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[廊下をぺたぺた裸足で歩く。
白のスリップ一枚で。
半開きのままのドアの横。
青い姿のプレートは白く変わっている。
見上げた翠の瞳はゆっくり瞬いた。]
さいしょは ひとり
つぎから ふたり
――裏庭――
[部屋を出るとき、その背後でイレーネが不安そうに自分の名を呼んだ事にも気付かずに。
ユリアンは最初、それをボールだと思った。
踏み荒らされて乱れた草。
争った跡だと考え及ばず、そこに落ちた糸を見つけるより早く――
何の心の準備も無いままで、ボールの中にアーベルの顔を見た。
紅でもさされたかのような両頬の赤い手形。
何も映さない虚ろな瞳と、ぽっかりあいた頭の穴。
そこから零れ落ちる、本来よりもずっと量の減っている、何か]
――…え?
[離れた場所には、ほとんどの内臓を失った彼の胴がある筈だ。
だけども丸いそれが、何であるのかを理解するのに精一杯]
アーベル…さん?
まさか。
[ベアトリーチェに良く似た生首を見つけた時だってそうだった。
これは良くできた、アーベルではない何かだと鼻で笑おうとしているのに、こみ上げる吐き気がそれを許してくれない]
匂いまで再現するなんて、いたずらにしたって…はは
いたずらにしたって…あんまりだ。
[現実を受けとめかねて、声が震えているのが分かる]
だってこんなの…本物のわけない。
アーベルさんのわけない…
あの人は強い。
誰にも負けないよ…妙な化け物がいるとして、それにだって勝つ!
偽物だこんなの…ほら、こんなに軽い。
[かつてはこっそり心中で憧れ、兄と慕った者の頭部。
中身半分は失ったそれは本来感じるべき重さよりずっと軽かった。
ユリアンはつまらないものを持ち上げる時の手で、その髪を掴んで持ち上げる]
アーベルさんの頭であってたまるか!
自室→裏庭
[ユリアンの後ろを、後からついていく。
裏庭の奥。穴の開いた壁のすぐ傍まで来ると、クレメンスの一件を思い出し更に不安は募った。
声を、掛けようと、口を開き]
ユ・・・
[森の途切れたその場所に、朝の陽が差す。
明るい暖かな光が、血を、肉を、照らしている。
ちらばった銀糸が、美しく煌き]
あ・・・
[アーベル…。
青年の母、ヒルデの面影…目鼻立ちがよく似ている…が、さっと過ぎる。
「銀糸の幻魔」
糸を駆使して人の命を絶つ、悪魔の技を持つものとして教会の異端審問局で敵視されていた。それは五年前の神父殺しに関係がある。
クレメンスも、ほんの噂程度で聞いたぐらいでしかなかった。]
──自室→廊下──
幾らたっても変わらぬものは
一体どこにあるのだろう?
[髪の毛をかきあげ、
ベアトリーチェの後ろに立った。
アーベルのプレートの名前は既に消えていた。]
…アーベル。
[頭痛を覚えた]
――ッ!
[何かが足元に飛んできて、反射的に後ろに避けた。
飛んできたものはごろりと転がって。と、視線がぶつかる。飛んできた、ものと?
穴というには大きすぎる、大きな空間が開いているが。蒼い髪。蒼い瞳は確認でき]
・・・アー、べ・・・?
[口から出た声は呼びかけるようで]
アーベル!?アー・・・あぁ・・・ああぁあああああッ!!アーベル!!!!
[その首まで、一歩も踏み出せることなく、その場に膝をついた。
周囲には、血が、銀糸が、ほんとうに細かく飛び散っていて]
… [───、───] …
みんなみんなおこさなきゃ。
悪い夢からおこさなきゃ。
このままだったら、かわいそう。
[クレメンスは、小さく呟くように歌う]
おはよう、したみたい。
[振り向いて、きょとんと神父を見上げる。]
なんでかな?
しれん しないから?
かみさましんじていないから?
それとも…だいすきだから?
やめろよイレーネ!
[いつの間にか後ろに立っていたイレーネ。
アーベルの名を叫びながらその場へ膝をつく彼女に対し、ユリアンは心配した顔を向けて手を差し伸べてやることもできない。
――悲鳴にも似た叫び声を響かせるだけ]
その名で呼ぶな…
そんなわけないっ
アーベルさんは生きてる!
