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―図書室→広間―
[私は深く…心の奥からの深い息を吐き、緩やかに立ち上がる。
本をそのままに、翠樹が少女を訪ねようと廊下へと出る。
なれど階段を上がる前に、そのほの暗さに気付き脚を止めた]
……。
もう少し日が昇らねば…起きてはおられぬかも知れぬの。
[人を訪ねるには未だ時は早いかと――私は一度広間へと戻りソファーの隅へと腰掛ける。
再び本の頁を捲りながら物思いに耽るうち、疲れた心と身体は、
*まどろみに引きこまれようか*]
―昨夜―
[痛みを隠して、と言う言葉には、曖昧な笑みで返したか。
それでも、信じる、と言う言葉への返事には、微か、安堵したような表情を掠めさせ]
『……イレーネになら……いや、イレーネには。伝えておくべきか……セレスの事』
[青の青年を案ずるよに見つめる従魔を撫でつつ、ふと思う。
同族だからこそ、それは報せねばならぬ事とも言えるから]
『後、話せそうなのは……彼、かな』
[あるいは、『裁定』の領域に属す精霊。
彼らであれば、と。
期せずして、浮かべたのは幼き頃の自身を知る者たちばかりで]
[ともあれ、広間にもどり。
ユリアンにお茶を頼まれれば、従魔をナターリエに預けて準備に向かう。
ブリジットの小さなわがままには、微かに笑みをうかべつつ]
[さすがに和やか、とは言い難い雰囲気のお茶の時間の後、眠り込んだ従魔を伴い、自室に戻る]
……ふう。
[増えた情報。
それぞれの動き。
それらに思い、巡らせつつ]
さて。
どうしたものかな。
どうすれば……誰も……。
[続いた呟きは、*睡魔に飲まれてか、途切れ*]
―廃棄エリア・分別回収室―
[しばしの休息の後、ユディトを置いて探索へ。
くまさんが一匹放りこまれたのは知らないが、エルザも捕らわれたらしいと聞いて。
停止中のプラントを抜け、先へ。]
…ぬぁっ!?
[足元に何か巻き付いて、引き倒される。
触手のようなワイヤーアームと、螺旋回転刃の頭部をもつ破砕ドロイド。]
…イカドリル?
[安易。]
[触手を引き剥がしつつ剣を抜く。
色々温存したいので、銃はなるべく使いたくない。
燃える吐息をまとわせた刃で、触手をなんとか受け流す。
つーか、苦戦続きなのは、中ボスクラスとばかり当たるから…だとおもう、多分。]
…ふぅ……。
[着てるものはボロボロだが、鱗のおかげで損傷は少なく、破片で額切った程度。
一息ついて、ぺたりと座り込む。]
―廃棄エリア・第五集積所―
…どこだ、ここ。
俺、屋敷の前にいた…よな?
[のそ、と立ち上がる。
周りには何もなく、ガランとしていてそれでも大きな室内。
ほのかな灯りを壁にある緑色のランプが照らしているが、それ以外は何も。
包帯を巻いた前足をぽす、と床に落とし、4つ足でうろうろしてみる。
埃がうっすらと溜まっているところをみると、まだ使われていない部屋のようだった。]
あー、あれかぁ。
[ふと、昨日の火竜と月竜が消えた事を思い出し。
ガシガシと頭を掻いた。
壁の一部に、ランプの下、人の胸の高さくらいに小さく四角い光るものを見つけた。
扉だろう、とアタリをつけてそちらへとのそのそ歩く。
ダーヴィットとエルザもここに来ているのだろうか、と思いつつ、足の裏は冷たい感触を伝える。]
…誰か、いる?
[ふと、聞こえる声。いや、音?
頭を巡らせつつ、小さく四角い光るモノを前足の爪で器用に押す。
ンイー、と音がして、扉が開いた。]
…ふ。
[ドロイドが通る為なのだろうか、幸い扉は両開きでとても大きかった為、全長4メートル以上もある熊の体でも通り抜けることができた。
首を出して左右を見る。
ガシャ、ミー、と音がした。]
………おわっ!!
[左右から白いレーザーが飛び出し、思わず部屋へと頭をひっこめた。
ガシャガシャガシャ、と大きな音を立ててドロイドは向かってくる。]
がぁ!
[扉直ぐ横にぴたりと体を寄せ、入ってくる1体目のドロイドを上から叩き潰した。
すぐに手を引きながら一歩後ろに跳び退り、2体目に備える。
1体目がぷすぷすと音を立てて火花を散らしているのを踏みつけるように2体目が部屋へ入ってきたので、すばやく手を出して頭を掴み、後ろへと引っ張る。
頭だけ覗かせた3体目に横投げで投げつけた。
2体目と3体目が、部屋の扉の向かいの壁に叩きつけられ、パリパリと音をさせる。]
多い…。
[2体目と3体目が、周りの何体かを巻き込みながら小さく爆発したのを見てから、もう一度部屋から首だけ出して左右を見る。
それほど強い機体では無さそうだが、皆一様に体の中心には細い筒状のモノが前を向いていて。
あそこから一斉にレーザーを受けたらさすがに痛いよなぁ、とか思う。
部屋におびき寄せて各個撃破しかないか?と呟きつつ、次の個体が迫ってくるのを部屋にひっこんで待つ。]
…ん?
[ぴくく、と耳を動かす。
ガシャガシャ、ミー、と言う無機質な音の中、小さく走る足音が聞こえた気がした。
入ってきた個体を肉球の掌底をいれて壁までふっ飛ばしつつ、耳をピクピクさせながらすます。]
んん?!
[頭の上で小さな爆発が起きた気がした。
とりあえず目の前の、筒に光が集まろうとしている個体を右フックで吹っ飛ばす。
振り返りざま、後ろの一体にストレートで吹っ飛ばすと、その向こうに赤い髪が見えた。]
[ピンポイントで援護射撃。
ともすれば、付近一体を火の海にしかねない火竜の息吹を、精密に制御できるのは、その銃型の補助具があるからで。]
…つーか、オッサン!?
[ようやくクマーの正体に気づく。]
お、よー、ダーヴィットの兄ちゃん!
無事だったか、良かったなー。
[包帯がまかれた右手を挙げながら、左手はドロイドの頭をなぎ払う。
援護射撃を受け、格段に楽になった戦闘にはそろそろ終止符。
あたりには山のような鉄の塊、ここが使われていない集積所の前だったことは皮肉な事だ。]
[あたりが片付いた様子に歩み寄る。]
なんで、ここに?
助けに来た…訳じゃないか。
[巻き込まれた?とくびかしげ。]
助けに来たぜ!
…と言いたいとこなんだがなー。
良くわからん、気がついたらココにいた。
アレだ、機鋼界に呼ばれた時と良く似てるなー。
[かぱっと口を開けながら(笑っているらしい)、後ろ頭をガリガリと掻いた。
後ろで、包帯がはらりと落ちた。]
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