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[丘に近づくと、自警団が騒がしく動いているのが見えた。
適当に一人を捕まえて話を聞く。]
おい、何があったんだ?
さっき銃声みたいなもんが聞こえたと思うんだが・・・。
・・・そうか、パトラッシュを・・・。
[銃声に対する回答に少し納得した顔で返す。
が、その後に続いた言葉に耳を疑った。]
ディーノが・・・殺された・・・?
お前っ!それ、人狼にか!?
場所は何処だ!お前ら近くにいたんじゃないのか!?
[数瞬後、一気に捲し上げる。
強引に場所を聞き出すと、全力で駆け出した]
[風の音]
[木々の音]
[全てから耳を塞ぐ]
どうして。
どうして……!
[闇の中]
[朧月の光だけが差し込んで]
[全ては*沈黙の中へ*]
[ふる、と首を振り、窓の方を見やる。
明日になれば、確かめられるだろうか。
垣間見えた二つの白が、誰と誰を意味していたのかと。
とはいえ、そのためには体調を整えなければならないだろうか。
抜け出しただけで、あれだけ怒られる……というのは、さすがにまずいと思えるし]
…………。
[小さく息を吐いて、目を閉じる。
また人が死んだ事への不安はある、けれど。
一人きりではないという感覚はそれだけで、*確かな安堵を心に与えて*]
[──たどり着いた現場は酷いものだった。
血に染まったディーノの遺体に、以前の面影は無く・・・]
くそ・・・。
また俺は・・・・・・!
[地面を殴りつける。
自分の近くで、何人も人が殺されている。
もう血なんか見たくないのに。
これ以上、理不尽な死を許したくなかったのに。
何故いつも自分は、蚊帳の外にいる?]
・・・何が傭兵だ。
何が師匠のようになるだ!
人一人救えねぇんじゃ意味ねぇじゃねぇか!!!
ディーノを頼む。
くれぐれも、丁重に・・・。
[自警団にそう頼むと、ぐっと立ち上がる。
もうこれ以上、本当に犠牲は出したくない。]
・・・・・・・・・・・・・。
[硬く拳を握り締めたまま、宿へ向かって*歩き始めた*]
人間が二人…か。
殺されたのか、襲われたのか…。
[やり切れねえなと溜め息をつき…]
…んー、なんか甘いもんでももらってくっかな?
なんか、喰いたい物ある?
[不安そうな彼女を安心させるように、無理にでも明るく振る舞う。
希望を聞くと階下へ。]
[階下に降り、マスターと少し話して、あの犬が処刑され、ディーノが死んでいたとの話を聞く。]
…え?だって…
後追って自殺とか、わんこが道連れにしたとかじゃなくて?
[どうやら違うらしいと伝えられて…。]
じゃ…わんこもあいつも…。
[よく、パトラッシュが伏せていた、片隅の床を複雑な心境で見つめる。]
[軽くはない足取りで、自宅へ向かう。]
「おい、レッグ!あンの雌ギツネ見なかったか!?
フード被った女だ!」
[駆けずり回る若い自警団員に呼び止められ、何事かと思えば、どうやらシャロンを探しているようで。]
…今日はみてないけど…なんで?
「あのクソ尼、占い師だとか言って俺らを誑かしやがって!
どうやら狼とグルだって話らしいぜ!?
絶対とっつかまえて、拷問にかけてやらぁ!!」
…ちょ、拷問って…
「最初からおかしいと思ってたんだよ!
あの美人さん死んだのも仲間割れだったんじゃないのか!?」
…それはよくわかんねぇけど、でも…。
[エリカを心配してくれる姿と、それはあまりにも結びつかなくて。去っていく彼らを、呆然と見つめる。]
…仲間を殺すわきゃねーよなぁ…。
[広場に立ち止まったまま、ぼんやりと考える。]
…だとすると、ディーノは本当に占い師で、狼の邪魔になるから殺された。
…狼はまだ居るって事か。
[朝靄のなか、梢を見上げて。]
シャロンが偽物…誰かをかばっている?
[ふと、思い出す。
エリカの世話を甲斐甲斐しく焼いていた姿を。]
…まさか、なぁ…。
[リディは無実でエリカが嘘をついている。そんな考えが胸の中をよぎる。]
…いや、そんなはずねぇ。そんなはずは…
[ふるりと頭を振って、*家路へ。*]
業務連絡。
カルロス、進行中情報ページをまだご存知でないのでしょうか。…伝達ミスですね、ごめんなさい。
企画ページと同じ纏めサイトにあります。直のアドレスも村立て日記に追記してきますので、確認をお願いします。
─宿屋・2階/昼─
[光を感じて目を覚ます。
師の処方してくれた薬が効いたのか、体調は大分良くなっていた]
……んー……。
[病み上がりの気だるさは残るものの、熱は下がっているらしい]
……やっぱり、御師様の薬は違うなあ……。
[ため息を一つついて起き上がり、室内を見回すが、他には誰もおらず]
……あれ……自分の部屋、戻ったのかな……?
[呟いて、手早く着替えを済ませる。
ついでに荷物の中から飴の瓶と、紫の包みを出して。
包みは、治療道具を入れて持ち歩くポーチの底に隠し、瓶を片手に階下へと]
[酒場には主人以外の姿は見えず、手持ち無沙汰にグラスを磨く彼は、気配に気づくと大丈夫なのか、と声をかけてきた]
ん、もう殆ど平気。
ところで、レッグは……?
