32 緋キ花咲ク泉ノ畔デ
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流れ者 ギルバート
［「ネズミ男」の声が、先ほどよりもくっきりと聞こえてきた。］
……獣？誰がだ……？
［足音を立てず、ひとつ、ふたつ、階段を降りる。］
（獣を告発する声ならば、きっとその先に「逃げている」人間がいる……。
落ち着け。耳を澄ませろ。
………見極めるんだ。）
【墓】 書生 ハーヴェイ
[真紅に触れる、白。
触れて、感じる何かがあるならば、ひやりと冷たく]
……別に、好きで取り憑かれてた訳じゃないさ。
こいつは、呪いの具象化。
俺に、悔い続ける事を強いるためにと。
この手で殺めたものが、最期に残して逝った。
[問いに返す声は淡々と。
しかし、蒼氷は翳りを帯びて]
村長の娘 シャーロット
[少女の身では階段いっぱいを封鎖することは出来ず。何なく横をすり抜けられてしまう。それでもその速さに追いすがるよう、即座に振り返る]
逃がさないっ…！
[右手はケープの中に滑り込み、ナイフの柄を握った]
流れ者 ギルバートは、学生 ラッセル を投票先に選びました。
見習い看護婦 ニーナ
[足でも引っ掛けられれば、と思ったのですが、一足遅かったようです。
大きく息を吐いて、壁に凭れます。
どうせ追いつけはしませんから、今更追う気もありませんでした。]
冒険家 ナサニエル
[足音は二つ、]
[既に玄関ホールへと移動しているのを感じ取る]
[逃げる者と追う者を確かめるために男は階段へとひた走る。]
学生 ラッセル
ごめんねっ
[結果を見る事はなく、
すぐさま足を引いて廊下の先へと駆け出す。
傍の階下ばかりに気を取られ、
他の階上に潜む男には気付かぬ侭]
【墓】 踊り子 キャロル
[翳る蒼氷を、碧の眼差しが真っ直ぐに覗く]
それでは、ハーヴェイ殿は。
悔いておられるのですか。
[ひそやかな響きで女は問うた]
記憶も無い、殺した相手の為に。
村長の娘 シャーロット
っ、きゃあ！
[階段の最上段。足元までは反応が追い付かず、足を払われ身体が宙に浮く]
くっ！
[手摺まで手は届かない。身体は重力に沿って落下を始め。咄嗟に身体を捻り、左腕で頭を庇い身を縮めた。派手な音を鳴らし、少女の身体は階段を滑り転がり落ちて行く]
【墓】 書生 ハーヴェイ
……悔いては、いない。
[短い言葉は、確りとした意思を帯び]
そうしなければ、自分が死んだ。
だから、悔いてはいない。
[そこまで告げ。
記憶もない、との言葉に、ああ、と短く声を上げた]
……まだ、完全じゃないが。記憶の霞は、晴れている。
[だからタチが悪い、と。
その言葉はどこか、冗談めいていた]
流れ者 ギルバート
―2階―
［2階に降り、耳を澄ませる。
――先ほどよりも、騒ぎの声が近くなる。］
……あそこか。
［階段を降りるよりも少しだけ足音を立て、騒ぎの声がする方へと向かった。］
［視界に赤毛の青年が近付くのも、時間の問題であろうか――］
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