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どうかね。
奴等、そこまで賢いようにゃ思えなかったが。
……まぁ、そりゃそうだ。
[肩を竦める様を見、煙草を咥え直した]
被害が無くなるまで、なぁ。
何をもって判断するやら。
まだ居るかも知れねぇ、全滅すっまでヤれ、……なんてぇのは御免だぜ?
[口調は軽く。
知らせると出て行くフーゴーを見送り、煙草が短くなるまでは暫く*そのままで*]
[泣かせたかったわけじゃ、という言葉に、また、反発が口を突きそうになる、ものの。
それは、ぎりぎりで飲み込んだ。
もしかしたら、ヴィリーやゲルダに突っ込まれたりしたのかも知れないが。
手を借りながらも、寄りかかろうとしない様子には、少しだけ呆れたようないろを覗かせ]
……ん、後は、ウチ、ついてるよ。
だから、兄さん、休んでて。
……ありがと、ね。
[部屋までたどり着いたなら、ヴィリーにこんな言葉を向ける。
それは、先に自分を落ち着けてくれた事への礼だけれど。
それ以外の意味合いも、少なからずあった]
[ヴィリーが戻って行くのを見送ると、小さく息を吐いて。
ベッドサイドまで椅子を引っ張り、ぽふ、と腰を下ろす。
力の行使に伴う疲労が今更のように感じられたが、それは押さえた]
……そういや、さ。
聞いて、いい?
なんで……最初にみたの、ウチだったの?
[読み易いところから、と。
そんな言葉も聞こえた覚えはあるけれど。
それは、ずっと引っかかっていた事だったから。
やや、ためらいがちに、*問いかけた*]
─宿屋─
…ならば、死ぬな。
[それだけのことをした、そうつぶやいたアーベルを一瞥すると、険しい表情で言い放つ。]
お前が、人ならば。
生きて、使命を果たせ。
お前が、人狼だとしても。
生きて、償え。
[そのまま手当てをすませ、フーゴーの指示に従ってアーベルを部屋まで連れていき。
クロエの言葉には、ただ、気にするな、とだけ告げて部屋を後にする。
ゲルダはその背についてきただろうか。
ヴィリー兄、と声をかけられれば、振り返りもせず。]
…俺は、家に戻る。
少し…一人に、させてくれ。
……すまない。
[立ち止まって、そうとだけ告げると、そのまま自宅へと戻り。]
…ライ。
[呟いたのは、幼馴染の名。]
俺は…お前を。
友だと、思っていた。
理解していると、思っていた。
…それは。
間違って、いたのか。
[そう、呟くと、ただそのまま、立ち尽くして虚空を見つめ。]
……お前は、俺を…
友だと、思ってくれていたか。
俺は、お前を。
苦しめた、だけか。
[そこに、幼馴染の姿があるかのように、ただ、語りかけた。
答えなど、返ってくるわけもないのに。]
[ライは人狼だと、アーベルに告げられた。
クロエも、そうだと言った。
ならば。
リディを殺したのも、ライなのか。
否。
フーゴーは、まだ人狼がいるかもしれないと言った。
己自身の知る伝承も、複数名の人狼が人に混じっていたものが多かった。
だから、せめて。
リディを殺したのはライではないと、信じたかった。
そんなことばかりを、考えて。
まんじりともせずに、いつしか白み始めていた空を見つめ。]
……朝、か。
[一睡もしてはいなかったが、眠る気にもなれなかった。
それに、宿に残っているだろう面々も気にかかった。
クロエは恐らくアーベルの側についているだろう。
ゲルダは、家に戻っただろうか。
それとも宿に残っただろうか。
…一人、置いていった自分をどう思ったろうか。
それも、気にかかって。
まず、ゲルダの家に寄り。
家人が帰っていないことを己が目で見て、改めて宿へと向かった。]
……?
[最初に、気付いたのは。
この数日で何度も嗅いだ、鉄錆の臭い。
それは、宿に近付く毎に、強まっていって。]
………ゲル…ダ…?
[宿のすぐ横の路地に広がる、大きな赤い池。
そこに横たわる者を、見止めて。
呆然と、名を、呼んだ。]
ゲル、ダ。
そんな所で、寝るな。
目を、開けろ。
[そんな、見当違いな事を言いながら、傍に行って。
血で汚れるのも構わずに、膝をついてその身体を抱き寄せる。
彼女の顔は、まるで寝ている様に綺麗なままなのに。
身体は無残に引き裂かれ、かろうじて人の形を保つばかりで。
誰の目に見ても、人の仕業ではないことは明らかだった。]
………ゲル、ダ…ッ!
[一人にしなければよかった。
傍にいてやれば、よかった。
後悔を堪え切れなくて、力強く抱きしめる。
手も足も、もう冷え切っている彼女を温めるかのように。
けれど、ずっとそうしている訳にもいかず。
彼女を弔ってやらなければ、と、顔をあげたその時。
壁に書かれた文字に、思考が止まった。]
………ふざ…けるな……!!!
