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─宿屋─
[宿屋へ戻るとだいぶ人が集まっていて。「戻った」の言葉を発するも、いつもの定位置であるカウンターへとは入らずに]
…ライヒアルトぁ居ねぇのか。
嬢ちゃんはこっちで弔うって話をつけて来たってのに。
[顔触れを眺め、目的の人物が居ないことに軽く眉根を寄せた]
[ヴィリーの手の感触に、軽く瞳を伏せる。
ゆるゆると首を振って。]
ほんと、よかった……
ヴィリー兄、なんかのむ?
[安堵の吐息を零しながら、軽く訊ねる。
ヴィリーが目覚める少し前に起きたばかりで、なにも口にしていないことを思い出した。]
きっと、とめたいのなら。
ほんとうにとめるつもりでいるのなら。
みつけるしかないのよ。
[それが決まりというが如くに、ヴィリーにつげる]
……ダーヴィッドさんが狼だったのなら。
ある意味ではとめた、といえなくもないけれど……。
[今もなお、血のかおりはただよって。
それでもいくぶんは、窓をひらいたことで軽減されているが]
― 森→宿へ ―
…――帰りましょうか。
[海も見て行こうと思ってはいたのだが、
戻らねばならないとは感情でない部分で理解しているから。]
…―――っ。
[不意に襲った頭痛に、少し眉を顰める。
ゆるりとした――それは足が重いようにみえるか、
足取りで宿の方へと学者は歩を進めている。]
―宿屋―
[帰ってきたフーゴーにいつも通り片手を挙げる]
……あぁ、そいやいねぇな。
先生のコトだ、また観察でもしてんじゃねぇの。
[今朝の顛末を知らぬ男は、気の無い口調で言った]
[新たにやって来た者たちの気配に、顔を上げる。
ユリアンの方は、一瞬見ただけで、やっぱり目を逸らして。
ウェンデルには小さく手を振った]
……ん、ライ兄さんなら、まだ戻ってない、よ。
いつもみたく、森、行ったのかな?
[眉根を寄せるフーゴーの言葉に、小さく呟いて。
ヘルムートがヴィリーに向けた言葉に、緩く瞬いて]
……ひと、だった、よ。
あの、騎士さん。
……狼……減って、ない。
[小さな声で、ぽつり、と告げた]
あんたは、人に何を期待してるの?
[人として持ち合わせたものなんて何がある、とでもいいたげな]
人は寂しいから支えあう。求め合う。
人は弱いから。
欲求でしかないだろ。
[支えあうことは弱さを認めてるのと同じだと]
…あんたは、人間であれば良かったと思ってるとでも?
クーちゃんがあいされてるからかしら?
ざんねんながら、あたくしの本命ではないけれど。
[そういいながらも、やはりあたまをなでつづけ]
そう思っただけ。
ごめんなさい、ふかくは気にしないでちょうだい?
[ゲルダから返る否定のことば。
おおくはつげずに、謝罪を述べた。
ヴィリーがまゆをひそめるのに気付き、むけるちいさな笑み。
それはどのようにもとらえられる類のもの]
……だろうな。
[ウェンデルの言葉には嫌悪に近い表情で声を漏らした]
さて、勝手ながら現状について纏めさせてもらう。
聞きたくねぇ奴は耳塞いどけ。
昨日連行されたダーヴィッドは人間だったそうだ。
そして今朝嬢ちゃん──リディが人狼に襲われた。
人狼はまだ居る。
だから、また誰かを処刑せにゃならん。
……だが自衛団に適当にしょっ引かれるのは勘弁だ。
それを決める前に『占い師』の二人にゃ誰かを調べて欲しいんだが…?
それか、もう調べたならその結果を教えて欲しい。
[言い終えると視線は『占い師』を名乗った二人へと向く]
…――何も期待してませんよ。
[返ってくるとは思わなかった応えに、
少し間の空いた後、囁きを返す。]
嗚呼、ヒースクリフさんはご存じなかったのでしょうか。
私は、元人間です。
――時折、人は、私を哀れだと云うものですから。
今、人である貴方が、
そんな存在になる覚悟があるのかと思いまして。
[そして淡々と]
後天的な人狼は、大概そう長くは生きれないそうですよ。
そして、それはおそらく間違ってません。
[頭痛に少し眉を寄せながら告げた。]
[ゲルダから何か飲むか、と問われると、そうだな…と頷き。]
水を、くれるか。
[そう言った所で、ルーミィから言われた言葉に目を伏せて]
…俺は、それでも、止めたかった。
言っていたんだ。国へ帰ると。
[ダーヴィッドと交わした会話が、彼の願いが果たされなかったことが、悔やまれて。
だが、アーベルの言葉に、目を見開いて]
リディ、が…?
