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……そっか、よかった。
[エルザの反応に、ほっと胸を撫で下ろした様子。
だが、続く言葉に僅かに表情を硬くする。]
……それは。
[しかしそれも一瞬。すぐに苦笑いを浮かべると、]
んにゃ。わかんねぇ。
でも、綿毛草に負けるつもりはないぜ。
それは、絵師さまへの挑戦ね?
[ユリアンの言葉にくすくすと笑いを零す。
それからふいと図書館へと目を移して細めた。]
さっき、キャンパス、持ってるようにみえたの…。
絵、なのかしら…?
[口調は少し、固い。]
[黒いソレはくるりと振り返った。
らしい。
目がないから、どちらが正面かわからないが。
もぞもぞ身動きして、エーリッヒの周りを回る]
だな。兄ちゃんは好きだけど、そこは譲れないね。
[もちろんエーリッヒが封じられたということは把握している。
これは、かならずこの事件を解決してエーリッヒを元に戻すという決意の表れでもあったわけで。
そして、エルザの目線を追って、視線を図書館へ。]
……ああ。チラッとしか見えんかったけど……あれはキャンパスだよな。
周りが言うとおりなら、アレに描かれてるのは……。
[あえて、それ以上は口にせず。]
[あ、こっち見た、と思った直後に塊はこちらの周囲を回り]
…………。
[どうしたものか、と本気で悩む傍ら、ここに他者がいる意味をつらつらと考えて]
俺の他に、誰か、封じを受けた……のか?
少なくとも、ミハエルはまだ、絵筆は使っていないはずだし……。
正規の用い方を知らんヤツが、短時間に連続して使える……ってのは。
ないとは言えんけど、あんまり考えたくない可能性だし……。
[ぶつぶつと、声に出して思考分析。
自分の予測が正しければ、絵筆の力に依る以外にこの空間に他者が現れるとは思い難いわけで。
うーん、と言いつつ首を傾げていたりする]
―自宅―
[昨日は診療所で手伝いをして、一段落ついたところで家に帰って寝ていて起きたのは先ほど。
まだ妙に気だるいのは診療所でなれない手伝いをしたからだろうか。緊張したりした分余計疲れてる感じがあるがそうもいってられない。
エーリッヒが封じられたこと。その代わりなのかなんなのか。ミハエルが絵師になっているらしいことで]
俺、しばらくあんま手伝えねえかもしれない。あいつは友人だし、ミハエルの兄さんに頼まれたし、のんびりしてられない。
[とはいえ何ができるのかわからないが、そんな気分で海に入れるほど甘くはなく。迷惑をかけることとなったが許してもらえ]
親父、母さん。ごめんよ。じゃあまたいってくる…大丈夫だって、危険なことはしないから
「むしろあなたが迷惑かけないか心配です]
あぐ…
[そんなこんなで家を出て、人がいるほうへいるほうへと道を歩く]
[二人の視線が図書館へと注がれたのを見ると、す、と窓際から身を引くと書庫へと一度引っ込む]
[読書室には上着のかけられたままのキャンバスと、興味津々に覗き込む客達が取り残された]
[言葉を発する事は無く、視線をユリアンへと戻し
そのまま暫く、じいっと見た。
そうしてからにこり、笑ってくるりと後ろを向いて歩き、
図書館の入り口付近にぺたりと座り込んだ。]
見たいから、待ってる。
[ひとこと言う。
しゃがんだ膝に両手を乗せて、
あなたは?とばかりに首を傾けてユリアンを見上げてる様は、
何かの動物のようだった**]
[物言いたげに、黒いソレはもごもご蠢く。
にょ。
と、一部分がほんの僅か、突き出た。
どうやら、手に当たる部分らしい。
短いそれを、エーリッヒの方へと伸ばしている]
[アトリエを出、向かう先は図書館。
道の人は己の姿を見れば話を止め、こちらを伺うような視線を向ける。
極力気にしない振りをしていれば、表情は自然と硬くなった]
……お?
[思考分析していたら、なにやら伸びてきた。
しばし考えた後、そーっとそれに触ってみた]
お。
触れた。
[触れた事自体はちょっと驚いたが、同じような状態同士だからだろう、と一応自己完結]
―→図書館―
[ふらりと道を歩いて、少し足が痛かったりして立ち止まる。
ぱっと見上げた天井は、空を見せない。]
……はぁ。
[しばらく見ていたけれど、ため息吐いて図書館へと向かう。
と、皆が振り向く様子につられてそちらを見る。]
あれ、
ミハエル?
あ、そっか。絵師様なんだっけ。
[見た目のもやもや感とは異なり、
案外と触り心地(?)はしっかりしている。
ぐい。ぐいぐい。
引いたり、押してみたり。
数度繰り返したところで動きを止め、
何かを訴えるように見て(だから、目はない)いる。
くい、くい、と数度押した]
[じーっと見つめられて僅かにたじろぐが、にっこりと笑顔を向けられると]
……そっか。んじゃ、俺も一緒に待ってっか。
[そう言って、エルザの横に*座り込んだ*。]
[誰かの声が聞こえた]
…違う。
[小さく呟いたその後。
顔を上げ、声の主を知る]
あ。
[いつものようにはできなかった。
戸惑い、間が空く。
『月』は今は隠れているけれど]
[まっくらな中にぽかりと、光が浮かぶ。
洞窟を照らすヒカリコケとは異なる輝き。
くるくる回って、近寄った。
何かに触れる感覚。
あたたかいか冷たいか、よくわからない]
違うの?
なんか、絵師様だってみんな言ってるけど。
[きょとんと首を傾げる]
ご兄弟で絵師様になるなんてすばらしいって。
みんな褒めてるよ。
ミハエルは、音楽もすごいし、絵もお描きになるんだって。
[押したり引いたり繰り返しの後。
目はないものの、訴えかけるような視線を感じて、きょとり、瞬く]
えーと。
喋れない、んだろか。
[多分今更な事を呟きつつ、くいくいと押す様子に、疑問符浮かべ]
うーん。
一体、どうしろと……。
というか、この黒いのって、多分地の色じゃない……よな。
……煤?
[そういうところは何でか、目につくらしい]
―回想・封じ前―
[子供のころから絵を描く事が好き、
という絵師の言に、少女の目が細められた]
へえぇ。
じゃぁ、絵師様になれてよかったね。
エーリッヒ様の描く絵はすごいのだ、
みてると、心を揺すぶられる気がするのだ。
[隠すことなく彼の腕への尊敬を表し、
ひとつ問いに答えがなかったのは気にしない様、
そして、さいごの言葉を聞きつけた為か、振り向いて瞬いた]
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