─ 聖堂 ─……え?[不意に向けられた言葉>>161に、天鵞絨が緩く瞬く。手から力が抜けて、銀十字架が、ゆれた]『聖歌の紡ぎ手』……って。俺、は。[上がる声は、困惑を帯びたもの。『聖歌の紡ぎ手』。かつて、そう呼ばれた事。そして、そう呼ばれるのを厭った事。二つの認識の間にあるものは、欠落した闇の中、だけど]……知って……いて?[何も問わなかったのか、と。過ぎる何故、に答える者は、ないのに。疑問がこぼれるのは、止められない]