[すべてを理解した瞬間、男は、怒りを爆発させた。]
………許、さない。
人の命を、弄んだことを、後悔させてやる。
[ぎり…と、握った拳から血が滴り落ちた。
ゲルダの身体を横たわらせると、自分の上着をかけて無残に裂かれた体を覆い、もう一度抱き上げると血に塗れた自身の姿も気にせぬまま酒場へと向かい。]
……おっさん。
ゲルダが、殺された。
人狼は、まだ、居る。
[そう、フーゴーに告げ。
ゲルダを寝かせる場所を作って欲しいと頼んだ。]
……ここの外の壁に。
メッセージが、あった。
ゲルダは、その前に、倒れていた。
…俺は。
ゲルダを、こんな目に遭わせた奴を、許さない。
[それだけ言うと、ゲルダの傍について。
誰かに問われれば、己の見たモノをそのまま告げる*だろう*]
― 宿屋/昨夜 ―
[ウェンデルに向けられた笑みには何を感じ取ったのだろうか。
細い目で見て返し]
だからこそ、やる価値があるんだろ。
人狼があの程度の傷で死に至るかね。
人であっても、化け物に加担してりゃ正気じゃねえだろうしなあ。
死んでも身の潔白を証明したかった、とかかねえ。
少なくとも、今あいつのために動いてる奴には有効なんじゃねえの?
[肩を竦めたところでフーゴーの声。
過去の系譜に話が触れられれば]
……まだいるかも知れねえってのかい。
[だとすればアーベルが、とは口にせず。
それは意味のないことだと知っていたからか]
何れにせよ、もう必要ないかねえ。
あいつを信じて、仲良く死にたいっつーなら。
仲良しごっこで救われるんなら、勝手にやってくれ。
俺は人狼に大人しく殺されるまで黙ってるなんてしないぜ。
自分の手で見つけて、殺してやるよ。
[やがてフーゴーが宿屋を出るのを見送ると、先に休むと次げてウェンデルに手をあげる。
足はいつもの角部屋へと向けられた]
……なあ、今日はやめといた方がいいんじゃねえの?
[フーゴー達の話がちらりと掠めて。
とはいえ、先の囁きが覆るとは思えず]
俺は止めねえけど。
[一人で勝手な真似はするな、とだけ]
[部屋へ戻り、取り出した木箱を開く。
小さな小瓶がいくつかと、真珠がふたつ]
[その片方を摘み上げ。
――真珠は美しく、黒の輝きを放つ]
俺は、自分さえ生きられれば誰が死のうと関係ねえ。
[ふと掠めたのは、約束*]
あいつに…ヴァイオラに聞きそびれたことがあった。
後天性の人狼は、そう長くない、って本当か?
なら俺は……それでも…
[力に拘る理由]
[後に続けられる言葉はなく]
この騒ぎが終るまで。
死ぬんじゃねえぞ。
[それは幾分、強い口調で]
僕がもしも、自分を人と錯覚しているなら、愉しい、では済まないだろうね。
縁起の宜しく無い事に、二日連続で人に殺されたのは僕の既知だ。
幾らだって悲観振れる。
[哀しむ様子が見えたとして、其れは縁起と言わんばかり]
[呆れの色が届いても、反発はしない]
[了承のコエは、当然だとばかり受け止めて]
[後天性の狼についての記憶は]
[ほとんどと言って良い程に無い]
僕の周りは先天性の方が多いから…。
正直、解らないな。
[果たして興味が無い様に、淡い口振り]
[気の無さは何の所以か]
僕は作家だから、物語の完成の為に動くだけだよ。
ヒースクリフが僕を助けようとしてくれるなら、少し嬉しいけれどね。
[仮令、利用し合うだけの関係であっても、と]
─回想・自衛団詰所─
[詰所へと向かうと、複数の団員達が詰所の中から出て来るのが見えた。彼らはフーゴーの姿を見つけると足を止める]
…うちに来るつもりだったか?
その必要は無ぇ。
……人狼を仕留めた。
つってもてめぇらが見ても判別はつかねぇだろうがな。
ともかく、今日の処刑は既に済ませた。
うちに来る必要は無ぇ。
[厳しめの視線で団員達を見返しながらフーゴーは言葉を紡ぐ。それに対し団員達は「本当か?」「じゃあもう人狼は居ないのか?」などと言いながら顔を見合わせている。「処刑の確認だけでもさせろ」と言われると、フーゴーは首を横に振る]
もう弔わせた、見せることは出来ねぇ。
……てめぇらもう顔出すな。
憎しみの連鎖に巻き込まれるぞ。
てめぇらは既にダーヴィッドを強制連行したことで恨みの対象になってる。
自分の身が可愛かったら、全部終わるまで大人しくしてろ。
それに、人狼は何匹居るか分からねぇんだ。
今回ので終われば良いが……な。
[否定の言葉に続いたのは脅すかのような言葉。たじろぐ団員達も多い。そんな中で怖いもの知らずなのか、人狼を埋葬したことに文句をつけて来る奴がいた。「団長を殺した奴を弔う必要なんてねぇだろ!」と声を荒げている]
……喧しい!!
人狼だって人だってなぁ、死んじまえば同じなんだよ!
人狼だった奴だって、普段は人だったんだ…!
[いつしか自衛団員達を見る目は睨みに変わっていた。過去の記憶が甦る。それが一層睨みに拍車をかけていて、その威圧感に声を荒げて居た団員も身を強張らせ、一歩引いた。しばらくの間団員達を睨みつけていたが、ふっと視線をそらし、背を向ける]
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