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―二階客室―
[キャロルの懸念には逆に気付く事が出来ない。
出来たとしても問題無いと判断したかもしれない。
爪と牙を持つ二人が居れば大丈夫だろうと]
ありがとう。
キャロルさんは私の味方。信じられて良かった。
私もキャロルさんの事を守りますわ。
[自然と笑顔が零れる。
本心からの言葉で在る事も変わりが無いから歯車は未だ正される機会を得ないまま歪む]
そう。キャロルさんにお伝えする事が在りました。
もう一人信じて良い人が居たと。
―広間(少し前)―
[刀に手をかけ、いつでも抜けるようにしながら、広間を出て階段を昇っていく。
普段ならば見逃すはずのない気配も、今のマンジローには感じられなかった。
彼の感覚の全ては、二階のある一室にのみ、向けられていたから。
ハーヴェイの気配には気付くことなく、彼は階段の上へと消えた。]
―二階・廊下―
いいえ。
[上がって来た男に一礼をし、質問には首を振る]
ぼくも話があったのですが。
[続く言葉は過去形だった。
その頃には既に、視線は養女の方に戻っている]
―二階階段付近―
話・・・でござるか。
[ユージーンが彼女に何の話があったのか、疑問がよぎった。しかし、そのときには、すでに墓守の視線はシャーロットの方へと移っていた。
シャーロットは何か知っているであろうか。
同じように、シャーロットの方を見る]
―二階階段付近―
[マンジローの問いかけの言葉にユージーンとマンジローの姿を交互に見てから]
……(ふるふる
[首を横に振って答える知らないと。
その後ろにハーヴェイの姿がひっそりと近づいていることには気づかない振りをして。
視線はユージーンに戻し再度わずかに首をかしげる仕草。
マンジローに注意の意識を若干に払っていることに二人は気づくだろうか?]
─2階・客室─
ええ、私は、エッタ様の味方ですわ。
……何があっても、それは変わりません。
[あなたが、何者であっても。
その部分は、声にはならない。
向けられる笑みと言葉を受け止め、歯車は軋んで回る]
……シャーロット嬢、ですか。
[白の星、と告げられた名に、ひとつ瞬く。
過ぎるのは、今朝の様子。
黒い星、「おおかみ」、白い星。
耳にした言葉の内、女が真実と見なすのは]
……わかりました。
ならば、ハーヴ殿も信頼してよいのかしら。
ハーヴ殿は、シャーロット嬢を裏切る事はないでしょうから。
[シャーロットも知らないと言う。どうやら、部屋に引きこもって出てきていないのだろう。それならばそれで好都合だ。探してまわる手間が省ける]
さようでござったか。
それではこれにて。
あぁ、そうそう。
ユージーン殿、ヘンリエッタと言う娘、
どうにも油断できぬようでござるぞ
[去り際にそれだけ告げると、二人の前を去り客室に向かう。]
―二階廊下―
[背後に或るもう一つ気配には気がついていないのか。
視線が動くことはない]
ぼくが此処に来た時、御主人は言われました。
『大切な者を護れ』と。
[それは墓に眠る二人の事、それだけを差すのでは無い]
そうして『仇為す者を赦すな』とも。
[十年来の「約束」を復唱する。
二つの目は変わらず静かだった]
貴女はどちらですか。
シャーロット様。
―二階客室前―
[居るとすれば、おそらく二人一緒だろう。ヘンリエッタの部屋はノックに何も反応がなかった。キャロルの部屋へと行き静かにノックする]
キャロル殿、居られるかな?
[逆に問われるユージーンの声にはこくりと頷き]
…………………
[私は悪いことしてないよと口だけの動き。声は出ないマンジローが傍にいたから。
それはある意味本心からのものだった。]
……
[かけられたマンジローの言葉になぜこの人はヘンリエッタを怪しいというのだろうかといった感じで首をかしげる。
自分を人狼だと言ったラッセルを人狼だといったヘンリエッタを信じることは別段他の人にもおかしくは見えないはずだろう]
─2階・客間─
[扉を叩く音と、呼びかける声。
碧は静けさを帯び、ゆっくりとそちらを振り返る。
答えるか否かの逡巡。
だが、ここで黙り込んでいるのは得策ではない、と。
そう、判断した女はひとつ、息を吐く]
……何か、御用かしら?
[呼びかけに返す声は、平静さを保ったもの]
―二階・客室―
[少女が本当に占い師で在ったならば立て続けに視る事は叶わなかったはずだ。少なくとも出来る例は彼も知らなかった。
けれど大丈夫だろうと背を押してくれた。だから味方を味方だと告げて更なる絆を引き寄せた。
歪みを孕んだ侭。歯車は軋んで廻る]
はい。そう思います。
ハーヴ様は何時でもシャーロット様の味方ですもの。
[部屋の外から近寄る者が在る事に「少女自身」は気付けない]
『いまそっちにいこうとしてる、気をつけてね』
[前後して響くノックの音。
最前の声は扉の外からでも聞こえただろうか。
与えられていた牙は今手の内に無い。
キャロルが答えるのを緊張して聞きながら扉に向かい身構えた]
─2階・客間─
[占い師、霊能者、そして守護者と呼ばれるものたち。
女はそれについては深くは知らぬ。
だからこそ、疑う事無く、その『事実』を受け入れた]
……ええ、そうですわね。
[扉に意識を向かわせつつ、ひとつ、頷いた
歯車の軋みがまたひとつ、増える。
少女がはきといいきれるほどに二人について知っている事は、違和感となってもいいはずなのに。
疑う事を否定した女は、そこから目を逸らしていた]
―客室前廊下―
[シャーロットの疑問の眼差しには気付かず、そのまま二人の前を通り過ぎる]
そこにヘンリエッタ殿が居るであろう。
少し、話がしたい。
[キャロルから返ってきた言葉には、口調は冷たく静かだが、有無を言わせぬ声で告げる。]
─2階・客間─
……女の子とのお話を望まれるにしては、怖いお声ですこと。
[冷たい口調に返すのは、からかうよな言葉]
ダメだ、と言っても、聞く気はないのではなくて?
……覚悟がおありなら、入っていらっしゃいな。
[何の覚悟、かは言葉にはせず。
静かな口調でこう返す。
口元に浮かぶのは、艶やかな笑み]
[男には言葉を返さず、小さく頷くに止めた]
悪いこととは何でしょうね。
[唇を動かした養女に問い掛けるでもなく、独りごちるように言い]
貴女は、人狼ではないのですか。
[改めて見据えるようなこともなく、静かな目のまま。
常と全く同じ声で、さらりと告げた]
―客室前廊下→キャロルの客間―
[からかうような言葉には、ただ無言を持って応えるのみ。招き入れられれば、一礼をして中へと入る。我知らず腰に当てた手に力が入ってゆくのを感じた]
しからば、御免。
[部屋の中。空気がやけに重く感じる。
目の前の少女は、果たして人か魔か。
しばしの沈黙の後、意を決したように口を開く]
ヘンリエッタ殿。
童っぱを殺したのは、お主でござるな?
─2階・客間─
[入ってきたマンジローの様子。
女の目が険しさを帯びる。
後ろに回された手が、紅の飾り帯へと伸びる。
正確には、そこに隠された二本の刃へと]
……女の部屋に入るには、物々しいご様子です事。
[それでも、軽口は止めることなく。
沈黙を経た問いかけに、表情は険しさを帯びた]
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