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……ん?
[静寂の中に落ちた音に、掃除の手を止めて振りかえる。
そうしている辺り、腕の痛みは然程ないらしかった]
[弟に向けられる、無言の眼差し。]
ええ、と。
[向けられる、眼差し。
目覚めの後とは思えぬ様子は、何を思わせるか、と思いつつ]
……おはよ?
[とりあえず、首を傾げて誤魔化そうとしてみた]
[武器類を探して部屋をうろうろするが、そんなものが見つけられるわけがない。]
んー、手錠って割れないかな。
こう、この椅子でガーンって
[とりあえず持てる大きさの椅子を持ち上げた所で、ベッティのつぶやきを聞き取った。]
演技派?
[椅子をおいて]
…うーん、どの辺りが演技だったのかさっぱり…。
[片頬を手の上にのせて、考える]
んーあー、オレ暴れたからな。
[ローザの言葉には、へへ、と笑って見せる。
それからベッティの言葉が聞こえ、笑顔のまま振り返り]
へへ、オレ、名優だろ?
[悪びれずに、笑顔を向けた。]
[文字通り、引くも進むも叶わない状況。
どうやって切り抜けようか、と思った矢先のため息と、低い声の言葉]
…………。
[僅かな逡巡。
不可解な出来事への気持ちの焦りはある、けれど。
……逆らう余地のない状況に、大人しく食卓について]
……それ、つまり、言わないと止める、ってコト……だよね?
[答えはわかりきっているが、思わず聞いた]
―教会―
[教会の奥に据えられた神の子の像。
祈りの時間は既に終わり、人も疎らなその中で、前方の席に座る彼は未だ動く気配も見せなかった。
傍から見れば熱心な信徒に見えるのかも知れない。
だが、数年前には確かに像を映していたのだろう眼は、今は何も見ていない。
瞬きの他は何もせず、ただそこにいるだけだ]
……だよ、ね。
[零れ落ちたのは、嘆息。
どこまで話していいものか、という迷いはある、けれど]
一応、人には話さない、っていう前提ありなんだけど。
……昨夜。ヴィリーのにーさんが、『誰か』に襲われて。
それ、止めた。
[端的に、昨夜の出来事を説明する]
でも、その場の事はわかんないから……確かめに、行かないと、いけない。
─広場→教会─
[ゆるりとした足取りで辿り着く教会前]
[普段ならば敬遠して訪れぬ場所]
[それでも足を運んだのは、彼に会うため]
[厭うように隻眸を細め、その外観を眺めてから]
[重々しく感じられる教会の扉を開いた]
……アロー。
ライヒアルト、居るか?
[左手をジーンズのポケットへと捻じ込み]
[右手は横に垂らしたまま]
[教会の中に声を投げかけた]
[左のポケットの中で僅か、くしゃりと音がする]
[笑って言うカヤに口を尖らせて]
多少暴れたからって…んん!?
[そこでベッティに向けられた言葉に驚く。演技派だという言葉を否定する様子がない…。どうやら実際に演技をしているようだ。もし演技をしていないのであれば、カヤの正確だと「何言ってんだこのやろー!」ぐらいはありそうだと思っていた。]
…わ、わかんない…
[難しいわこの子達…と頭を抱えている。]
[うろうろするローザを視線だけで追った後]
ふん。
……それで、何が目的?
[笑顔のカヤを睨み、しゃがんだままそれだけを口にして]
……そう。
終わっては、いないのね。
[それが即ち、カヤの無実に繋がる訳ではない。
胸中は見せず、何故、との疑問も挟まず姉は言う]
止められるわけね、あんたは。
それで。
「止めたい」――ううん、
「止める」んでしょ?
[手早く用意を済ませると、アーベルに背を向ける。
片付けにと行く素振りで]
[掛けられる声に振り向くと、見たことのある顔
えーと、と少し考えていたが]
あーと、ハンスさんでしたっけ
えっと、ですね。ちょっと人探しを
[にこりと微笑を浮かべ、そう答える]
[ぴくり、肩が動いた。
少しの間が空いて、声のした方向を振り返る]
ヴィル?
どうしたんだい、こんなところまで来るなんて。
[小さな驚きは嘘ではない。
今目の前にいる人物が教会を厭う者だとは、昔から知っているのだから。
友人を迎える彼の顔は、果たしてどのように映るのだろう]
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