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――………。
[唐突に、ひょいっと、伸びあがって、
青年の頭を撫でようとする]
ほんとは、あたしも行きたかったのだ。
ざんねんだね。
[――くす。
子供の友達どうしが秘密を語らう類の笑みを、額を寄せて零し]
[ついと、離れて]
ん?
[広場付近まで来て、人の流れ。塊が図書館から出ていることを知り]
どうしたんだ?あん?オトフリート先生が絵を?…そうか。
[など聞いて把握していた直後に、新しい絵師が。という声に見れば人ごみの向こうにミハエルの姿]
[べしべし。叩いた。
そこは気にせんでいいと言わんばかり。
ぐい、っと引っ張ってから、止まる。
また、見た。
どうやら、引っ張って欲しいらしかった]
―封じ後・診療所―
…?エルザねえちゃん?
ここ……診療所?
[ふと気付けば、前にエルザと診療所らしき壁。
意識をこらせば、自分の眠る姿や、アトリなども]
そっか、あたし封じられちゃったんだ。
ここに居るあたしは心だけ…? あたし、あたしのまま…?
……。アトリ。
行ったほうがいいよ?
ほら、もうあたし、ご飯もあげられないし。
[肉体をイメージ、アトリへ息を吹きかけるよな]
おまえは身が軽いから、
岩壁をのぼって空を目指してもいいし。
ああ、でも。
二人で一緒に絵師様でも良いと思うんだけどな。
[にへらと笑って]
そういえば、ここに来るまでべたべた触られたりしなかった?
なんかおばーちゃんとかおじーちゃんとか、ありがたやありがたやって感じだったけどさ。
[もちろんそれだけではないが。]
で、どっか行くの?
て、叩くな叩くなっ!
[いきなり叩かれるとは思わなかったので、思わず焦った声を上げる]
……取りあえず、引っ張ればいい、訳?
[しばしの思案の後、ようやくそれに気づいたようで。
手らしき部分を掴んで、引っ張ってみる]
空がどうとか、拘るのって人間だけだよね。
アトリはアトリで、生きてるんだから。
[何らかの気配を感じたのか、どうか。
いつしかアトリは旅立っていっただろうか]
[岩の天幕より垣間見た、
遥か遠いそらに昇る月のようで、
けれど、もっと親いひかり。
掴みたい。
そう思って、手を伸ばして――――――]
[書庫から出て来ると、手にしているのは、大きな白い布。綿毛草の糸で丈夫に織られたそれは、普段、古い書棚の埃よけの覆いとして使っているものだった]
ああ、どいてくれないか。
[絵の周りにたむろしている客達を下がらせて、その布をキャンバスに掛けてから自分の上着を取る]
…………ぷはっ?!
[深い水底から浮き上がってきたかの如く、息を吐き出す。
傍から見れば、黒い靄散り失せ、突然人が現れたわけだが]
なんだ、なんだっ
[ぺったり座り込み、きょろきょろ]
…それなら良かったかも知れませんね。
それが、できることなら。
[微かに笑みを]
触?…いえ。
むしろ…
[続く言葉の代わりに、辺りを示した。
それが幸運なのか不運なのかは分からないが]
ええ。
図書館に。
もっと暗い所に閉じ込められるかと覚悟してたのに、
かわらないのだなぁ…。
封じられるひとが皆、こうなら。
おとうさんやおかあさんもそのへんに居るのかなぁ。
[その口調に感慨などはない。
手近のセリアンブルーの髪へ、手を伸ばしてみるイメージ、
しかしそれは、蒼をすり抜けた*]
[軽い、感触。
物質的な縛りのない空間なのだから、それも当然か、などと思ったのは僅かな時間]
……て、な、なんなんだよっ!?
[唐突に、響いた音。
それに上ずった声を上げた直後、聞こえた声と、座り込む姿に]
……はい?
……な、なんで?
[思わず上がったのは、惚けた声]
ミハエルはおとなしいよねー
ユリアンはさわがしいけど。
[お前に言われたくないというようなことを言った。]
……んー、
まあこんなときだからね。
すぐ終わるよきっと。
あ、でもそうすると触られる?
[と、周りを見て、
青い髪をその先に見つけて手を振る。]
って、図書館行くのかぁ。
わたしも行こうと思ってたんだ。
オトせんせーにも一度本出してもらわないと。
[絵が完全に布に覆われてしまったことで、覗き見るのは無理と判ると、一人、二人と図書館を出て行く者が多くなる、その出入りの狭間から、外に居るミハエルとリディの姿が見えた]
持っていくまでも無かったか。
[呟いて、戸口へと向かう]
そっか。ミリィ先生も起きないか
[そういえばなんでミリィ先生は。など思う。原因不明な分だけそちらが怖く思いつつも視線はミハエルに。頼む…か]
ん…遠くないな。ちょっとどいてくれや
[小声で呟き。ちょうどリディが手を振るのが見えたので人をかきわけて進み]
よう、ミハエルにリディ。
[いつもどおり気軽に声をかけれたはず]
元気なのは、いいことですよ。
[そんなことを言いながら、少しだけ緑が陰る]
…そう、ですね。
早く見つけて、終わらせないと。
…触る?
[それがどうにも分からずに、首を傾げ。
手の振られるほうを見て。
幼馴染みの姿にやや複雑な顔になる]
かぜ?
だいじょうぶ?
[ユリアンがくしゃみをするのに、
横から首を傾けて見た。]
おなかいたいとか 足いたいとか かぜとか
体こわしてるひと、多いの。
[少なくともミハエルはお腹痛いに対して
肯定していないのだが。
戸口の方へと中から音が聞こえれば、
座ったままそちらへと目を向けた。]
絵師殿がおいでになったようなので、場を譲ってもらえるか?
[まだ残っていた、ほぼ常連ばかりの客達にそう行って扉を開けると、仕方がないなと言った様子で、人々は図書館を後にする。人気のなくなった図書館の戸口に立って、男は外に居る幼なじみの弟を呼んだ]
ミハエル。入って来い。
[絵師殿、とは呼ばなかった]
……夢でも見ていたのか?
[首を傾げて眉を寄せる。
惚けた声に気付き、立ち上がり腰に手を当てて見上げた]
って、お前はこんなところで何をしているんだ?
というか、そもそもなんで私は広場まで来ているんだ。
確か、作業室に居たはずなんだが……?
[自体を理解していない様子で、ぐるりと辺りを見回す]
やっほう、アーベル
あ、まだ貰いにいってないや。かいがら。
あとで貰いにいくね!
[そんなこと言って、にやりと笑う。
それからミハエルを見て、むーと唸ると、]
ならミハエルも元気じゃないとー。
そ、さわるさわる。
だってご利益ありそうじゃん? 絵師様って。
[酷い曲解だった。]
まあお勉強だよねー
海のお勉強だけど。
怪我したけどね、海に行きたいって思ったけど……
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