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[睡蓮の花弁は胸元に忍ばせる。
ソーヤを背負い彼の家まで行けば
空いている寝台を探しだし彼を其処に寝かせる。
ソーヤを見詰めるうち、柳眉が僅か寄せられて]
……誰があなたを眠らせたの?
[ぽつ、と問い掛けるのは、
彼らを眠らせたままにしたくないと思い
犯人がいるのならみつけてやめさせたいと思うから]
起きてるひとを当たっていかなきゃ、かな。
[呟いて、アルビーネは静かにその場を後にした]
― 村の通り ―
[不安そうにしていたのは隠せなかったようで、握り締めた手にそっと添えられた手と、笑みと言葉>>53に少しだけ握り締めた手が緩む]
うん、ヒューゴ先生なら、きっと大丈夫だよね。
[そう言って頷く
怪我の見立てにもう一度安堵して、村一番の、との言葉を聞いたなら]
うーん……確かに、いざと言う時はソーヤお兄ちゃんやクレイグお兄ちゃんより頼りになりそう?
[言ったあとで、内緒ね?と言って笑って、途中まで、と言う申し出はありがたく受けることにした]
ソーヤお兄ちゃんをよろしく、ね?
[別れ際にそう声を掛けてアルビーネを見送って、自分は広場へと]
─ →本屋 ─
[エリィゼが合流するなら迎え入れるけれど、クレイグを運ぶ手伝いは流石にさせない。
クレイグを本屋へと運ぶと家の奥に上がらせてもらい、彼を寝台へと寝かせた。
作業を終えれば本屋を出て]
私、帰るね。
少し、疲れちゃったから。
[居る者にそう告げて帰路へと着く。
肉体的疲労は然程でもないけれど、精神的疲労はとても濃い。
調べによる疲労と、焦りと、後悔と。
回復させるために早々に寝てしまいたかった]
……んー。
[足元は地面に触れている筈なのだけれど、ふわふわと覚束ない。
夢の中にでもいるような心地で]
そっか。
封じられると、こうなるんだな……
[懸命に運ばれようとする己の身体を、何処か他人事のように眺めていた**]
[故郷を飛び立った薬師の娘が、一人の若者に恋をした。
やがて娘と若者は心を通わせ、新たな命が宿ったけれど。
その命が光を知る前に、若者は遠くへ向かう事になった。
若者は兵士で、行った先は戦場で。
娘は故郷に戻り、若者の帰りを信じて待ち続けた──けれど。
その願いは叶わなかった。
祈りが届かなかった事を嘆いた娘は、生まれた命を自分の親に託して、泉に身を投げた。
──とおい、とおい昔の『祈り子』のように]
[薬師夫婦は、残された子を大切に育てた。
一人娘の残した命を慈しむ事で、心の隙間を埋めようとして。
一人娘の残した子供に技術を伝える事で、家業を繋ごうとして。
村の者は二人の哀しみに触れぬよう、青年の両親の事は秘したまま。
いつかは告げられるであろうそれは、今は秘められて、だから。
興味が外へと向かう事を、祖父母が憂える真の理由も、わからないまま。
青年が案ずるのは、外からやって来た友の事で]
(……寝てる場合じゃねぇし)
[理由はないが、そんな気がしてならなかった]
(起きなきゃ……起きて、それから……)
[やらなきゃならない事がある。
どこか様子のおかしかった、年上の友の所に行かなきゃ、と。
そう、思って、墜ちた意識を引きずり上げた──けれど]
─ 村の通り ─
……あれ。
[開いた目に映ったのは、ひじょーにびみょーな気分になるものだった]
なんで、俺。
アル姉に運ばれてるし。
[目に入ったのは、アルビーネに運ばれていく自分で。
それが自分、と認識できる事に違和感を感じて]
俺……どーなったんだ、っけ?
[上がった声は、どこまでも惚けていた]
― 広場 ―
[アルビーネと別れて>>62広場に人影を見つけたなら急いでそちらに向かう、けれど
様子がおかしいことにはすぐに気がついた。
目に入ったのは、眠ったクレイグと、彼を運ぼうとする二人の姿]
クレイグお兄ちゃん?
どうして?
[「彼」はクレイグの事は言っていない。だから、誰かが眠らせたか自然に眠ったか。見てはいなかったから少女には判断できなくて]
………お兄ちゃんは、違うのに。
[小さな、小さな声で落とすのは誰かの耳に届いたか、聞かれてもなんでもないと返すけれど]
[運ぶのは無理だったけれど、クレイグの事が心配だったから、二人について本屋へと向かう
寝台に寝かされた姿を見つめて、本当は側に居たかったけれど、そういうわけにも行かなかったから]
少しだけ、だから、おやすみなさい。
[そう声を掛けて本屋を出た
ポラリスが家に帰る、と言うのに疲れた様子を感じたから]
本当に、無理はしないでね?
[と念を押すように言って見送って、自分はどうしようかと考える。帰ってもみんな寝ている、けど]
ん……リィも、おうちに帰ろう、かなぁ……
[ぽつり、呟いて、その場にいた人たちに挨拶をして家に帰ろうと。
もし、一人にしておけない、と声が掛かったら、遠慮なくお言葉に甘えることにするけれど*]
……えーと。
[何があった、何がどうしてこうなった。
一瞬で齎された眠りが残すのは混乱と困惑だけ]
ポーラ姉と話してて、リィちゃんと広場に行こうとしたら、妙な感じがして……それから……?
[そこで一度、意識が途切れて。
気が付いたら、こうなっていた。
自分の意思など、欠片も介在していない状況の変化、その理由をしばらくあれこれ考えて──]
……わけわかんねぇし。
ちょっと、置いとくか。
[放り投げた。
細かい事を考えるのは、薬の調合の時以外は大体放り投げる傾向にあるのだが]
― 蝕の翌々日 ―
[多くの人が眠りについた蝕の翌日が過ぎて、また一夜が明けた。起こった出来事に皆が疲れや悲しみを少なからず覚えていただろう]
出かけてくるね、テレーズ姉さん。やっぱり直接探さないと終わりそうにないから。
[自分もまた、疲れてはいたけれど、それは他の人々とは違う理由。眠らぬままで夜を明かし、眠り続けるテレーズに声をかけて、家を出た]
―本屋―
[合流したエリィゼを見て、手伝わせられないと思ったのはポラリスと同じ>>61>>63。
途中、何かつぶやいたらしいのになんだろう?と首を傾げたけど、
それよりも足の痛みを堪える方に気を取られて、何だったのかは聞かなかった]
……ねえ。
ボクたちが…眠らせてしまった人は、起こすことはできるんだよね?
[本屋を出る間際、誰にともなく向けた問い。
疲れているように見えるポラリスを見て、それからエリィゼを見て…]
ねえ、エリー。
エリーのとこも、みんな眠ってしまったんでしょ?
…ボクんとこ、くる?
[エリィゼに聞いた時だけは、困ったような表情ではなかった]
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