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――集会所2階・個室――
[目が覚めてから外には出ず、部屋で刺繍をしていた。
布の上には取り取りの糸で縫われた花々が咲こうとしていた。中には朱や蒼もある。花としては珍しくはなく、ここに来る前から手にかけていたものだから、偶然に過ぎないけれど。
窓辺に座り、射し込む陽のひかりに眼を細める]
lu... la la la...
[歌詞の無い歌。
旋律は明るいものではない。
小さな声は、扉をノックする音により、消えた]
はぁい。
[手を止め、椅子に布を置く。
警戒するようにほんの少し扉を開くと、そこにいたのは子を抱えた男。]
ダーヴさん。
朝から、しかも子連れで夜這いは、感心しませんよ。
……というか。一晩中面倒見てたんですか、もしかして。
[警戒を和らげたか、扉を大きく開く]
ああ、あれですか?
ちょっと、仕事の続きです。
……気を、落ち着けたくて。
[昨晩の出来事がなかったような、そんな暢気なやりとりも、告げられたローザの死の前に失せる。
言葉を失い、ターコイズグリーンの瞳を揺らした]
……本当に。
止まってなんて、いられないんですね。
[沈痛な面持ちになり、視線を落とした。
ゆるゆるて頭を振ると、顔を上げて]
私……、先に下、行ってきます。
何かと要りようになるでしょうから。
[見まいとする言い訳のように返す。
軽く支度してから行くから、その間に、他の皆に報せて欲しいと告げた。子を預かるべきなら、言って欲しい――とも]
……ああ、そうだ。
[彼の去る間際、思い出したように口を開く]
昨日の事だけど、私、ダーヴが人狼とは思わない。
だって、……そう、聞いたもの。
[問われても、それ以上は答えない。
室内に戻り、荷を漁る。
着替え、デッサン用の鉛筆や紙、布、分けた裁縫道具の中には、針や糸、大小の鋏などが雑多に入っている。
そのうち幾つかをベルト付のポーチに移し、腰に巻いた]
さて、と。
[作業中の物も片して、窓から外を見やった。
空は青い。映す水面も、青いのだろう。
ロミルダの折っていた海鳥を思い出す]
……どうなったかな。
[祈りを捧げるように、手を組み目を閉じた。
唇から聖句が紡がれることはなく、細い息と共に零れた声は、誰かの名を呼んだに過ぎない。
誰の耳にも届かず、大気に溶けて消えた]
[手を解いて、階下に降りる。
ひとまずはと広間に入ったところで、椅子の下に座り込んだ少女が見えた]
……ロミルダちゃん?
隠れん坊でもしているんですか。
[結果を問うよりまず、そんな声をかけた**]
[───気づけば。
ブリジットは、自身の光が失われた場所でちょこんと正座して座っていた。
いつ頃からこうしているのか、何故自分が此処にいるのか。考えてもよく分からなかった。
頭を捻りながら、ポツリと呟く言葉は]
はてさて。
何かよく分からないけど、なんかすっごく体が軽いなあ。
例えるなら、便秘が解消した後みたい。
[赤ちゃんはンコか]
んー。
[ぐるりと頭を巡らせて周りを見渡せば、その瞳に移るのは8つの光]
おや。
なんか見え方が、「見る」じゃなくて、「視る」になってる。
なんかあったっけ?
[もう一度頭を捻らせて、記憶を探った。
思い出すのは、ヒカリを産み出した直後のこと]
───あ。なるほど。
私、死んだんだ。
[なんか、特に感慨が無いようにあっさりと言い切りました]
それにしても、なんで死んでからも、この力使えるんだろ?
普通、こういうのって死んだら使えないって相場が決まってない?
