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[引き寄せられる様に集まる人々の姿]
はい。
[呼ばれた名に、返事を返す]
[男の声には振り返り、挨拶を返した]
これは…。
獣に銜えられ、引きずられでもしたのでございましょうか。
だから、外からも?
[途切れがちなあかの線が向かう先を、碧の瞳が映す]
[それを辿る様に少しだけ、歩を進めた]
あらあら。皆さん、おはようございます。
[努めて冷静に。そして、丁寧に。]
今日は何だか、空が暗いような気がしますね。
私の眼がおかしくなければ…の話ですが。
[左眼がぎょろり]
こんな朝は、気分まで暗くなりそうですね。
[服の替えなどなかったが、部屋の箪笥にいくつかあった]
[黒い服は丁度良く、それはある種の不気味さを覚えさせる]
[恐らく他の部屋にも、同じように衣類があるのだろう]
[昨夜の月はなく、体にも臭いはない]
[男にとって、人を殺した次の日の朝は、普段となんら変わりのないものであった]
[ふと意識が向いたのは、
誰のものか、誰の手によるものかということより]
……ニナには、これって、どう見えるの?
[足下を指差し、問う]
教師 イザベラが「時間を進める」を選択しました
なるほど?
たまにそういう奴がいる。
こちらへの対抗手段を持った人間が。
或いは「守護者」や「狩人」などと呼ばれる特殊な能力を人間もいる……アーヴァインもそう説明しただろう?
そいつがそうだったのかも知れん。
今となっては分からんが。
ええ。ナサニエルです。ええと、ニーナ…さん。
[ニーナに丁寧な礼をした。]
[ついでに足元の血痕に目を落とし]
獣が外に引き摺っていった…ですか。
言われて見れば、点々と続いてますよね……
[気味悪そうに眉根を顰める。]
しゅうえん?
[ポツリと声に返したのは、如何程経ってからだったか]
しゅうえん…終焉。
生けとし生けるもの全てに、平等に訪れる、死。
ああ。
[溜息が零れる]
逃げ切れなかった、のですね……。
[廊下に出る]
[と、先、ネリーを殺した場所に幾人かが見えた]
それは、此処で殺した血だ
死体は外においてある
誰か埋葬を手伝わないか?
[もう一つ聞こえた挨拶にも淡々と返して]
…空がでございましょうか。
花のあかばかり見ておりましたから、存じませんが。
[眼がおかしい、との内容に、女はあからさまに左の眼へと、碧の眼差しを向けた]
終焉が来ないと分かるまで、気分が明るくなることなどそう有り得ぬことでしょうに。
これ…、これ、ですか?
[少年の指先はぼやけて見えません。
届いた質問に、杖でついて確かめてから、]
黒っぽい赤、としか。
臭いは強いですけど。
[言葉は説明になっていたでしょうか。]
そう?
いつもと余り変わらないような気もするけれど。
[やって来たイザベラの台詞に首を傾げ]
……殺した?
クーが、やったの?
[聞こえた言葉から浮かんだ疑問を、真っ直ぐに返す]
[問いに、紅蛇は闇色を蒼氷から逸らし。
すい、と鎌首を他所へと向ける。
それを追い、振り返った先。
ため息が零れるのが、聞こえた]
……逃げ切れなかった。
何かから、逃げるのを望んでいた、か?
[届いた言葉に、何気なく投げかけるのは、短い問い]
こういうときだからこそ、です。
[左眼に向けられる視線に、狼狽の態度を見せ、
取り繕うよう糸目にしようとする。]
……誰でしょうかね。メモを更新しないと。
[その痕跡に眼をやり、メモを開く。]
[一つの疑問に答えが返り、
右手は口に当てた侭、杖の付く先を見る]
……ふぅん。
これも、赤なんだねえ。
[しげしげと眺めていたものの、
やはり臭いはきついか、後に下がった]
―回想―
いいえ、私は。
[常ならば響かない足音を聞き取られたのは、相手がそれだけ緊張していたからか。それとも]
探すために特別な手段など持ちませんから。
ただ慣れた時間にと。
[陽の強き光は苦手だった。
月の淡き光の中でも遜色なく物を見ることは出来た。
様子を窺い歩くのに夜を選んだのなどその程度の理由だった]
いいえ、私は――っ。
[問いに身体を強張らせ、答えながらも逃げようとする。
けれど男が距離を縮める方が、身を翻すよりもずっと早くて]
獣が…?
何故、でしょう。
番人の時は、そのままでしたのに。
[周りのひとの言葉に、顔――は見えませんから、色を一つ一つ見渡しました。]
空?
[聞こえた声に首を傾げて、眼をずらします。
けれど、よく分かりませんでした。
そして、声がもう一つ。]
生きるために終焉の使者を殺すのが必要だろう?
夜中に女一人で歩ける――使者じゃないかと思ったんだが、違ったようだ
[ラッセルの疑問には肯定を]
死ぬのは御免だからな
――そう、己が運んだ
殺してな
[廊下の先、くらい色の赤が見える]
殺された、では無いのですね。
[言葉の引っ掛かりを呟き、同じ疑問を持つ声を聞く]
私の力では、手伝えるかどうか。
入用ならばお貸しいたしますが。
…外に行けば、どなたが居なくなったか分かるのですね?
―回想―
[押さえる力は如何とも出来ぬ程に強くて]
――!
[ただ一度、震えただけ。
声も出せぬまま「あか」を零して「くろ」へと沈んだ]
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