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[足音を潜めて、スティーヴの後を付いて行く。
軽く呟いた言葉に、驚く様子にはこちらもまた驚いて、]
あ…いや、木漏れ日かなんかだと思うんだけど。
でも、ちょうどその時、ラスの羽根を近くで見てたから、ちょっとの間だけ暗くなったのは、確かだ。
[運ばれていたとは、言いにくく。事実のみを口にする。
けれどその表情には、流石に違和感を覚え]
何か、あるのか?
[音を立てる扉が、嫌に緊迫感を増したような気がして唾を飲む]
最近、聞いたばかり?
[鸚鵡返しに繰り返す]
……理というからには、
皆の中で、「当たり前」であることなのだろうけれど。
[聞いてどうするのかと、
口にはせずに視線で問うた]
…ぅ…
[部屋の中から、苦しげな声が漏れる。
薄い布団の中、長い体を胎児のように小さく丸め、体中から汗をかいている。
その目は糸のように閉じられたまま。
背の翼胞が、強く脈動している。]
[小さな舌が無精ひげの生えた頬を舐める感触がした。
慰めてくれたらしい子犬の頭を少々乱暴に撫でる。]
………どちらにしろ、確かめるのが先だな。
大丈夫だ。もしそうでも…ちゃんと元に戻してやる。
[半ば己に言い聞かせる様に呟き、カルロスに頷く。]
遠目だしはっきり見た訳でもない。
ただなにか…違和感を感じた。
………さっき見た時は確かに薄金の羽根だったがな。
[詳しくは外でと目で告げて、扉の内へと入る。
扉の側で疾風を宥めつつ、カルロスを待った。]
[部屋に入れば、疾風はクゥ、と小さく鳴いたかと思えば、グル、と怒ったように喉を鳴らしたりもする。
落ち着かない様子で、スティーヴの腕をかりかりと引っかいた。]
そう。
最近、ね……
[くすりと嗤う。
エリカの様子に、狐はやはりもう一度頭を撫でて]
それを壊すというのは、どういうものなのかと、考えていたんだが
当たり前だというのなら、それは――
とぶこと、も、あるか。
[スティーヴの言葉に、かすか心臓が冷える。
あまり、今回の事で核心に踏み込むような事はしたくなかった。
それ以上に、核心に踏み込むような人物に気付きたくは無く、視線で告げられる内容に僅か躊躇した。
それでも頷きを返し、部屋の中へ。
手近な場所に、果物の籠を置き、顔を覗きこむ]
…随分、苦しそうだな。
[熱を見ようと手を伸ばし、…止まる。
方向を変え、薄い布団の上から、翼胞に触れようと]
なんだ…これ……?
[苦しげに呻くラスの姿に、眉間に深い皺を刻む。
どう見ても大丈夫とは程遠い姿だった。
更に汗をかいた様子に、傍らに出しかけた服を目で示す。]
……着替えさせられるか?
俺がやってもいいが、疾風の様子がおかしい。
[鳴いたり唸ったりと、落ち着かない様子の子犬の背を撫でる。
腕を引っかく姿は懸命に何かを知らせているように見えた。]
[全身があつく熱を持っているが、最も熱いのは翼胞だった。
触れれば必要以上に強い脈動と有り得ない程の熱を感じられるが、色の変化等はわからないだろう。
意識は完全に手放しているようで、荒い息の合間に呻くばかりで全く起きる気配は無い。]
クゥ…
[疾風はスティーヴの腕の中、唸るのをやめて完全に怯えた体勢になってしまい、カタカタと震えつつ眠る主人から顔を逸らす様にしている。]
/*
やだぁ、グレイ殿吊られそうぅ。゚(゚´Д`゚)゚。
と、直前のログを読んで。
こんにちは。意外に人が居てビックリです。
一応、さっくりログに目を通してきますー。
熱い――――――
――苦しい……
弾かれた力、が……
[陣によって弾かれた力は、ダイレクトに自分へと返って来た。
もともと苦手な術系を駆使して幻視を行い、その上術で力を返されたとあって体への負担は、どうにかその多い体力で補っている、といった風で。]
[触れれば、酷くきつく眉を顰める]
…ああ、着替えさせるのは良いんだが……。
翼胞がおかしい…。これは、医者を呼ぶべきじゃないか?
[近くにある服の籠を引き寄せ、ラスが着ている服を脱がしていく。熱と、脈動]
エリカ嬢
[目を強く瞑った彼女の頭を、やさしく撫でる。
声もそれに合うほどに、ふだんには見えない毒のようなやさしさが。]
――異端は、厭か?
[手持ちのハンカチで汗を拭い、けれど、それでも足りずに、籠の下に敷いていた布も使う]
全く…女の子以外の服を脱がしても、こちとら何も楽しくないんだぞ、と。
つっても、起きる気配すら無い…か。
[唇を噛む。スティーヴを振り返り、]
飛べない俺より、アンタの方が速い。施療院に行ってくれないか?
…これが普通の治療でどうにかなるか分からんが、熱を抑えることくらいは出来るはずだ。このままじゃ、脱水症状を起こしちまう。
ああ、頼む。
…………先生か。
[完全に怯えてしまった子犬を強く抱き、後から覗き込む。
脱がされた服の下、翼胞が強い脈動をするのが見て取れた。]
施療院に運びたい所だが、病人の様子を見ると約束した。
………先生を呼んできた方が早いな。任せていいか。
[足を扉の外に向けながら、視線を投げる。]
どうやら意見は一致したようだな。
――ラスを頼む。
[唇を噛むカルロスに頷き、疾風を抱いたまま外へ。
小屋に入れてやり、近くの木から飛び立った。]
ああ、こっちは任された。出来ることは少なそうだが。
[投げられた視線を受け止め、しっかりと頷く。
常より、低く鋭い声で、]
…出来るだけ、速く。頼む。
[部屋を出るスティーヴを見送る]
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