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[微睡みのつもりが、それなりの時間は経っていたようで、身体を起こすと同時に筋肉を解す]
ふあ…、あ、すみません。
あの後、エリカちゃんって――…?
[ちょうど眼の前を横切った施療院の主に問えば、自らの足で出て行ったとの答え。
起きぬけに、頭を抱えたくなった]
まあ…ホントに元気になってんなら良いんだけど。
ある種、俺のお仕事は終わったし、帰るかねえ。
[ネロの問いにはふるりと首を振って]
いや、ネロが重くなければ別に私は構わないけれど。
[そのままずりずりごりごり、周囲に響く音をさせながら広場へ向かって歩いている]
[露台へ上がり、翼胞から紫紺の翼を出す。
二対四翼に風を受け、大きく広げた。
鋭く辺りを見回す。森に消える小柄な影が二つ見えた。]
…………起こしたのはあれか。
[引き摺られ行く丸太に顔を顰めながらも、蒼穹へ飛び立つ。]
― 聖殿付近 ―
[ 飛び立った後、暫くして聖殿付近に降り立つ。]
さて、長老はお部屋に篭られているのでしょうか?
…羨ましい限りですね。
[ そう言って、長老に会おうと中に入る。
側近達にしてみれば、本日2人目の来訪。
止められはするものの、笑顔で脅しをかける。]
貴方がたが、私をお止めになるのですか?
[ そう言って戸も叩かず長老の前へと。]
御機嫌よう、長老殿。
[ 表情は極力笑って。
けれど声は笑っていなかった。]
[狐は、おやおやと呟いて。]
確かにネロはそうだろうなァ。
わかる人の方がすくなかろうが――
さてはて、やる前から悩んでもな。
うまくいくといいが。
[視線が向かうは、聖殿の方向。]
克服……?
[遠くを見るエリカに首を傾げ。そっと頭を撫でようと手を伸ばす]
……どう、なのかな?
僕、あんまり、みんなのこと、知らないから……
[ちらと見た二人の様子を思い出すが、特に気になった点はなかった]
うん……
僕も、村に行く。一緒に、行こう。
ん、
[伸ばされる手を避けようとはしなかったけれど、
僅かに、困惑の色を滲ませて。
触れるのも撫でるのも、そのままに。
ただ、手が離れていくときには、眼を伏せた]
……逃げてばかりいても、駄目だから、ね。
[後の言葉には、そう、と短く返した。
思考を巡らせたのち、世帯主に訊くのが一番かと思い直す]
わかった。
それでは、行こう。
さァて、それじゃあ俺は先に行こうか。
――あァ、そうだ。
もう一人にも、よろしく伝えておいてくれ。
何かが起きたら、アヤメ嬢がコレを取っていた話でもしてやるといいさ。
[その様子を見て、わらう。
開いたつばさ、バサリ、はばたいた。]
うん。大丈夫だよ〜大丈夫〜
[了承をもらえれば陽気に笑って。こたえ。
ずりずりごりごり音を響かせながら道を歩いていけば。人影が見えてきて]
…分かったよ。
くれぐれも――アンタを、封印させないでくれ、スよ?
[最後の言葉は低く。
翼を開いて飛ぶ姿に、手を振り――目を瞑って、結界樹に凭れて座ったまま、息をついた。]
[丸太がどこかにひっかかったり転んだりしないように注意しながら、しばしネロと歩く。時折気配を探れば、紫星のものが近くにあることがわかり。段々近づいてくれば、やがて、姉貴分の姿が木々の向こうに見える]
あ、おーい、アヤメ。
[そちらに聞こえるよう、声を上げて手を振った]
― 長老の部屋 ―
[ 長老がこちらに気が付くとうんざりしたように溜め息を。
それを、見下すように見てから座る。]
お話があって参りました。
昨夜はお疲れ様でしたわ。
ジョエル殿が消えたことはお耳に入っていますか?
それを考えると堕天尸はまだいるようですね。
[ 長老は重々しく頷いた。
きっと、こうして来る人の話を全て真剣に聞いているのだろう。]
忠告しておきます。
全ての人間が疑わしいだけで封じることはできません。
しいては、ホルストの家の者には手を出さないで下さい。
それをお願いにあがりました。
堕天尸たる証拠が掴めたなら、その御力をお使い下さいませ。
[ それだけを言って立ち上がる。]
[施療院への道を、ゆっくりと辿る。
四翼を自らの意思で解放すると決めたためか、疼きは既になく、歩みは確りと]
……ん?
[しばらく進めば、耳に入るのは何かを引きずる音。
それに首を傾げたところに聞こえたのは、自分を呼ぶ声]
ああ……カレンかい。
[軽く、手を振り返してそちらへと]
[エリカの表情の変化に、目をぱちくり。手を引っ込めようか迷った後]
ラスさんの前の僕も、こんな風、だったのかな……
[つぶやいて、そのまま頭を撫でた]
……うん。
逃げても、逃げても、逃げられない……から、立ち向かう
……そうすれば、もう、逃げなくて……いい
[そう言って瞳の奥に映るのは、今纏ったシャツの持ち主の姿。
エリカの促しを受けて、翼をしまうと村へ向かって歩きはじめる]
[見えた人影を徐々に視認できる位置まで歩けば]
あは、アヤメだアヤメ。鳥さん鳥さん
やっほ〜やっほ〜
[と、カレンと同じように。だが、ぶんぶんと手を振って、近づき
まずはラウルのほうへと手を伸ばす]
――おや。
[結界樹の範囲の外。
落としたはずの虚の種はなく、そこの空気は変わらない。]
何があったやら。
[おかしそうに呟いて、一路、広場の方向へ。]
[風に乗り、高く舞い上がる。
森を行く人影は、木の葉に隠れ見えなくなった。]
……聖殿か、結界樹か。
拾う必要があるのは結界樹の方か。
…………また動けなくなっていてはかなわん。
[昨日の儀式とその後の体調の話を思い、眉を顰め空を切る。
速度早く過ぎ行く風が体の熱を奪う。そして頭も冷やす。]
……まさか、あの子供もか?
[気を失ったというエリカ。動けなくなったアヤメ。
深紅の瞳を細くし、その後気を失った子供。
一致する符合に眉間の皺を深く刻む。]
[ 入り口の辺りで何かに気付いたように振り返る。]
そうそう…疑わしい者がいたら報告するのでしたよね。
あのジョエル殿が封じられるぐらいですので…。
仲がよろしかった方だと封じやすいでしょうね。
鷹の目殿は彼のこと随分と気にしていたようです。
くす……どうしてでしょうね。
それから、ネロという少年はご存知ですか?
彼は綺麗なものも汚いものもお好きだそうです。
非常に興味深い方ですよ。
今度、長老も彼とお話してみてはいかがでしょうか。
それでは失礼致します。
[ 長老に会釈して部屋を退出する。]
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