
……おはよ?
って、時間じゃないね。
えと……ごめんね、昨夜……運んでくれたんだよ、ね?
まだ、治りきってないのに、無理させて……。
[パトラッシュの言葉に、冷たい目で見つめながら言葉を返す]
貴方がディーノを本物の占い師と思っていること。
私が貴方を人狼だと思っていること。
一体。
何の違いが?
[シャロンの言葉に一度パトラッシュに視線を向ける。今彼を離したら永遠に失ってしまうような気がして、離れ難い。しかし彼女は自分を占わなければならない。逡巡の後、パトラッシュの首から手を離し、立ち上がってシャロンの下へ]
…シャロン、目を覚まして。
パトラッシュは人狼なんかじゃない。
君が大切にしていた人を殺した相手は、別に居る。
…まだ、あのわんこ追っかけてんのかな?
[この事件の容疑者は、あの日あの時間、宿に居た10名に絞られていると聞いた。
そのほとんどが見知ったモノ達で。]
色々ぐるぐる考えてみたけど、わかんねぇ…。
ノブにぃはリディの復讐で殺されたんだから…リディ以外にもう一匹いて、ノブにぃじゃないやつ。
エリィは絶対違うって思ってるし…オッサンもフランもそんな事するようには思えねぇ。
ワンコとディーノが組んでるってのもありうるっちゃありうるけど…。
…シャロンもよくわかんねーけど……
[指折り数えて考えて…]
あれ?10人じゃなかったっけ?もう一人誰だっけ。
[シャロンは、ディーノがこちらに来て、パトラッシュが同じ場所にいるのを確認すると、ディーノの額に手の平を当てて集中を。
昨日と同じ方法で]
・・・ふう。
なるほど。人間だったわね。
[昨日と同じ結果を]
それで、本物かどうか分からないのは、貴方が言ったことですけど。うふふ。
狂人だとしたら、今のセリフ、私を惑わすためのものかしら?
なぁ、若造。
さっきここに来てた雑貨屋の看板娘。
あいつ、今、親父っさんがいなくて一人なんだよ。
俺はどうせここから自力で出られやしねぇんだからさ。
あいつ、見てきてやってくれねぇか?
今夜も宿に泊ってくれてりゃいいが、根つめて、一人きりで雑貨屋の仕事してたりとかしたら、危険だろ?
頼むわ。俺はここで大人しくしてっからさ、な!
〔団長のお許しがないと勝手なことは出来ない、と言いつつ、親父の守りよか娘の守りの方が楽しいのは明白な事実のため、確認してくるから大人しくしてろよ、と言い残し、駆けていった〕
…若い…つーか、青いな。単純過ぎて。
〔その背中を呆れて見送る〕
[首元から、ディーノの温かい手が外れる。
ふと名残惜しい気がして。少しだけ、鼻の先をその手に押し付けて見送った。
シャロンの声には、思いっきり睨んで。]
信じることと疑うことは、丸っきり別物だ!
[きっぱりと言い切った。
占いの様子は固唾を飲んで見守っていたが。その結果に、少々意外な気持ちになる。てっきり、嘘を。「人狼だ」と言うものと思っていた。]
ま。パトラッシュの結果はすぐに分かるわ。
私の後ろにいる数十人の自警団の手によってね!
[占いを終わり、ディーノの手をぐいと引くと、それが合図だとばかりに、シャロンの後ろから物々しい武装をした自警団が次から次へと]
僕はパトラッシュを信じてる。
パトラッシュがその気なら、僕が彼を部屋に招いた時に既に手をかけれる状態だったはずだ。
でもそれをしなかった。
彼は人狼じゃないと信じてる。
[まっすぐな瞳をシャロンに向けて]
だから、人狼は他に居る。
!!
シャロン、何を!!
[手を引かれてよろけるようにシャロンの方へ。その後ろから武装をした自警団が入って来るのを見て驚きで目を丸くし]
シャロン、君…!
待って!
パトラッシュは違う!!
人狼じゃない!!
[雪崩れ込む自警団に片手を伸ばすもそれを留めることは出来ず]
[大丈夫、という言葉に、ほっとするものを感じつつ、うん、と頷いて。
指折り数え、上げられる名前に、くす、と笑う]
……レッグ、自分、抜いてるでしょ?
でも、ボクは、信じてるから……レッグは、違うって。
[小さな声、それでもそこにははっきりとした意思が込められて]
[パトラッシュの言葉にせせら笑う]
いくら言い換えようと、本質は同じよ。
貴方が、本当に人狼じゃなかったとして、それは貴方がこの村に来たとき誰も信頼しないで、村人達を疑い、隠したからこその結果じゃなくて?
もっとも。
貴方の声も、ディーノの声も。
今の私には何一つ信じることは出来ませんけどね。
うふふ。
[唐突にディーノの手が乱暴に横に引かれ、]
何すん……ッ!!
[声をあげかけ、シャロンの背後に控えていた者達に気付く。
しまった、と思ったがもう遅い。遅すぎる。]
くそったれが!
[爪を地面に食い込ませ、姿勢を低く。
それは来るべきものを迎え撃つ体勢。]
人狼か。
人間か。
答えは簡単よ。
殺して。
殺して。
殺して。
殺して。
殺して。
最後に生き残ったものが、自分自身を知っていればいいだけのこと。
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