……学長?
[求めていた答え。
拍子抜けしたような、驚いたような軽い声が出た]
狼も、そう思ったんだ……
[最初に思ったのは、そんなこと。
それから、もう二度と理不尽に怒鳴られることもないんだと、ちらりと思った。何かが胸の奥から押し寄せそうになる。ぎゅっと拳を握りこんで、全力で見ないようにする]
[良かったじゃないか。だいっきらいだったんだから。
そうだ、いいんだ]
[俯いて、葛藤を隠して。それからおもむろに顔を上げた。
先ほどより白くなった、彼女の顔。
背後に近づく人影を気にして、声を潜めながら]
……一之瀬先輩、狼なわけ?
別に、少なくとも今日、吊るつもりないから。