― 2F廊下 ―[向かおうとした先は探し人とは反対の方向だったらしい。背を向けた其方から春の声>>12が遠く響いてきた。その声が次第に、遠ざかってゆく。足を止め振り返ると佑一郎は声のした方向へと駆け出した。薄暗い廊下をひた走る。まだ身体は鈍っていないのか息が切れる様子はない。暫く行けば人影が二つ視界に現れる。それは慎太郎と春陽のものだった]――…春、は…?[見当たらぬ友の名を紡ぎ問い掛ける]