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マテウスさんの。
…その子も驚いちゃったでしょうね。
[小さく微笑んで。その姿に何を思っていたか]
私はもういいから。
落ち着くことはできたし、これ以上は無理。
…自業自得だけど。
[苦笑い。普段見せる表情とは随分違うものが掠める]
風に何かを聞いていたんじゃなかったの?
随分と沢山集まってるけれど。
[それとなく左手を動かしている。ひらり、シャラリ]
そか。
…ここを捜しても、なぁ…。
あいつらがどこに消えちまったのか。
仮に場所が分かってもそこへ行けるのか。
[鳥と風精の戯れを眺め。続く言葉に視線を青の少年へ]
ああ、いや。
どうにも風のコントロールが上手く行かなくてな。
屋敷周辺の情報がひっきりなしに運ばれて来るんだ。
それをどうにかしようと思ったんだが…風に邪魔された。
[持ち上げた左手]
[空を舞うもの達には届かず]
[重たげに垂れ下がる鎖]
風のコントロール……
対たる大地がいなくなってしまったから?
[じゃらり。]
[ブリジットの言葉に、この少女も色々悩んでいたのだろうかと考える。消えた者について知ることの出来る力。一人で抱えるには大きすぎるものなのだろうか]
聞きたくなくても、運んで来るんだよ。
普段から気をつけなきゃそう言う風になってたが、今日は一段と酷い。
しかも俺の意思を聞いてくれやしないと来たもんだ。
[お手上げ、なんて両手を顔の横に持ってきたりして]
[2人の無言の会話に、何してんだか、などと思いながら]
そう、なのかね。
昨日ここに戻ってきた時もそうだった。
急に風が暴れて、その時はどうにか止めたんだが。
何かの異変を感じた。
多分、マテウスが消えたのに反応したんだろう。
―果樹園―
[立ち上がり、プリーツスカートの裾を払う。
寝起きにするように、ぐい、と腕を伸ばしてから樹に触れた]
命を持たない存在ってあるんだね。
オヤジたちから訊いてたけど、吃驚だ。
それはそれとして本当は命を持ってるのかも知れないけど、私には判らないよ。とても冷たい気がするんだ。
[林檎を齧る様子は特に気にした様子もなく。
高く買われて、という言葉にはほんの少しの苦笑]
幼心に、印象が強いもので。
[冗談めいた言葉をさらりと告げて]
ええ。さすがにこんな騒ぎになっては……俺と、もう一人だけの手には負えないし、そんな悠長にも構えていられないので。
『魂』の意思ではないですね。
実際、セレスも今回の事態は理解できずにいるようなので……。
推測するに、今回の騒動の発端は『器』に宿された仮の意思……恐らくは、本能的なものによる、と思っているんですが。
正直、それが何かの予測が立たない。
そして、機鋼竜に与する者が、何のために動いているのかも。
[ため息をつきつつ、碧をぽふり。きゅう、と短い鳴き声と共に、尻尾がゆれる]
大きかった対が消えた分の反動。
あんまり無理なことは出来ないけれど…少しだけなら宥められるよ。
でも望まれなければしない。
[アーベルには小さく首を傾げるだけで。
振り返ったハインリヒをまっすぐに見た。
いつもより少しだけ大人びた表情]
風は自由に運んでくるから。
それだけ貴方の役に立ちたいと思っているんじゃないかな。
―果樹園―
[命を持たない存在…その言葉に一つの面影が浮かぶ]
冷たいって…
[それは既に、問いではなかったかもしれない]
うーん、掴みきれなくは無いんだが…かなりの集中は必要そうだ。
邪魔さえ入らなければ。
[現時点で最大の邪魔は風精なのだが]
命に関わるような危険性は無いとは思う。
[アーベルにはそう返して。いつもと異なる印象を受けるブリジットに視線を移しつつ]
いつも、役立ってもらってるんだがな。
こいつらが居なけりゃ俺の仕事は成り立たない。
んあー、少し宥めてもらえると助かるかも。
今のままじゃ掴むにも掴めない。
―果樹園―
[ここから出たいのは、皆同じだろう、と言いかけて、それは意味が違うと、自分の中の何かが押しとどめる]
お嬢、でも、それは…
[ここではないどこか、今ではないいつか…それは、もうずっと誰もが唱える呪言だけれど]
[ナターリエを送り出した部屋の中。しばらく、虚空を見上げていたが]
はぁっ……。
[ひとつため息をつくと、髪を掻き上げ]
そろそろ限界かもしれんね。
[そう呟くと、部屋の隅に置かれていたバイオリンケースを持って、外へ。]
大切なパートナー。
そう思ってくれる人は大切。
[微笑を浮かべて止め具を緩める。二本垂れ下がる]
…落ち着いて。
慌てなくてもちゃんと聞いてくれるよ。
大丈夫。
[左手を差し伸べて静かに喋る。
風の総量は変わらねど、幾分緩やかな流れになるか]
大丈夫だから。
[風の一部はアーベルの傍を掠めるように流れたか]
印象ね。――まぁ、ちょっとやそっとの事じゃ
忘れて貰えない体質ではあるのは自覚しているけれど。
[そこはお互い様かな。冗談交じりにけらと笑って。
もう一人、との言葉に一度瞬いて、あぁ、と何処か納得した様に瞬いた。]
――聖獣のおねーさんの事か。
そういえば、オレが、ナタ・リェに話してたことを
オトフリートは聞き及んでたみたいだったね。
[信用しているし、聞かれた所で然したる問題は無いけれど。
ゆるりと首を傾げながら、続く言葉に口許へと手を当てる。]
…そっか、なるほどね。『魂』の声にしては、
随分と聞こえにくいとは思っていたけれど。
その推測は、強ち間違ってないかも。そうすれば、幾らか納得も行く。
でも、――そうすると困ったな。
協力者が、何を目的として『器』の声に同調してるのか…
唯でさえオレには三対の機鋼の声は聞き取りにくいから。
…あの翠樹のおねーさんの様子から、目的を聞きだせるかどうかも。
[そも、協力している人が彼女一人だけとは限らないし。
僅かに眉を寄せながら、溜息を重ねる。最後の一口を齧って]
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