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─宿屋・酒場─
[短い説明で合点が行ったらしいヘルムートに、こく、と頷く。
続いた言葉には、曖昧な笑みを浮かべるに止め]
……というか、なんで、みんなウチの頭撫でるんですかぁ……。
[口をついたのは、場違いな文句。
廊下側の扉が開く音に気づくと、ふと、そちらを見やり。
それから、何となく、視線を下げた。
下げた視線は、足元のぶち猫の目と、ちょうどかち合う形に]
[出掛けには子供に昨日と同じ言付けをして、宿へと向かう。
途中で向けられる視線は相変わらず気には止めない]
― →宿屋―
……あ?
[扉を開く。
いつもの挨拶をするより先に、リディの死を告げる声が耳に届き、男は片眉を上げた]
─詰所外─
[詰所を出たところで目に入った港方面を眺める。未だ天候は不安定で、海に出れるような状態には見えない]
……結社の連中もこの天候じゃここにゃ来れねぇよな。
俺よりゃあ本部の連中の方が……いや、んなことは言ってられねぇか。
[ふぅ、と息を吐いて緩く首を横に振った。周囲には未だ見の証明が伝わっては居ないために怯えた視線を向けられたが、それを気にしている暇は無い。今日の処刑をどうするか考えながら、フーゴーは宿屋へと戻って行った]
[ヴィリーが起きたことに気づけば、ほっとしたように笑みを向ける。]
よかった……自警団の攻撃がつよすぎて起きないかと思った。
[ダーヴィッドのことを悔やむ様子に、僅かに瞳を伏せる。
ヘルムートの声に軽く瞬き。]
強い? あたしが?
まさか……ただ逃げてるだけだよ。
[ふるり、と首をふる。
現実を認識することから、死と向き合うことから逃げて、ただ親しい人の無事だけを喜ぶことのどこが強いと言うのか。
ヘルムートの言葉にただ否定だけを返した。]
―宿屋・酒場―
こっちに居たか。
[ヘルムートとクロエの会話を耳にして、僅かに笑う。
こちらを見たクロエと一瞬だけ視線が合い、そらされた。
笑みは消え、少し離れたテーブルの椅子を引いた]
誰も止められなかったよ。
[ヴィリーの言葉に答えるともなく言った]
─回想
[皆のやりとりを聞きながらも『処刑』の事が頭を巡り落ち着かず。誰に何を告げるでも無く静かに部屋に戻って頭から毛布を被る。実際はそれは逃げでしかないのだけれど。そのまま気が付けば眠りについて。目が覚めて聞かされたのは一人が連行され処刑された事。そして次に聞かされたのは、あの少女が襲撃された事。]
…夢とか、御伽噺じゃないんだね。
実感沸いてなかったけど…。
[その瞳にほんのりと暗い光が灯る。それは生きる覚悟かそれとも、違う覚悟なのか]
[ルーミィから声をかけられれば、あぁ、と頷き。
ゲルダへの言葉には、自分の見てきたルーミィらしくないな、と眉を顰めた。
ゲルダから、よかったと言われればその顔を少し和らげて頭に軽く手を置き]
…心配を、かけたな。
― 宿屋・自室→酒場 ―
[眠った、というよりは何度か意識を落とした程度のまま朝を迎え。
身支度を整え部屋を出れば、いつかの路地と同じ匂いに眉を寄せた]
[その匂いが一番強く混じる部屋の前、一度立ち止まれども。
そちらの方は見ず、酒場へと足を向けた]
[酒場での話題は容易に想像出来たものであったが。
いつものように、リッキーに水を求める以外は無言で目を伏せたまま]
……ひでえことしやがる。
[暫くの後、零した]
……ち。
まぁだいるってコトかい。
[遅れて届く血の香。
舌打ちをし、だが2階の様子を見に行くことはしない。
やや乱暴な動作で、カウンター席に座った]
─宿屋・酒場─
[少し首を傾げ、じい、と見上げるぶち猫。
物言いたげな目に、困ったようにわらった。
昨夜、扉越しに聞いた言葉が浮かんで消える。
聞きたいのに聞けずにいる事が多すぎて、でも、どう聞けばいいのかわからなかった]
[アーベルから、誰も止められなかった、という言葉を聞けば表情を翳らせて]
…そう、か。
この、臭いは、なんだ?
