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[帰って来た言葉に。ほんの少し、目を見開いて。
でも、それにしては、立ち去る時の自警団の様子は異常さを感じさせて。
……微かな違和感]
……そっか……そういうとこ、困っちゃいますね、ほんとに。
後で、団長さんに厳しく言ってもらわないと。
人間……人間だから……できちゃうのかも知れないですね。
同じ人間を傷つけるのも、殺すのも……躊躇いなく。
[相手が軽い走りだとしても、流石になかなか追いつけなくて。パトラッシュが立ち止まったところでようやく追いついた]
はぁ、やっぱり、速いね、パトラッシュ。
[肩で息をしながらそう笑って。その後に叫ぶパトラッシュの言葉に、そう言えば、と思い出す]
ここに来てから誰も会わないね…。
さっき、ディには会えたけど。
ま、そりゃ人間よりはな?
[にっと笑って返して]
そうだよなぁ、全然誰もいない。気配すら感じないし。
[次の言葉には耳をぴくりと]
……ディ? それって、お前の双子の兄弟…だよな?
ここで?
[でもそいつは、確か、もう、と口にしかけて。
可能性に思い当たって、黙る。]
[エリカの言葉に少しだけ笑う]
うふふ。
別に大丈夫よ。
彼らには、私の裸を見せたから。
見たなら、怯え、惑い、呆けて、帰るしかないわ。
だから、二度と私を乱暴しようなんて思わないでしょうね。
開けてはならない。禁断の箱の中身を見たのですから。
…うん。
人狼には誰が占い師なのか分かっているのかもしれない。
…でも。
もし真の占い師を知っていてもだよ。
疑いを向けるために仲間を切り捨てたって。
そんな可能性もない、かな?
…だって。
あまりにも怪しすぎない?
残った方を疑えといわんばかりで。
なんか、あたし。
でもとかそんなのばっかりだね。
[考えながらぽつぽつと言って]
[最後に溜息と一緒に笑った]
禁断の箱……って。
[帰って来た言葉に、ほんの少し、戸惑うものの。
笑いながらの問いには、ふるり、と首を振って]
遠慮します。
今は……狂ってるヒマなんて、ないですもん。
同じに、しないためにも。
[最後の一言には、やけに強い、意思の響き]
…そう!そこなんだ。フラン。
人狼とコンタクトの取れる占い師がいたら、そいつはもう、占い師じゃないだろ?
占う必要なんか無いんだ。
誰が人狼かわかってるんだから。
〔パズルのピースがひとつ嵌ったような気分になり、少々興奮したようにフランに話しかける〕
人狼は邪魔者を喰らって生きる。
クローディアは占い師だった。
ノブは人狼リディアをその手にかけた人間だった。
ディーノは?
シャロンが占って、人間と判定したから、それだけで喰われるのか?
もしかしたら、目撃されるかもしれないリスクを犯してまで、ディーノを喰うメリットを考えると…。
そして、ディーノが一人になるチャンスを作った人物が誰だったのかを考えるとな。
俺には、ディーノが本物の占い師で、シャロンは人狼とコンタクトの取れる人間…狂人って奴にしか、思えないんだよ。
気配も無いの?
パトラッシュが察知出来ないってことは、居ないってことなのかな…。
[うーん、と考え込んで。ディについて訊ねられると一つ頷く]
うん、さっきここに来る前に。
7年前の、昔のままの姿だった。
[少し懐かしげな表情になる。それが何を意味するのか、未だ理解出来ていない様子で黙り込むパトラッシュに首を傾げる]
パトラッシュ、どうしたの?
〔と、ここまで一気に己の考えを吐露する…。しかし、目を瞑って小さく付け加える〕
…証拠となるものは、何も無いんだが、な。
ああ、そうだな。
俺みたいに考える人間がいるのを期待して、わざと仲間足りえる人間を喰ったのかもしれんな。
…そうか。
フランは、シャロンを疑ってないんだな。
〔やっと吸えた煙草を味わいつくすかのように、小さくなったそれを地面にぎゅっと押し付け、煙を消した〕
[聞こえるのは大樹と鈴の音ばかりのこの場所に、僅かに声が聞こえたような気がして立ち上がる]
[どちらからだろう。見渡してみるけれど]
[兄さん?]
