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…いいや?
[薄らの笑みを其の儘に。
僅か意味有り気に空けた言葉の間]
[きら、り]
[少女の花冠を飾るかに、
月光の粒子がひとつふたつと留まって]
――何も。
仕立て屋 イゾルデが時計を進めました。
[怒りに燃えるアナをなだめようと]
まあまあ、アナちゃん。
マリオン君も痛い目を見ていますし。
ほどほどで赦してあげたらどうでしょうか。
[少年はしょっちゅう怪我をしては、親に連れられて病院を訪ねてくる。
……男の勲章などと言っていたような気もするが、そのことについては黙っておくことにした。]
[頷いたなら、すぐに集まる妖精たち。
少年は相当に彼らと『波長が合う』ようで。
すぐさま打ち解け、一緒に飛び跳ね始める]
『……いやまあ、ぼくもすぐに馴染めたけど』
[その様子を、少し離れた所で眺めつつ、木の葉色は小さくぽつり。
だから会ってみたかったのだ、と王が笑えば、左様ですか、と肩を竦め]
『……ダメですよ、引き止めちゃ』
[ふと、嫌な予感を感じて釘を刺した]
[花冠を彩る月光の粒子。
じ、とルイを見つめては]
……ん
[そっと人差し指を自身の唇に添えて、
同じく、意味有り気に微笑んだ。
だが周囲に人が居る手前、
誤魔化すように唇をなぞって視線を外す]
[突っ込みに、王はなぜ、と言いたげに木の葉色を見ていたり]
『無責任にそんな事して、また女王のご不興を買うおつもりですか?』
[なんだかジト目だ]
[ともあれ、女王の不興、の言葉がきいたのか何なのか。
王は、木の葉色から視線をそらした]
[ヴェルナーからの諌める声には]
……先生って何時もそう。
マリオンに対して甘すぎるのよ
[大人ぶって、ふん、と鼻を鳴らす]
ああいうのは、ね?
徹底的に叱りつけなきゃ駄目なの
そんなだから先生、子供に舐められるのよ?
[眉をへにゃりと寄せた。
舐められる、というよりは優しいだけだろうが。
少女にとっては、そう映っている様子。]
[そして兄からの"大目に見て"という声]
……
[これみよがしな、むっすり顔を向けた]
まぁ、
お兄ちゃんが、
……其処まで言うなら
[少女自身もようやく、我に返るか。
単に感情を抑えるタイミングが計り切れなかった、
というだけかもしれないが、
両手を挙げて首を竦める兄へ、頷いた]
/*
あらあら。
某村系統の妖精王とは違うタイプの王様にしようと試みていたのですが・・・。
しくじってしまいましたかしら。
しかし……一体何を話しているんでしょう。
[詮索は好まぬ性質だけれど。
ホラントのこともあって、いささか不安を覚えてしまう。]
まあ、ルイさんもイゾルデ君も、無茶はしないと思いますが……
でも騎士様でさえ、だったしなぁ。
[ちらとギールギースに目をやると、旅人のお供と戯れていた。]
力、か。
[視線はイゾルテから逃れ、月光を仰ぐ]
…何か、宴の用意でもしているのか。
俺たちを案内する準備でも、しているのか。
[不思議そうに瞬くのには緩く傾げた首で返して]
……興味深くは、ないか?
今から、何が起きるのかと。
ミステルー、何してんのー?
[ため息つく木の葉色に、呼びかけるのはご機嫌な声。
花畑を映す泉から意識を逸らしていたのは、きっと幸い。
話題の『悪戯』が如何ほどかと言えば。
本人にしてみたなら、ちょっとした脅かしの類。
澄まし屋の少女の猫かぶりを、引っぺがすのが目的と言えば、目的……なのかも知れない。
基本的に、勢いで日々を生きる少年なだけに、どこまで意識して動いているかは曖昧なのだが]
[アナの唇に添えられた指先。
くすりと音は零すが動作を返すような事はしない]
[なぞり離れて行く指先を視線が追い、其の儘離れ]
[感謝の意を示すかに、
少女の指先に粒子がひとつ、弾けた]
[マリオンが妖精と共に来たことを知れば心配も消え失せ。
目を丸くするヒルダとミステルタインの話に耳を傾けた。
泉に駆け寄るマリオンの後姿は、小さな微笑で見送る]
マリオンくんは一番無邪気ですものね・・・
妖精さんとお友達になるのも頷けますわ。
[共に飛び跳ねる姿を見守りながら、放り出された花冠を拾う。
いくつか花を差して、それなりに形を整えた]
はい、ヒルダさんどうぞ。
せっかく作ったんですもの。投げてはもったいないですわ。
[穏やかに微笑んで、ヒルダの短い髪に乗せようと手を伸ばす]
宴に招待するためにあれこれやってるけど、上手く行って無いんじゃないかな。
[月光を仰ぐルイに小さな笑いと共に言葉を向ける]
何が起きるって、もう起きてるさ。
ドロテアとヒルダ、マリオンが空間を隔てた向こうへと消えた。
妖精の住む世界にね。
僕も行きたいんだけどなー。
久々に友達にも逢いたいし。
[右手にランタンを持ったまま、両手を頭の後ろに組む。
夜空を見上げると、目の前の人物に似た銀の月が静かに佇んで居た]
『や、なんでもないよー。
……ご機嫌だね、マリオン?』
[わりと張り切ってくれていた『お仕事』途中で呼び込まれて、不満があるかと案じていたけれど、そんな様子もなく。
木の葉色は、内心でほっと安堵の息をもらす]
うんっ!
今さ、今さ、ちょっとだけだけど、飛ばしてもらったんだっ!
ふわふわして、すっげーの!
[大きな瞳をきらきらさせての言葉に、金の翅がぱたり、揺れる。
飛んだ、といっても、少しばかり高く浮かんだ程度だろうが。
それでここまで喜べるとは、思っていなかったらしい]
おやおや、これは手厳しいですね。
[アナの指摘に、大袈裟に驚いて見せた。]
さぁて。
そういうアナちゃんも、私を舐めていたりするんでしょうか?
[何を考えているのか、単刀直入に問い掛ける。]
[王様とやどりぎの精の話に聞き耳を立てる真似はせず。
マリオンが離れた後の泉へと近寄って跪いた。
銀色の水盆には、今は銀色の月光が湛えられているだけ
―――ではなく]
・・・、あら?
もしかして・・・皆様が見えていますの?
[試しにと手を振ってみるものの、あちらが気付く気配は無い]
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