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ま、こんな時期にこんなとこに来てりゃあ、ねぇ……。
[さらりと言いつつ、崩れ落ちる実を眺め]
さて、めでたいのか、はたまためでたくはないのか。
どっちだろうねぇ?
[小首を傾げつつ、笑う。
向ける視線は、艶笑とは裏腹の鋭い眼差し]
さァ。
俺は知らないが、ふつうはめでたいんじゃないか。
[くすりと哂い、狐はただアヤメを見る。]
めでたくないとしたら、知られたくない場合か?
――なァに、俺には口外するつもりはない。
― 回想 ―
[ カレンたちと別れた後、とりあえず家へと戻ることにした。]
調べてみると言っても…。
[ そう言って頭を抱える。
ここ連日の外出はやはり自身の体力を奪っているようで。]
……とにかく、眠りましょうか。
リディアが封じられたなど…悪い夢なのかもしれません。
[ そう言ってベッドへと倒れこんだ。]
[窓の外へ視線を向けたまま、カルロスの言葉に耳を傾ける。
全て聞き終えてから、目だけ動かして青年を見た。
俯いた顔は見えない。その背の翼胞の内も見えはしない。]
理由は言えないか。
……それでは信じるのは難しいな。
まあいい。お前がヤツを人間だと思っている事は判った。
[理解については鼻に皺を寄せ、淡々と事実だけを告げる。
聞くべき事を聞けば長居する気はなく、青年に背を向けた。]
……………邪魔したな。
[向かうはアヤメの所。
抜け出したと聞き、馬鹿娘と呟くのは*少し後の事*。]
……普通は、ね。
[くすり、笑う。表情の変わらぬ狐の意図は読めない]
隠し事は、知られたくないからするモンだろ?
ま、好きにするといいさね。
アタシは、もう逃げも隠れもしないと決めたからさ。
[ 朝、目が覚めてから身支度を整える。
夢見がやはり悪かったからあまり眠れなかった。
家に閉じ篭っていたい気持ちもあったが、リディアのこともあり。
それから気になることもあり、家を出る。
羽根を羽ばたかせ移動する途中、
スティーヴと会い少し話をした。
エリカのことを気にしていたようなので、
恐らく施療院にいるだろうことを告げた。
彼とは、そこでそのまま別れる。
昨日のこともあり、少しばかり許せぬ気持ちもあったが。
それ以上に気になることがあった。
羽根をまた動かしその場所へ向かう。]
― 回想終了 ―
― 森の中 ―
嗚呼、ここみたいですね。
[ そうしてまた降り立つ。
結界樹の範囲の外。
種のような何かがあった。
心成しか空気が淀んでいる気がする。
気配に聡いのはある種、左目のお陰でもあるか。]
といっても、私にこれが何か判断する能力はありませんからね。
[ そう言ってから左目を抑える。]
……まあ、ね。
[翼への問いには、さらりと返して。
ゆらり、四翼を揺らめかす。
零れる紫星の力がふわりと舞い散り、粒子となって風に流れた]
…分かってる。此処で俺の言葉を全部信じるような相手じゃないって、事くらいさ。
[俯いたまま、スティーブが立ち去る様子に顔を上げもせず。
先程エリカが言いかけ、止めた言葉に思い至れば息を吐いた]
とりあえず…先生にエリカちゃんが起きた事、伝えてくるよ。
んで、俺も…少し寝て来て良いかな?
流石にそろそろ眠たいや…。
[ その種のようなものからは虚が広がっている。]
これは…どう受け入れるべきでしょうかね…。
少なくとも、虚を扱う者が他にもいると判断すべきでしょうか。
…困りましたね…。
[ そう言って溜め息をつく。
背中の羽根は虚の気配に感化されるかのよう、黒くなる。
黒い羽根を広げ、羽ばたかせると虚が蠢く。
地面に落ちているものに指をそっとあてた。]
[茂みの中から顔を出す。
寝てたからだ。木の葉などを体につけながら、川。湖。そこにある結界樹を思い、そちらを向く]
あは、いってみよ〜。いってみよ〜
[と、駆けようとして、一旦止まる。
光球を見たからだ。それをじぃと見て、寄ってくるのに触れて]
うん…あは…そう。うん。楽しいね。
[ぱっと霧散する光球。それを見届けるでもなく。走って。向かう先は結界樹]
[ 指先で虚が蠢く。
しかしながら、それは自身に宿るものと比べると弱い。
虚と呼ぶには力がなさすぎるように感じた。]
………何処かで感じた気配に近いですね。
ですが…何処だったでしょうか?
[ 少し考えた後に聞こえたのは虚の声。]
クワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロ!!!!!!!!!!!!
隠した所で、いずれは知れる。
そして、隠していては何もできない。
……それならどうするか、なんて一択だろう?
[くすり、と笑って]
ま、旦那辺りは隠しとけ、って言うんだろうけどねぇ……。
[ 耳をつく声に嫌悪を示す。]
煩いですね…。
でも、まぁ、構わないでしょうか。
どうぞ。
[ そう言って己の指の上、蠢く種を差し出す。
同時に大量の黒が手の上に収縮していった。
その光景は蟲毒と全く同じもの。
闇が闇を喰らう―――――――。
程なくして、闇は散っていった。]
あははは〜。とうっ
[と、結界樹が見える位置まで走って。湖を幅跳びの要領で飛ぶ。
が、飛びきれるはずがなく]
とどかな〜い♪とどかな、あぶぁっ…
[ざぱぁんと水しぶきを立てて豪快に湖の中に突っ込んだ]
[ 淀んでいた空気が元に戻ったか。]
おや……。
[ この種の持ち主にはそれが伝わったかもしれない。]
――――――…。
さて、これは誰かにお話するべきでしょうか。
[ と言っても、長老に話を聞く気にもなれず。
本で調べようかとも思えど、その気にもなれず。]
まぁ、何とかなりますか。
[ そう言って羽根をまた広げた。]
……父親みたいなモンだからね。
[言いつつ、枝の上にひょい、と立ち上がり]
それが旦那のいい所さね。
……まあ、お陰でチビさんには、嫌われちまってるようだけど。
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