[やっぱり頭を捻るが、もとよりよく分かってない力だったので、答えなど出てくるはずも無かった。
───実のところ彼女の力は、死んでからも使えるのではなく、死んだ人間が、生きた人間を見たときの見え方なのであり、生前にその見え方をしていたほうがおかしいのである。
逆に言えば、ブリジットは元々、生きながらにして死んでいたとも言えるであろう]
まあ、いっか。
別に見え方が変わってても、たいした問題じゃないし。
[やっぱり彼女はあっさりとその問題を片付けた]
そんなことよりも、成仏できていないことのほうが問題なんだろうなあ。
まあ、確かに心残りはあるし。
でも、死んだ以上、生きた人間に干渉は出来ないしなあ。
[一瞬、思い悩むように、腕を組んだがすぐに]
とりあえず、見守るだけでもしよっかな。
運が良ければ、ヒカリの守護霊ぐらいにはなれるでしょ。
旦那様は……悪いけど、一人で頑張ってもらおう。うん。
[さらりとひでえことを交えつつ、ブリジットはヒカリを探して漂い、見つけたのならば、すぐ近くでちょこんと座って、ヒカリの姿を*見つめ続けた*]
─二階・自室─
[深い眠りから覚めたのは唐突。
光映さぬ瞳が開き、天井を見つめた]
……ローザ、あかい、はす。
これいじょう、ダメ。
……め、いたい……。
[両手で目元を抑えるように覆う。
声と動きに気付いたロートスが心配げにしながら、くるる、と鳴いた]
…ローテュ。
だいじょ、ぶ。
……ユーラ、は?
[気配がロートスのものしか無いことに不思議に思い、ユリアンの名を紡いだ。
ロートスにここに居るように告げ、どこかに行ったことを聞き。
「そ、っか」と短く言葉を紡いだ]
……やること、やらなきゃ。
[呟き、上半身を起こしたところで部屋をノックする音が聞こえる。
返事をすると、扉の開く音に続き聞こえるダーヴィッドの声。
状態を案ずる言葉に大丈夫と頷きを返すと、続けてローザのことを告げられた]
………。
[何も言わず、眉根を寄せる。
その姿は何かに耐えるように見えたかも知れない。
実際、先程から継続する眼の痛みに耐えていた。
カルメンがやるべきことを理解した今、今までその成果を挙げられて居ないことに対する戒めが纏めてその身に降りかかっていたのだ。
それ以降カルメンは何も言わず。
視えたのか、などと聞かれたなら、隠すことなく頷くことだろう]
―回想―
ああ。殺される気はなかったからな
[と、外へやってきたハインリヒに答えつつ気絶させることもできたのだろうか。などと今思ったところで仕方ないこと
ただ布を洗い。そして己の身を清めることに時間を潰し、そして時間がたった後。広間を一瞥した後。二階へと行き]
そういえば…ローザはどしたんだ?
[広間にいなかったような。気になることをいっていたような。気になると、ローザの部屋の前にいけば、気配はありながらも、そっとあけてみれば、疲れて寝ていたようで
また明日にでも…と、自室へと戻った]
[ダーヴィッドが立ち去った後、カルメンはベッドから降りる]
ローテュ、オカリナ、と、ほし、どこ、あるか、わかる?
[訊ねるとサイドテーブルから星の細工を拾い上げ、ロートスはカルメンに渡してくれる。
オカリナはここには無いらしく、手にすることは出来なかった]
そ、っか…。
した、いかなきゃ。
ローテュ、くる?
[一緒に来るかロートスに訊ね、来ると言うのなら肩へと乗せる。
多少重くとも、移動する分には問題はないだろう。
カルメンは星の細工を握りしめると、壁伝いに部屋を出た]
─倉庫─
[逃げるように駆け込んだ倉庫は、どこかがらん、として見えた。
相次いで布が持ち出されたためか、棚の一角はがらん、として]
……そんだけ。
人が、死んでんだ。
[呟きが重い。
圧し掛かるような頭痛もまた重く、深く息を吐いた]
/*
昨日のログを読み返して。
自分の馬鹿さ加減にへこみそうになりました。
どーしてゼルさんが狼の可能性とか一瞬でも考えたんだか。
最初に白判定出てるでしょうと。信じられない…。
そしてゲルダの反応を見ると…あれ、狼さん??
……大丈夫なのかし、ら。
さ、本日分のログ読んでこよう。
[共に来るかと問われた鸚鵡。
こきゅり、と軽く首を傾げ]
「いっしょ、いくー」
[あんまり悩んだ様子もなく、あっさり同意した]
[足音でうっすらと…そしてノックの音で完全に目が覚める]
…どうぞ
[懐に短刀が入っていることを確認して声をかければダーヴィッドが子連れではいってきて]
隠し子か?
[とりあえずお決まりな気もする挨拶をした
その後部屋を訪れた要件を告げられて言葉をしばし失い]
……わかった……ちょっといってくる
[その言葉にダーヴィッドは一緒についてきたか。先に出て行ったかは知らないが、軽く立ち上がり軽く体を解すように動かし身支度と荷袋を背負って、てから、慌てることもなく歩きだした]
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