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[表札が白い板へと変わってしまった、エーリッヒの部屋とアーベルの部屋。
そのドアの前にも、手向けのように花を飾って。
自室に帰ると、じゅうたんの上には、
ドールハウスの中でずたずたにされた金髪の人形。
ドールハウスの裏で転がっている、首の取れた人形。]
[優しい夢を、見ていた]
[ふわふわ]
[身体が浮かび上がる。ふわふわ。
…ああ、そうじゃない。
抱き上げられて、揺られているんだ。
『…軽いんだな』
ベアトリーチェと同じ顔をした少女の最期を『視て』気を失ったあの時。
自分も身体が冷たくなって、このまま、死んでしまうのかと思っていた。
とくん、とくん、とくん。
心臓の音が聞こえた。
温かい胸。男の人の腕だ。
『おやすみ、歌姫』
あたしをこの世界に呼び戻してくれた、あの温もり。あの、声]
[あの、心臓の音]
[その名を呼んだ瞬間、はっと目を見開いた。全身は恐怖にこわばり、翠の瞳には幻しか映らない]
[白い絨毯は紅く紅く紅く――滲む視界。これは、涙?]
『僕が何をしたと言うんだ』
[その声は何故か...自身の唇から零れ落ちる。双眸に映るはエルザとミハエル。…それはエーリッヒが最期に見たもの]
ああ、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん…エーリッヒ。
あなたはただ怯えていただけだったのに。
あなたは、人間だった…!!
だからこそあんなにも震えていたのに。
[視界が、感覚が、元に戻ってくる]
[けれど、...の見る世界は涙に滲んだまま]
[拭われたのか、消えうせたのか、手にはもう血痕は残っていなかった。ただ、包帯の巻かれた左腕が痛い]
――ずっと続く平穏。それだけを望んでいたのに、どこで間違ってしまったのだろう――
[涙が溢れ出す]
[…あの夜、命を歌っていたエーリッヒの心臓]
[折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って…]
[いや違う]
[瞬けばそこに広がるのは一面の白]
[紅く染まっているのは]
僕の手、か。
[目の前に持ち上げた手を見つめる]
[直接血に触れたわけではなかった]
[しかし]
僕が、殺した。
[小さく呟く]
[何かを確認するように]
[揺れる瞳を瞼が隠す]
[そして再び開いたその瞳は]
僕はエルザを守る。
[たとえ何と引き換えようとも]
[それが何人であろうとも]
彼女は傷つけさせない。
[翠が僅かに青みを帯びる]
[暗い色味を]
守らなくちゃいけない。
[全ての痛みを押し殺して]
[自らに言い聞かせるように呟き続ける]
[ベッドを降りてシャワーを浴びる]
[冷たい水を]
[それから熱い湯を]
僕には力は無い。
[外に出ればクローゼットを探り]
でも諦めない。
[短剣を腰に下げて上から服を着る]
守るんだから。
[拳銃は手に取った後、首を振って机に置く。
扱ったことの無い武器をまともに使えるとは思えなかったから]
[その上に白いレースを掛ける。
ぱっと目には何であるか分からなくなっただろうか]
[走り出したユリアン。
引かれて走る、イレーネ。
二人が裏庭から消えるのを、見送って]
殺すなら……自分が、生きるために。
[勝手な願いだと。
わかっている。
何の拠もなく、正気で人を殺めるのは……]
…………。
[やがて裏庭には、彼と彼のみ。
幽霊の形骸と。
名を無くした、ただのアーベルの残滓だけが残る]
…………。
[虚ろな静寂]
……?
[不意に感じた、声。
少年の決意の声。
ああ、と思う]
……硝子……。
[少年の決意の言葉は。
返り血に濡れた聖女を、思わせて]
……カティア。
[名を、*呟く*]
[仕度を整えれば隣の部屋へ。
入口のプレートが白く変わっていることを目に留めながら]
[主の居なくなった部屋には死体も無く]
[ただ赤と白の羽根が床に散らばっていた]
[そしてその中に]
――剣。
[一振りの銀色]
[ゆっくりと手を伸ばしてそれを拾う]
[そしてゆっくりと腰に挿し]
重たい。
[何かが圧し掛かってくるようだった]
――負けない。
[首を振り、微かに走った脇腹の痛みも無視して立ち上がる]
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