ライ、は。
[言葉が、続かない。幼馴染の安否はどうなったのか。]
ベルちゃんに、リアちゃん。
[かるく片手をかかげることであいさつの代わりに。
二人の「占い師候補」を、今はまだ対等にあつかって]
……それに、神父さまに。
おじさまも。
[あっというまに増えるひとの数。
それぞれの顔を一度ずつみくらべていく]
[クロエの、ダーヴィッドが人間だったという言葉。
ルーミィの、自分へ向けた笑み。
フーゴーの、占い師二人への結果を問う様子に、言葉を出せず。
ただ、フーゴーの幼馴染に関する言葉への嫌悪に疑問を抱いた。]
― 酒場 ―
…――遅くなりました。
[扉をあける前、ひとつ息を吐くと、
頭痛に寄せた眉を戻した無表情となる。
その表情のまま、酒場に集まった人々を一瞥すると、
スタスタといつもの場所に向かい、腰を下ろす。
鳥籠の小鳥が小首をかしげて、
そんな学者を見てひとつ鳴いた。]
……あいされてる、ってなんですかぁ。
ホントに、なんでこう、みんなして子供扱い……。
[ヘルムートの言葉にぶつぶつと呟く。
それから、耳に届いたアーベルの宣と、フーゴーの言葉に。
黒の瞳で、二人の『占い師』を見比べる。
瞳は、最終的にはややためらいがちに、従兄の方へと。
黒に宿る、不安と、揺らぎと。
何か、願うよな、いろ。
微かなそれらは、見て取れるか]
[クロエには軽く手を挙げて返した]
……んぁ。
なんだい、何かあったのか?
[いつもと違う声の調子に気がついて、顔を上げてフーゴーを見る。
すぐに男の視線も占い師たちへと流れる為、答えが無くとも然程気には止めないのだが]
[ヴィリーの言葉にうん、と頷き。
リッキーのところへと向かい水をもらう。
その際、ちょっとでもいいから食べるようにと無理やり押し付けられたスープ皿を困ったように見やり。]
……まあいいか。
誰かたべるだろうし。
[小さく呟き。
トレイをもってヴィリーの近くへと戻る。
つぎつぎ宿にやってくる人たちには、軽く挨拶の声を掛けながら。
占い師へと指示を出すフーゴーの声には、なにも言うことはなかった。]
[戻ってきたライヒアルトの声と、鳥の鳴き声に、ぶち猫がにぃあ、と一鳴き。
近づかないのは、鳥籠の小鳥に遠慮しての事か、他に理由があるのか、それは定かではないのだが]
……クーちゃん、そういうの、分かるの?
[そういえば、だれかがそんなことを言っていたような]
それで、よけいに辛いのね。
ごめんなさい。
[やわらかく、クロエに謝罪のことばをむけて。
みつける、と、宣言するアーベルにはうなずきをかえす。
フーゴーのまとめには、かるく眉根を寄せ。
二人の「占い師候補」のようすをうかがう]
あぁ、噂をすれば。
[現れたライヒアルトに視線を投げる。
ヘルムートの視線に気がついて、そちらにもちらと目を寄越すか]
……おぅ、ライヒアルト。
嬢ちゃんの弔いはこっちで請け負うことになった。
てめぇがやるなら後ででもやってこい。
[戻って来たライヒアルトには事務的に結果を告げるだけで。ウェンデルからの問いは「……ちょっとな」とここでは言わずにおいた]
ライヒアルトさんが、第一発見者だと。
…出かけて、戻ってきたみたいだね。
[ヴィリーの途切れた声に答える。
答えている間にライヒアルトの挨拶が聞こえてきた]
……まだ視てない。
そっちは?
[フーゴーに答え、ユリアンを見つめたまま問いかける。
カードケースを取り出してテーブルの上に乗せた]
[いつもなら真っ先に人の輪に飛び込むところだが、今日はどこに居れば正解なのかを見極めきれず。酒場の隅の壁際の席に壁にもたれるように一人でポツリと座っていた。ダーヴィッドの事、リディの事。それらがポツポツと耳に入っては流れていく]
…誰を信じたらいいんだろ。私は。
それとも…皆を疑えばいいのかな。
[幼い頃に止めたはずの爪を噛む癖が再び顔を出していることにも気づかない]
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