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─広間─
……それは、そうだけども。
沸かすぐらいはすれば良いのに。
ユリさんが風邪引いちゃう。
[血まみれでうろつく、との言葉には軽く眉根を寄せたが、そう続けて。でもユリアンなら風邪も引かなそう、と思ったのは口にしないでおいた]
でも、
[ハインリヒの返答は、聞いているのかいないのか。
彼の声が途切れたのちに唇が動く]
たとえ、村の人が、そうだとしたって。
僕は――……………
[促しに従うよう、少年の体が、一歩下がった。
しかし、そこからなかなか、動こうとはしない]
村の長たる者は、為すべきことを、為さなければならない。
[ひどく、冷えた声。
桶を持つ手が、持ち上がった]
[エルザの名が出れば、指先は微かに震えたか。
軽く目を閉じてから]
…まァ、な。
ちょっと、夢見が悪くて…
[呟きが聞こえていたとは知らずに、相変わらず垂れ続けるユリアンに振り向く。
原因は夢では無かったけれど、そう言って誤魔化した]
―広間―
「朱」
[小さな呟きが傍で聞こえた。
そういえば彼女には知られていたのだった]
蒼花。
ごめんなさい。
[朱花を宿している時は、その知らせを確りと受け取ることが出来なかった。苦しみすら理解が出来なかった。
けれど遺された対は苦しんでいる。表情からも窺い知れて小さく謝り手を添えた]
村長の息子 フォルカーは、団長の孫 イレーネ を能力(守る)の対象に選びました。
ああ、それな。忘れてた
正確にはそんな考え浮かぶような余地がなかった感じだな
[沸かすという言葉にはきぱっといった
イレーネに内心どう思われてるかについてはしらないまま]
今から温まればなんとかなるって。
[ぎょっとしてるオトフリートには気づかずに大丈夫大丈夫というように手をひらひらさせた。]
[イレーネの視線とオトフリートの反応に、にっこりと笑顔で]
ふふふふー。
料理は愛情、お酒は真心。すべてに共通するのは笑顔…ってーのが母さんから教わった基礎だから。
笑顔と愛情と真心が篭った料理は、多少失敗してもそれなりに美味しくなるんだよー?
[つまり、失敗した場合はすべて笑顔で誤魔化してきた、ということだ]
………うん、でも水浴びはやりすぎでしょー。
風邪引くよ、いくらユリちゃんでも。
─広間─
[言うに僅かに先んじて、イレーネが気づいた様子にほんの少し、笑む。
部屋の暖かさと紅茶の温かさに、大分、気が静まっていた。
だからと言って、抱える悩みが薄れるわけではなかったが]
[一方、猫は伸ばされる手を避けようとはせず。
案ずるように、自分からすり寄る仕種をしつつ、なぁ、と短く鳴いた]
/*
不安が大きくなってきたので、非推奨ですが一言だけ。
ライヒアルトさんは大丈夫でしょうか。
墓下も勝手に動いておりますが、好きなようにされてよいと思うので気にせず動かれて下さい。
でもご無理もどうぞなさらないで下さいね。
*/
─広間─
[オトフリートの説明と、ローザの説明を真摯に聞いて。途中ローザの持論は極端だと思わないでもなかったが、一応の納得はした]
……はぁ、ユリさんらしいというか。
[沸かすという選択肢を忘れてた、と言うユリアンには、馬鹿だ、と思ったとか。尤も、考える余地が無かったと言う理由は納得出来たため、口にすることは無かったが]
そりゃぁ…こんなときだし、仕方ないね
休んだほうがいいと思ったらそうするんだよ
[振り向くヘルミーナの様子を垂れながらもどこか注意深く見つめて]
というかヘル姉も冷たくない?
