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― 森の中 ―
嗚呼、ここみたいですね。
[ そうしてまた降り立つ。
結界樹の範囲の外。
種のような何かがあった。
心成しか空気が淀んでいる気がする。
気配に聡いのはある種、左目のお陰でもあるか。]
といっても、私にこれが何か判断する能力はありませんからね。
[ そう言ってから左目を抑える。]
……まあ、ね。
[翼への問いには、さらりと返して。
ゆらり、四翼を揺らめかす。
零れる紫星の力がふわりと舞い散り、粒子となって風に流れた]
…分かってる。此処で俺の言葉を全部信じるような相手じゃないって、事くらいさ。
[俯いたまま、スティーブが立ち去る様子に顔を上げもせず。
先程エリカが言いかけ、止めた言葉に思い至れば息を吐いた]
とりあえず…先生にエリカちゃんが起きた事、伝えてくるよ。
んで、俺も…少し寝て来て良いかな?
流石にそろそろ眠たいや…。
[茂みの中から顔を出す。
寝てたからだ。木の葉などを体につけながら、川。湖。そこにある結界樹を思い、そちらを向く]
あは、いってみよ〜。いってみよ〜
[と、駆けようとして、一旦止まる。
光球を見たからだ。それをじぃと見て、寄ってくるのに触れて]
うん…あは…そう。うん。楽しいね。
[ぱっと霧散する光球。それを見届けるでもなく。走って。向かう先は結界樹]
隠した所で、いずれは知れる。
そして、隠していては何もできない。
……それならどうするか、なんて一択だろう?
[くすり、と笑って]
ま、旦那辺りは隠しとけ、って言うんだろうけどねぇ……。
あははは〜。とうっ
[と、結界樹が見える位置まで走って。湖を幅跳びの要領で飛ぶ。
が、飛びきれるはずがなく]
とどかな〜い♪とどかな、あぶぁっ…
[ざぱぁんと水しぶきを立てて豪快に湖の中に突っ込んだ]
[ 淀んでいた空気が元に戻ったか。]
おや……。
[ この種の持ち主にはそれが伝わったかもしれない。]
――――――…。
さて、これは誰かにお話するべきでしょうか。
[ と言っても、長老に話を聞く気にもなれず。
本で調べようかとも思えど、その気にもなれず。]
まぁ、何とかなりますか。
[ そう言って羽根をまた広げた。]
……父親みたいなモンだからね。
[言いつつ、枝の上にひょい、と立ち上がり]
それが旦那のいい所さね。
……まあ、お陰でチビさんには、嫌われちまってるようだけど。
[ばしゃばしゃばしゃとしばらくもがいて、態勢を整えた後
誰か周囲にいるかどうかなど気にとめることもなく。]
冷たい冷たい。でも楽しいね〜♪あはは〜♪
[と、ぬれて重くなった服をものともせずに、着岸しようとじたばた泳ぐ]
ま、それでも。
アンタみたいに、何考えてんのかさっぱりわからん御仁よりは、安心して付き合えるけどねぇ?
[くく、と笑いつつ、下を見る。
泳ぐネロの姿が目に入ったなら]
……相変わらず……何してんだか、あの坊やも。
[零れ落ちるのは、呆れたよな声]
お褒めにいただき、光栄至極。
[おおげさに狐は言って、わらう。
それから、枝を蹴り、地面に降りる。
音のしたほう、ネロの居るほうへ。
手を差し出して]
つかまるか?
別に、褒めちゃいないんだけどねぇ……。
[さらりと言いつつ、自分も下へと向かい。
ネロが無事そう……と確かめたなら、自身は聖殿へと足を向ける。
昨日は疼きに煩わされて出来なかった事──封印の経緯などを、*長老へ問うために*]
[着岸する位置まで泳いで、水からあがろうとしたところで
声に気づき]
あは、狐さん〜。うん。つかまるつかまる〜。でもネロは自由だからね〜。あはは〜
[と差し出された手を握って、水からあがり
耳に入った水を追い出すよう頭を振る。まだ枝の上にいるアヤメには気づいていない]
―回想―
[聞こえた言葉に、細い目を限界まで見開く。
アヤメを下して首をコキリと鳴らした姿のまま動きを止め、言葉を発したカレンを見て。]
…ジョエルが、中、に……?!
[ふらりと、結界樹に近づく。
その大きな幹に手をぺたりとつけ、俯いた頭を擦るようにつけると、長い間そうしていた。]
[水に濡れた子どもの手が、狐の手を掴み、力をこめる。
引き上げた岸の上。
振り返ると降りてきたアヤメがいた。]
ああ、行くのか。
気をつけて。
[見送り、ふたたびネロに目を向ける。]
そうだろうな、お前は自由だ。
[耳から水を出したあたりで、降りてきたアヤメに気づき。
無事だよ〜と陽気に答えた後、手をぶんぶん振って去っていくのを見送りつつ
ともに見送ったケイジが視線を戻したのを見て]
うん。ネロは自由〜。誇りとかはいらないの〜
[と、唐突にいって、結界樹のほうまで近づいていく]
―回想―
[カレンに声をかけられれば、アヤメを再び背に乗せて施療院まで運ぶ。
道中、アヤメを元気づけるか自分を誤魔化すかのように軽口を叩く。
施療院へつけば、その外で蹲る様に座って腕の中に顔を埋め。
朝までそうしていた。]
[結界樹へと近づく。
後を追うようにしているケイジに特に振り返ることもなく。結界樹へと手をぴたりと触れて。下から上までじっと、じぃぃっと見て]
変わってない、おっきくなってなーーーーい
増えたっていってたのに、なんでかな〜?
[首をかしげる]
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