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[見えない何かの近付く気配。
手を伸ばすと、ぱち、と弾けるような感覚]
……嫌いだって言ってるのに。
[指を舐める。
長めの金糸が目にかかり、頭を振って払った]
[知ってはいる。
嫌いなことを、他者にさせているのは自身だということを。
矛盾している、ぐるぐる回る。
初めのときに楽しいと思ったのは確かだったのに。
いつからこういう心を識ったのだろう]
あァ…やっぱりそこか。
[溜息を付いて、二人を目だけで見上げる]
……たぶん、その林檎の樹が、坊さね。
初代の林檎の森番さん…アンネリーゼさんに連れて来られたと、そう言っとったから。
[籠をその場に置いたまま、迷いの無い足取りで歩き出す。だがその速度は遅く、薄茶猫がすぐに先導するように前に立った]
[治療する、という言葉には、しっかりと頷いた。
それから、指さされた方を、見て]
林檎の方、ですか。
それじゃあ、行ってみましょうかぁ?
[帽子を被りなおしながら、いつものよにのんびりとした口調で言って。
そちらへ向けて、歩き始める]
投票を委任します。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ に投票を委任しました。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ を投票先に選びました。
投票を委任します。
青年 アーベルは、研究生 エーリッヒ に投票を委任しました。
善き隣人である筈の妖精。
それにちなんで名付けられた名前はしかし、彼には災いでしかなかった。
何をやっても、届く筈のない目標と比べられ、自信は奪われ。
好きだった歌は、人前で奏でることも無くなり。
その忌々しい名も、外に行けばありふれたものであることを知ってからは、外に憧れ。
もう一度と空を望む者や、当てもない吟遊、外の世界のことばかりを紡ぐようになっていた。
同時に、外には出られないこともよく知っていた。
仕事は嫌いではなかったし、だから誰にも言ったことはないけれど。
[人の身を借りた今、それは自分であって自分でないもの。
深い緑は安らぐけれど、遠い昔に居た土地とは異なる。
少し疲れを感じて、食事を取らず力を使っていた所為かと思う。
魔力の高まる夜を陽が暮れて月の昇る頃を待っていた]
……馬鹿、て言うだけで済めばよいのですけど。
[アーベルの言葉に、ぽそり、と呟き、林檎の樹を目指す。
木々の間を抜けて進んでゆく。
梢越しの空は少しずつ色を変える。
魔力の高まる夜は、魔に近しきものにとっても、好ましき時間]
/*
裏設定出し切れなかったから、ひっそり独り言にしてみたら一発言で収まった。
ちなみに妖精さんは歌に惹かれて来て、でも声掛ける間もなくうろうろしてたら美味しそうなもの発見→以下略
だったりするかも知れない。
―林檎の樹の側―
[歩き出したのは最初でも、歩みは遅いから若者達に前は譲って、着いたのは二人の後。
馬鹿と言う気満々の様子に小さく笑っていたが、樹にもたれる姿に笑みは引いた]
……坊。
[小さく呟き、辺りの様子を伺う。ツィムトが「ウ゛ナァゥ゛」と色とりどりの石を集めた輪に警戒の唸り声を上げた]
[あたりは、昼より暗い。]
[太陽が沈んでいるからだろう。]
[月がのぼるまでもう間も無く]
あ、見つけた。エーリ君
[大きな声で呼ぶと、ひらひらと手を振った。]
[紅の瞳を刹那、空へ向けた。
それから、林檎の樹の傍らの姿へ、視線をずらし]
……ああ、もぅ。
ちゃんと、休んでないですねぇ、エーリ?
[第一声がそれというのも、どうなのか]
[気絶中に揺さぶっちゃダメなんではなかったか。
そう思って手を伸ばし掛けた次には、
…まあ人間じゃないし大丈夫だろう。
そんな思考回路が働いて、結局止めなかった。
妖精さんは妖精王の耳元でキーキー喚いているようです。
心配しているんでしょうが、きっと聞かされるほうは五月蠅いに違いありません。
自衛団長?誰でしたっk]
……御揃いで。
[ゆっくり、少し気怠けに、緑の瞳を瞬かせる。
体重を預けた状態から身を起こすと、葉が揺れて微かに音が立つ]
そこの二人は緊張感がないな。
シチュー食べろっていったのに、食べないから鍋こげちゃったよ。
一応つけておいたけど。
だっておばかなエーリ君のために、緊張感もってどうするの
大丈夫だよ、ツィムト。
……終わったら、人は後で、解放するから。
[警戒の唸りに宥めるように言うも、その内容は少しずれている]
気持ちばっかり張り詰めてても、仕方ないですもの。
[緊張感がない、という言葉にこう返して]
それに、疲れて見えるのは、確かですしねぇ。
……無理のしすぎじゃ、ないのです?
勝手に使うほうが悪い。
[まるで子供の喧嘩レベルの会話。
至って真顔なのが、可笑しくもある]
持たれても困るけどさ。
最初は祭りのつもりだったし。
楽しんでたのは、確か。
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