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[容赦なく上から降ってくる一撃。
ミシ、と嫌な音が鳴った。
右肩に痺れが走り、短剣が転がり落ちる]
っ…!
[足にも力が入らず、膝を突く。
見上げた翠は暗闇を宿して冷たく見下ろしていた]
おしまいですか?
[カランとナイフが転がるのを、ほんの一時、映した。
口元に笑みが浮かぶ。]
[魔族の血が騒ぐ]
[背を屈め、刃を握らぬ手でその頤を捕らえようと。]
[しばしの沈黙を振り払うように首を振り、青年は目を伏せて眼鏡をかけた。
そうして、行われているであろう月闇と天聖の戦いに意識を凝らす。邪魔をせぬ為に声はかけず、緊迫した心の動きを追う。
月闇の竜が負った傷は夢渡る途中ゆえに気付いていなかった]
…我が血を糧に、その動き、暫し留めん。
[右耳から流れる血に意識を向けて、小さく唱える。
先日、オトフリートを助けるために使った術を、今はその相手を封じるために使おうとして。
広がる網は、だが力の弱まった今、どこまで効力を発するか]
わたせ、ま、せん。
[苦しい息の下から、それでも搾り出すようにして声を出す]
[その血が掴もうとした手にまとわりつく。
邪魔をする網を、翠の目が見て。]
残念ですが、
[足にも絡み付けど、笑み。
甘い剣を握る手の拘束を強く振り切り、血を舐めた。]
[闇が色濃く]
渡していただきますよ。
[エルザの口をふさぐため、短刀はタイへ姿を戻す。
闇の力はまとわりついて、望みどおりに動く。]
[浮かべられた笑みにゾクリとしたものが走る]
んっ…!
[闇の力を宿したタイに締め上げられ、息が詰まる。
空気を得ようと首を、背を逸らす]
大人しく、渡しておけばよかったんですよ
[沿った首に動く方の手を近づける。
血塗れた手は撫ぜるよう。]
[指先が首飾りに触れ、じゃらりと音がした。]
見つけた。
[笑み。そして指がそれをすくう――]
「我は認めぬ」
[男とも女とも付かぬ低い声が響いた。
だがそれも一瞬のこと。掬い上げられた首飾りは月闇の竜の手の中、冷たい感触を伝えるのみ]
ご自由に
[その声に返し、くいと引く、
そのまま、首の後ろに手を回し、指先で金具を外す。]
[彼女の体力に比例してか、拘束は緩んできているようで。
片手が近付いてくるのを見ると、笑った。]
しつこいですよ、エルザ殿。
[首飾りは手のうちに。求める手から引き離す。]
[奪われてゆく首飾り――聖魔剣。
もはや留めるだけの力はなく、絶望が沁み込んで来る]
あ…。
[スルリと手の中から抜けてゆく感触。
パチリと最後に小さな何かが弾け、エルザの身体から力が抜けた。
同時にオトフリートに絡み付いていた網も霧散するように消え失せる]
…終わったみたいだな。
[荒事をどこから聞いていたのか。
いつの間にか天と月の傍に現れたクレメンスが、オティーリエの傷ついた箇所を痕跡も残さずに治した。
エルザの傷はその後で。以前交わした優先順位は守られる。
そして天の卵姫には、同時に穏やかな眠りを注ぎ込む。
安眠を誘うそれは、暫く彼女に使命も不安も願いすら忘れさせ、速やかに夢の中へと落ちるだろう。**]
[タイは元に戻り、自分の下へ。
動けるようになった体。彼女から離れる。]
大人しく渡していればよかったのに。
[逆の手に首飾りを移す。
血がついていた。]
せめて安全な場所に運んでさしあげたくはありますけれど。
……いらしたんですか。
[何も抵抗する間もなく、傷痕を癒される。
残ったのは怪我の証拠、赤い血のあと。
エルザを治す様子を見ながら、微笑んだ。]
「これを、どうしましょうか。」
「いえ、大丈夫ですよ。
……外に出られるような場まで、行きます」
[傷は治っている。
クレメンスを見て、その後、意識を戻さないエルザを見る。]
戻りませんか?
[問いかけにクレメンスの答えはどうだったか。
どちらにせよ、一度、エルザに近付いて髪を撫でた。]
[そのまま、後は振り返らずに、回廊を行く。]
[声を掛けられても癒しを受けても一切の反応を示さず、ただ呆然とへたりこんでいた]
[やがて生命の竜に送られた力で意識を手放して。
昏々と、ただ昏々と眠る。
一時の忘却の内に。
何の声も聞こえない*静寂の中で*]
[そして向けられたオティーリエの問いに、少し間が空く]
「……それは貴女が持っていて下さい、オティーリエ。
剣は二本同時に持てる代物ではありません。
属性を鑑みれば私が『神斬剣』を持つ方がいいでしょう。」
[『聖魔剣』を身に付けたオティーリアが若焔の干渉を撥ね返す程の力を得る可能性を判断の一つに含め、青年は答える。
迎えが要らない様子には、短く了承の意を返し自分も歩き始めた]
/*
長々とお付き合いいただきありがとうございました!
