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[動かない体を、食む]
[暖かい]
[いつしか体は獣のものに]
[黒い][狼]
[足で体を抑え][少女の腹部に噛み付いて]
[そこからもあふれてくる血を受けて]
[思うが侭に貪る][内臓を、食らう]
あ……。
[名を呼ばれ、覗き込まれて、はっと我に返る]
大丈夫だ……ちょっと、目眩がしただけで……。
大丈夫、だから。早く、ベアトリーチェを。
[ふる、と軽く頭を振って。早口にこう告げて]
―回想―
[開いたカーテンの向こう、天に浮かぶ、か細い月]
[綺麗だなと思って――閉めようとした途端に、
後ろから、手を掴まれて、
振り向いた先には、
あかい、緋い、人ならざる者の目]
[昔むかし、祖母に聞いた事がある――それは、人狼の証]
[首筋に走る痛み、というよりは熱い、熱い感覚。
口を押さえられていて、よかったと思う。
悲鳴など上げたら、誰かに見付かってしまうから。
どうせなら、自分の部屋ならばもっとよかった。
ああ、エーリッヒはどう思うだろう]
[……他の人間よりも、幼馴染が大切か。
矢張り、自分は、何も変わっていなかったのかもしれない]
[襲い来る、強い感情。
痛みも、
苦しみも、
恐怖も、
死者たちの聲に聴いたものと、酷似していて、
それすらも快楽と感じられてしまったのは、
狂える己の性ゆえ――だったのだろうか]
[内臓特有の匂いが、刹と呼ばれる狼の本能をより刺激する。黒い毛並みに赫として、暫くすればこびりつくであろう、血の雫達。]
[指を食い千切られた断面からは、骨が見える]
[暫く、エーリッヒの様子をじっと見て。
ふい、と穴の方を向く]
…倒れたら姫抱きしてくからそのつもりで。
[微妙な脅しを投げつけて、ベアトリーチェを上着ごと抱き上げる。
自衛団員たちよりも遥かに軽くて、頼りない重み]
[骨などは放置する]
[吐き出して]
[黒い狼は一心不乱に喰う][喰い続ける]
[そして]
[いやな音をたてて腕が落ちる]
[血の海に]
……いや、それは……勘弁してくれ。
[姫抱き、という言葉に思わず引きつりつつ。抱えられた亡骸を見やり]
……急ごう。嫌な予感が……する。
[蒼の花が伝える感覚とはまた違う……胸騒ぎのようなものに急かされて。低く、呟いた]
[水音]
[緋の水溜り]
[食べられ易いように引き千切られた腕は、人間というよりは肉の塊で、家畜を解体するのを見る時に感じさせる、一種の嫌悪間や防衛本能、恐怖のようなものを、第三者が居たら感じさせたかもしれない。]
[しかし]
[ここには捕食者と被捕食者しかいなかった]
[――目を開ける]
[身体が軽い。
地に足が、着いていない。
身体は透き通っていたろうか]
[眼下には、獣に喰らわれる彼女だったモノの姿]
[あかいあかい、魂の抜け殻]
[ちなみに倒れられたら本気でやりますこの男]
[急ごう、というのに少し首は傾げたが、異論はなく]
…ああ。
自衛団員たちの隣がいいかな。
[半ば走るようにして集会場の裏手へ向かう。
記憶が確かならスコップの一本はまだ其処にある筈で]
[月が雲に隠れるまでは]
[よろこびのこえをあげよう]
[少女の肉は][昨日は食べ損ねた少女の肉より]
[きっと甘くて美味しいのだから]
うーん、ブリジットと二人では動きが決まってるし、ハインリヒ待ち…
打ち合わせ中なんだろうか?
あ、今日の襲撃も打ち合わせたんだろうなぁ、きっと。
状況がさっぱりわからない。
蚊帳の外な気分。びみょー(苦笑)
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