[先程から鼻をつく、鉄錆の臭いを聞いた。]
─宿屋─
[宿屋へ戻るとだいぶ人が集まっていて。「戻った」の言葉を発するも、いつもの定位置であるカウンターへとは入らずに]
…ライヒアルトぁ居ねぇのか。
嬢ちゃんはこっちで弔うって話をつけて来たってのに。
[顔触れを眺め、目的の人物が居ないことに軽く眉根を寄せた]
[ヴィリーの手の感触に、軽く瞳を伏せる。
ゆるゆると首を振って。]
ほんと、よかった……
ヴィリー兄、なんかのむ?
[安堵の吐息を零しながら、軽く訊ねる。
ヴィリーが目覚める少し前に起きたばかりで、なにも口にしていないことを思い出した。]
きっと、とめたいのなら。
ほんとうにとめるつもりでいるのなら。
みつけるしかないのよ。
[それが決まりというが如くに、ヴィリーにつげる]
……ダーヴィッドさんが狼だったのなら。
ある意味ではとめた、といえなくもないけれど……。
[今もなお、血のかおりはただよって。
それでもいくぶんは、窓をひらいたことで軽減されているが]
― 森→宿へ ―
…――帰りましょうか。
[海も見て行こうと思ってはいたのだが、
戻らねばならないとは感情でない部分で理解しているから。]
…―――っ。
[不意に襲った頭痛に、少し眉を顰める。
ゆるりとした――それは足が重いようにみえるか、
足取りで宿の方へと学者は歩を進めている。]
―宿屋―
[帰ってきたフーゴーにいつも通り片手を挙げる]
……あぁ、そいやいねぇな。
先生のコトだ、また観察でもしてんじゃねぇの。
[今朝の顛末を知らぬ男は、気の無い口調で言った]
[新たにやって来た者たちの気配に、顔を上げる。
ユリアンの方は、一瞬見ただけで、やっぱり目を逸らして。
ウェンデルには小さく手を振った]
……ん、ライ兄さんなら、まだ戻ってない、よ。
いつもみたく、森、行ったのかな?
[眉根を寄せるフーゴーの言葉に、小さく呟いて。
ヘルムートがヴィリーに向けた言葉に、緩く瞬いて]
……ひと、だった、よ。
あの、騎士さん。
……狼……減って、ない。
[小さな声で、ぽつり、と告げた]
クーちゃんがあいされてるからかしら?
ざんねんながら、あたくしの本命ではないけれど。
[そういいながらも、やはりあたまをなでつづけ]
そう思っただけ。
ごめんなさい、ふかくは気にしないでちょうだい?
[ゲルダから返る否定のことば。
おおくはつげずに、謝罪を述べた。
ヴィリーがまゆをひそめるのに気付き、むけるちいさな笑み。
それはどのようにもとらえられる類のもの]
……だろうな。
[ウェンデルの言葉には嫌悪に近い表情で声を漏らした]
さて、勝手ながら現状について纏めさせてもらう。
聞きたくねぇ奴は耳塞いどけ。
昨日連行されたダーヴィッドは人間だったそうだ。
そして今朝嬢ちゃん──リディが人狼に襲われた。
人狼はまだ居る。
だから、また誰かを処刑せにゃならん。
……だが自衛団に適当にしょっ引かれるのは勘弁だ。
それを決める前に『占い師』の二人にゃ誰かを調べて欲しいんだが…?
それか、もう調べたならその結果を教えて欲しい。
[言い終えると視線は『占い師』を名乗った二人へと向く]
[ゲルダから何か飲むか、と問われると、そうだな…と頷き。]
水を、くれるか。
[そう言った所で、ルーミィから言われた言葉に目を伏せて]
…俺は、それでも、止めたかった。
言っていたんだ。国へ帰ると。
[ダーヴィッドと交わした会話が、彼の願いが果たされなかったことが、悔やまれて。
だが、アーベルの言葉に、目を見開いて]
リディ、が…?
ライ、は。
[言葉が、続かない。幼馴染の安否はどうなったのか。]
ベルちゃんに、リアちゃん。
[かるく片手をかかげることであいさつの代わりに。
二人の「占い師候補」を、今はまだ対等にあつかって]
……それに、神父さまに。
おじさまも。
[あっというまに増えるひとの数。
それぞれの顔を一度ずつみくらべていく]
[クロエの、ダーヴィッドが人間だったという言葉。
ルーミィの、自分へ向けた笑み。
フーゴーの、占い師二人への結果を問う様子に、言葉を出せず。
ただ、フーゴーの幼馴染に関する言葉への嫌悪に疑問を抱いた。]
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