こちらの我侭を受け入れてくださり感謝です。
もう暫く在席はしておりますが、基本動かずで。
暫くはな。
なーに、今頃いい夢でも見るだろうさ。
[言いながらエルザを抱え上げ、一人は違う方へと足をむけ。]
ああ、言い忘れててたわ。
おめでとう?
[へらと、笑いながら言うその胸中は、混ざりあって精神の竜にはどう伝わるか。
その後、エルザを空き部屋のベットに寝かしつければ外に出て。どこかでアーベルを見つけようものなら、頬の傷を、たとえ断られようが癒すだろう。**]
―東殿・食堂―
うん、ノーラみたいなの。
[こんなの、と幼子が小さな手にて示すは輪を模った其れ。
仔にしてみれば腕輪を視的表現する精一杯の技法であったが、しかしその表現すら結局の所曖昧に変わりは無い。
暫しの沈黙の間幼子は視線の高さが等しくなった地竜殿を真直ぐに見つめていたが、やはり返る答えは幼子の期待する答えでは無かった。落胆の色は隠しきれねども致し方無い事。漸く全ての問いを投げ終えた仔は、地竜殿の解放へと至る。
――例えの話、これが幼子ではなく他の者であれば若しやすると言い包めに近いと察しも出来ようが、少なからず仔には其れを悟るには困難であった。]
……こまったね。
[私へと視線を落とす幼子は言葉通り確かに困っている――途方に暮れている様であった。
と、近くへと歩み寄る心竜殿の存在を認知したと同時向けられた提案に、幼子は一度目を瞬かせる。]
デザート?
……、ノーラの?
[デザートと耳にし輝いた目は、しかして影竜殿の分であると聞き及び一寸躊躇いを見せる。
幼子としては恐らくとも非常に食したい所であるだろうが、
本来は己と親しい相手の物であると聞き悩むのは道理。
沈黙を保ったまま心竜殿を見上げ次に影竜殿が出でた扉を見、
最後に卓上へと置かれた皿へと視線を向けた。]
…、…たべる。
[…しかし幼子の心情は好みの菓子を目の前には敵わぬとみた。私は思わず溜息をこぼす。
影竜殿のこと故、恐らく仔が食したと知れども叱りはせぬだろうと思ったが、
しかし人の物には変わり無い、後に謝罪だけは述べねばならぬと心に*決めた*。]
わかりました。
けれど、……気付かれやしないでしょうか。老君に。
[こえで、迎えを断ったのは、血のあとのため。
心配をかけるだろうと。]
[おめでとうの言葉にはなにひとつ返せずに。
そうして西殿の外、つかれたように腰を下ろした。
雨が血を流すにしても、長くかかったそれはきちんと落ちない。]
/*
18時から10分程でしょうか。503エラーが出ていました。
繋がるようになりましたが、今も重いようです。
メモとして残し。
そして>>+57は独り言にし忘れてました…。
中会話避けていらっしゃるんだから、つけるべきだったのに。ごめんなさい。
うん、ついやってしまったな。
どうせ奪われるなら抵抗したかったんです、やはり。
不安定ではあるけれど、まだ狼側のアプローチで「揺れて」はいなかったので。
ここまで長くなってしまったのは、私の返しが遅すぎたからですけれど(汗
オトさんには心からの感謝を。
多分様子を見続けてくれたのであろうアーベルにも同じく。
絶妙なフォローを下さったクレメンスにも。
そして墓下出るはずだったのに出れなかったとか、他にやりたいことあったのにとかがあったら、重ねてごめんなさい!
「……その可能性はありますね。
ですが、身に付ける他に保管できる方法もありません。
大地殿には私が当たりましょう。
気が進まないなら私が持つので、遠慮なく言って下さい。」
[そこまで告げたところで、行きと違い結界を抜けて外へ出る。
東殿の者達に、頬の傷は混沌の欠片の為だと言い訳する為に]
「無理はなさらないで下さいね」
[雨を浴びながら、そっと声和かけた。
じゃらりと、手にしたネックレスが音をたてる。]
「持っています。
もう一つ、手にいれたなら、一緒に」
[微笑み。
まだ落ちきりはしないものの、タイをもって結界を越えた。]
―結界の外―
[何か混じり合ったような心のクレメンスに渡すのは躊躇われた。
けれど、会ったなら治癒を拒むつもりも無かった。
心の動きは気にかかるが、生命竜の申し出は有難く思っている]
無理はしてませんよ。
[微かに笑って、雨の中をゆっくりと歩く。十分に濡れる為に]
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