[なんとなく自分の発する空気と同じで冷たい気がして聞いてみた]
―台所―
[どうにか水を飲んで喉を潤すと、今度は腹が減ってきた。そういえば今日は何も口にしていない。
菓子やらはあらかた広間に運ばれているようで、台所に目ぼしい物はないように見えた。単に探し下手なだけかもしれないが。]
…向こう行くか。
[結局広間へと顔を出す事になり。
先にそこで各々談笑していた者らへ、軽く手をあげ挨拶する。ただヘルミーネに気づくと、あからさまに視線を外して合わせようとはしなかった。]
―→広間―
そういうこと。今じゃ、商売もなにもないけどな。
[ウェンデルの言葉に頷いてからそう言い]
そうか、長旅だったんだな。でも用意がいいのはいい事だ。
[指先で右肩の後ろ、ちょうど刻印のあるあたりに触れられて]
ああ、これか…。
[少し言葉に詰まってから]
奴隷だった証、俺が小さいときにいた地方でのな。
今じゃ法的に解放された身だけどな。
[そう答えてから]
さっ、風邪引く前に着替えてさっさと広間行こうぜ。
色々精一杯だったんだからそれはいいっこなしってことで
まあそのときはそのときで考えるよ
[ローザの言葉になるようになれとさえ聞こえる言葉はむしろオトフリートの不信感を知らぬ間に増やしてるかもしれない]
…ぁあ…後な、エルザだが、勝手に埋葬した
[と、広間の面々に説明し、場所と突きたてた木の棒にバンダナを巻きつけているという目印も加えて説明する]
ダービーちゃん、おはよ。
パンとかドーナツとかあるけど、食べる?
[自分は食欲がないから薄焼きクッキー数枚しか食べてないが、ダーヴィッドならきっといつもどおりに食べるのだろう、と勝手に思ってる]
―勝手口から外―
…っと…フォルカーっ!
[振り下ろされた桶に腕に抱えた薪の束をぶつけて力を削ぐ。
乾いた音がして、薪はバラバラと雪の上に落ちていった]
おい、どういうつもりだ。
余所者なら何してもいいとでも思ってるのか。
[フォルカーの頭を押さえて険しい表情を向ける]
まあ、そうなんだろうな。
[いいから、行け、と、頭を押さえていた手を離し、フォルカーの背を押した。
その力には、有無を言わせぬものがあっただろう]
ったく、余所者余所者って…
[短くなった煙草を雪の中へ落とし、フォルカーが動くまでは動かぬつもり]
─広間─
[ダーヴィッドがやって来ると、挨拶の後に自然視線がヘルミーネへと向く。言葉は何も発さなかったが。ダーヴィッドへと視線を戻すと、ヘルミーネを見ないようにしていた。それにより例の話が事実であることを悟る]
ダーヴさんも紅茶飲む?
……と、あの二人が戻って来るとちょっとカップ足りないな。
取って来る。
[広間に居るものに声をかけると、椅子から立ち上がり。ユリアンの、エリザベートを埋葬した話を聞いてから台所へと向かった]
そ…っか。
[埋葬、という言葉が聞こえれば、数度瞬いて。表情を曇らせる]
……あとで、パンとかお菓子とか、お供えしに行かなきゃね。
[苦笑交じりに言うと、パンをいくつか取り分けておく。
エルザの好みだと、どれが良いだろう]
らしいって…まぁ、褒め言葉として受け取っとくよ
[確実にそうじゃないのがわかりつつもイレーネに答え]
うん。頼む。
ローザのほうがエルザの好み知ってるだろうしな
そうするよ。
[ユリアンの忠告には素直に頷きながら、紅茶のカップを傍に置く。
すり寄って来る黒猫を抱き上げ、膝に乗せた。
伝わる温もりと鼓動に少し目を細め、
たところで、冷たいという指摘にちょっとびくっとした]
…そうか?
[惚けてみせたが、随分と間が空いた。
誤魔化すように抱き締められた猫は、少し苦しかったかも知れない]
―外・勝手口―
[中身は空の桶。当たったとてさしたる威力もなかったろうが、薪とぶつかり合う音は存外、高く響いた。手から離れた桶もまた、雪の上を転がっていく]
っ、 ぁ、
[頭を押えられた少年が、怯む――というより、普段の様子を見せたのは一瞬のこと。すぐさま、「余所者」を睨み上げる]
……余所者じゃなくても、だ。
[押し殺した声は、殆ど吐息のようだった。
解放され背中を押されると、ハインリヒから距離を取り、踵を返して集会所へと戻る。後ろは、振り向きすらしなかった]
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