[カウンター席に座って飴の瓶を置きつつ問うと、家に帰った、との返事。
それに、そっか、と呟いた所に、騎士さまにあんまり心配かけてやるな、とからかうような口調で言われ]
……ちょ!
なに、その、言い方っ!?
[思わず上擦った声を上げるも、それはにやり、という笑いに受け流され。
それに、もぉ、とふてたように言いつつ、出されたホットミルクのカップを両手で持つ]
……ところで……ね、マスター。
昨夜また……何か、あったんだよね?
[カップの真白を見つめつつ、問いかける。この問いに、主人はああ、と嘆息して、昨夜の出来事を簡単に話してくれた]
そっか……ディーノさんと……パトラッシュ……。
[黒猫ともよく遊んでくれた彼ら。それが、白い光の兆したものと、その話から理解して。
小さく、ため息を]
ね……そもそも、なんで……あの子、追われてたんだっけ?
[甘いミルクを一口味わってから、小さく問う]
え……シャロン、さん?
[発端となった人物が誰かを聞かされ、一つ瞬き。
彼女が人狼を憎んでいるのは、これまでの事で理解できたけれど]
[考え事の内に沈み込めば、傍らの黒猫が不安そうに鳴いて。
我に返れば、主人も心配そうに見つめていて]
あ……うん、平気。
大丈夫。
それより、体調良くなったんだから、何か美味しいもの食べたいんだけどなー?
[暗い雰囲気を振り払おうとするように、明るい声を上げれば、主人はお前なぁ、と呆れたような声をあげ。
それに、表面上は明るく笑いつつ、*内心ではまとまらない思考の淵へ*]
―自警団詰め所・深夜―
〔独房を出て、団長の部屋のソファまで案内される〕
〔ひょろりとした細面の男が、温かいスープとパンを目の前に置いた〕
…なぁ。
ディーノ…あの、手品師。
何処で…殺されたんだ?
〔声をかけられるとは思ってなかったのか、一瞬びくりと身体を強張らせたが、自分はよくわからないので、誰か呼んで来る、と、聞き取れないくらいの小さな声が返ってきた〕
〔味なんかさっぱりわからない。とにかくスープとパンを胃の中に流し込み終わったところで、見知った顔の鉱夫が武装した姿のまま現れた〕
…パトラッシュを撃った後、お前らは一旦引き上げたんだな?
んで、ディーノの気持ちが落ち着くくらいの時間を与えてやれ、と、シャロンに言われて、暫し二人だけにしてやった。
救護班と合流して、遺体の引き上げに行ったら、奴はまだパトラッシュの上に覆いかぶさってたんで、引き離そうと近寄った…。
その時には既に肩甲骨の下辺りに風穴が開いて、辺りは血の海だった…。
〔一つ一つ確認するように、状況説明してくれた鉱夫の言葉を鸚鵡返しに呟く〕
ノブの時とは、えらい違いだな…。
〔鉱夫もぞっとした表情のまま、あれはないよな、と同意する〕
〔そう。ディーノの死体は他に損傷が無かった〕
〔ゆっくりと嬲り殺す時間が無かっただけなのかもしれないが、もし、人狼が生き延びるためだけに、邪魔な存在を襲っただけなのならば〕
…奴が、本物の占い師だった…って事、じゃねぇの?
じゃぁ、シャロン…。
クローディアのトパーズを受け継いだと言ってた、奴は何者だ?
〔先日宿屋の主人から教えてもらった人狼伝承、御伽噺にによれば、特殊な力を持った村人は、役職につき一人だけだった筈…〕
〔そして、ディーノは、真占い師は、シャロンの事を、人間だと宣言していて…〕
…クローディアを失って、狂っちまった…のか…。
〔無意識に煙草を吸おうと身体が動く〕
〔しかし、目当ての物は、既に空になっており、小さく舌打ちする〕
参ったな…。
こんな時間じゃさすがにフランも寝てるだろうし、明日雑貨屋に行くしかねぇな。
〔話を聞かせてくれた鉱夫に向き直り〕
…俺、もう独房戻らなくていいんだよな?
家帰って、寝るわ。
…あー、つるはしの話?
あっそう。あの角度のやつが一番使い良いんだな。
了解。
〔気分の良くなる話をしたかったのだろうか。自分でももう忘れていた、作業用具の試作品の使い心地を教えてもらい、思わず笑みがこぼれた〕
―自宅・朝―
〔昨晩は家に戻ったとたん、強烈な睡魔に襲われ、ベッドの上で泥のように眠ってしまった〕
〔朝になり、昨日の作業の片付けが手付かずのまま放置してある事を思い出し、工房へと向かう。がらんとした空間の中に、受け皿が一つ、無造作に転がっていた〕
…パト…ラッシュ。
〔受け皿を持ち、暫し目を瞑る〕
〔それを台所に置くと、黙々と片づけを始める。手際よく作業を終えると、受け皿に水を入れ、工房を出た〕
〔向かった先は、昨日教えた小さな洞穴〕
〔何人かの自警団員がいたが、誰もこの男の行動を咎めようとはしなかった〕
〔まだうっすらと残る血の後の近くに受け皿を置く〕
…水。
まだ途中だったろ。
飲めよ。
…。
〔何か言おうとしたのだが、喉に引っかかって上手く言葉にならない〕
〔短い沈黙の後、一歩後ろに下がる。そのまま元来た道へと帰っていった〕
〔日は既に中天に昇っていて、今日も蒸し暑くなりそうだった…〕
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