こんなことに…なるはずがないッ!そうだろ!?
[”ボール”には意図的に視線を向けることなく、イレーネに激昂してみせることでどうにか、意識が現実に繋ぎとめられている。
彼女にあの名を呼ばせてはならない。
呼ばせさえしなければそれは、アーベルの頭部などではなくなると信じているかのように、イレーネへと近付き肩を掴んで揺さぶる]
まっかに なって おはようおはよう
からっぽ なって おはようおはよう
[少女は笑ってくるりと回り、手駕籠を持って階段へ。
ぺたりぺたぺた、裸足で降りる。]
[クレメンスは膝をつくと、ベアトリーチェの目線に。]
さあさあ、どうしてなのだろう?
試練に彼は勝てなかった。
そういう見方もあるからね。
[クレメンスは微笑む]
神様の敵は何時も屠られるものだけど、
神様は彼にきちんと平等に
試練を与えていたでしょう。
行ってらっしゃい、ベアトリーチェ。
[少女が階段を降りてゆくのを見送った]
[視線はアーベルの首を凝視して。
ユリアンの事は忘れてしまったかのように。
力の抜けた手は、ぱたりと物のように下に下ろされ。
肩を揺さぶられても、その視線の先は変わらず。
ユリアンの叫び声のような言葉に、随分と遅く、反応した]
・・・・・・。
[それは沈黙で。それでもユリアンに目線を向ける]
[やがて気高き獲物は追い詰められて屠殺され。
腹部を爪で切り裂かれ、
溢れた血潮をみなで浴び、
とどめをさしたものが いの一番、
最初に内臓を口にして、
クレメンスは神へと獲物(生贄)を捧げました。
儀式用のナイフの柄にえがかれた白薔薇は、赤薔薇に染まります。]
きゅうにん ななにん ごにんに さんにん
おはよう おはよう おはよう おはよう
[手駕籠を抱えて、歌いながら裏庭へ。
無惨に喰い荒らされた、青年の身体の前にぺたんと座り、
幼子をあやすように、ぽんぽん撫でる。]
よかったね よかったね
もういやなもの みないですむね
>>17
[声に反応してくれるまでの間イレーネはずっと其を凝視していた。
強張っていた自分の手とは対照的に、その手は力なく下されて。
永遠とも思える様な長い時間の後、彼女はこちらに目線を向ける。
もう叫び声もあげず名を呼ぶ事もなく、沈黙と共にこっちを見た――
震えるユリアンの手は彼女の肩から離される]
ああ、頼むから…
[代わりに自分の顔を覆うユリアンの両手の隙間から、かすれた声が漏れる]
そうだと言ってくれよ…お願いだから…
[痛々しいユリアンの姿に、僅かの冷静さを取り戻す]
・・・・・・仇を。
[その呟きは、冷静さと呼ぶにはあまりにも静かだったかもしれない。
底にあるものがあまりにも熱くて、冷やす温度はそれ相応の冷たさに。
それは復讐心か、恐怖か。
アーベル。アーベル。あたしに少し、似てると思った人]
ククククク…
[知らず、愉しげに嗤いがこみ上げた。
人間性は、狩りの最中に奪われ、月の幼子である、人狼。
獣の本能が支配する。
球技の球と化したアーベルの頭をキャッチボールし、頭蓋骨に穴を開ける。爪先で掬うゼリーに似たものは、とても甘い味がする事だろう。仲良く、三匹で分けましょう。]
[あかき者は、「銀の」の襲撃を止めるつもりなど、微塵も無かった。
それによって我々に、齎される物の大きさを、彼は分かっていたからである。
命を下しておきながらまだ苦痛を見せる「女王」の言葉には、
騎士に異論などある筈ないと
貴方の命ずるそのままにと
闇とあかの混じった笑みで、そう返した。]
[アーベルを裏庭に呼ぶのは容易かっただろう。
腕を組み挑発するような笑みを浮かべ、此方に気を引き付けておく事も。
ふたつの影をふたつのあかき瞳が捉えれば、彼は悠然と微笑む。
突然の来訪者に、驚きはすれど怯みはしない。
流石だ、と呟くと、彼は小さく跳んで距離を取る。
アーベルに何の真似だと問われれば答えただろう。
ちをえるために。
腕を組んで。
それは争う意思の無い事を示す。]
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