[呼びたいけれど――口から出るのは]
………。
[意を決して遠吠えをひとつ]
[誰かが来て咎められたとして後悔はない]
[ただ祈るように]
そう、同じに。
ボクが、ここに来るきっかけの時と。
姉様が壊れてしまって。
父様と母様が人狼に殺された……。
……故郷が、なくなっちゃった時と。
[静かに口にしたのは、遠い日の記憶。
それは、忘れていた力の目覚めと共に、思い出したもの]
疑ってないわけじゃなくて。
…誰も信じられないというか…。
[潰される煙草]
[それを目で追いながら]
信じられるとすれば。
こうして目の前で話しているランディくらいかな。
[下を向いたまま]
[寂しげに笑う]
昔のままの姿……。そうか。
[考え込むように俯き。そして今一度、一面の花々を見渡す。]
そうかぁ……ここは、そういう場所、なんだな……。
時が止まって……
……ん、まぁ、しゃーねぇか…。
[独り言のように呟き。
次の瞬間、はっとしたようにディーノに向き直る。]
っ…てことは……ちょっと、待て。
お前まさか…お前も……!!
[目を見開く。]
お前の信じたい人間が見つかったんなら、良かったよ。
〔ほっとしたように、笑い、フランの頭を撫でる〕
…シャロンか…。
あんまり俺、喋った事ないんだよな。
そのせいかね。
妙に、信じようって気持ちにならんのは。
〔宿へ視線を移し〕
…嫌そうな顔されんのが、関の山かもしれんけど、話してみないとわからんのも道理。
玉砕覚悟で、疑問をぶつけてみっかな…。
…長話しちまったな。悪い。
俺、今からシャロンと話してくるわ。
あの時はボク、ほんとにちっちゃかったから……ほとんど、何にもできなかった。
いつも母様にくっついて、教えられたとおりに力を使って……人の魂を視るだけだった。
……もしかしたら、考えたくなかったのかも知れないけどね。
大好きだった姉様が……壊れて。
人狼の手助けしてるなんて、思いたくなかったもん。
[くすり、と。
ほんの少し、寂しげに笑んで、黒猫を撫でて]
そ、僕達昔からそっくりだったんだよ。
僕あんな顔してたんだなぁって思った。
[楽しげに話して。それからふと思う。
あれ? 今まであれだけ姿を見せなかったディが何故今になって?
どうして急に姿が見えるようになった?
何故、なぜ、ナゼ──]
あ、あれ…?
[左手で側頭部を押さえる。ディの姿が見えなかったのは僕には見る力が無かったからのはず。彼は既に死んでいるのだから。それが見えた。それを意味するのは──]
[頭を撫でられれば]
[くすぐったそうに目を瞑って]
あ、うん。
こっちこそ、引き止めちゃってごめんね。
あたしも後で…多分、行く。
まずは薬とか片付けてくる。
[また後でねと]
[ランディを見送るように]
[その場に立って]
[ずきりと頭が痛む。パトラッシュが死ぬ姿を見て。泣き叫んで。それからの記憶が無い。気付いたらあの暗闇の中に居て。そしてまたパトラッシュに会った]
(──ああ、もしかして──)
[ようやく自分がどうなったのかを理解する。そうか、だからディートリヒにも会えたのか、と]
[視線を移すとパトラッシュが空を見上げていて]
どう、したの?
[何かを感じ取ったらしいパトラッシュ。自分には何も聞こえない]
[エリカの言葉を、真摯に聞き。
そして。
ゆっくりと口を開いた]
・・・人の魂。
それは何度も輪廻転生を繰り返すもの。
きっと。
貴方が、姉さんを好きだったように、姉さんも貴方のことが好きだったんでしょうね。
・・・ほら。
貴方のそばで・・・いつだってそばで・・・笑っているのですから。
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