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[剣の先にはやはり手応えがない。
呼吸を整え直す間にロミの方を窺う。黒いオーラと金色のタライが見えた。力が抜けそうになった]
…そんな場合じゃないな。
ああ、まかせた。
[向き直ったゼルギウスが魔本に血の付いた指を走らせている。
それが何を意味するのか、直接指導を受けていれば見る機会もあったりしただろう]
界と我を結びし我が盟友、我が意に沿い、朋と舞え。
異界龍・戦!
[黒曜龍に命じたのは水晶龍の抑え]
異界の焔よ荒れ狂え。
檻となりて魔本の所持者を封じ込めろ!
[剣の先から幾本にも分かれた炎が噴出していった。
残ったのは鈍い光を放つだけの剣。
上がっているスピードを活かして全力でゼルギウスの懐へと駆け込んでゆく]
[はじめ呪の言葉を紡ぐように、口元で呟く。首輪についた猫目石は光らず。
突如駆け出してユリアンに近寄る。
鞄に手を入れて、手探りで中に入っている薬瓶を手にし、中身をこぼさないようにふたを緩める。
あの時はユリアンはいなかったので見られていないはず。自分の切り札。
近寄り、ユリアンにだけ聞こえるような冷たい囁く声]
呪いの本当の恐ろしさ…、見せてあげる…。
[虚を突いた動きはうまくいっただろうか?
鞄の中から取り出した薬瓶を、ユリアンに向けて投げる中の液体がユリアンに向けて振りまかれて]
「つむぎ おりなす じゅそ ことば かのもの よりしろ かえよ そのみ わがいに」
[かかったかどうか、確認する前に呪文の言葉を紡ぐ。
猫目石が光り…]
[ユリアンへの突っ込みは以下略。
試験後が大変そう、というのはきっと間違っていないだろうが……というのは、さておいて]
は、そう来るか……。
『ルギィ!』
そちらは任すぞ、ラヴィ。
[黒曜龍の動きと、放たれる炎。
それらに動じた様子もなく、水晶龍に短く告げる。
水晶龍は頷き、自らへと迫る黒曜龍へと向かう。
それを、視界の隅で確かめて]
……界と界を結びし『書』よ。
……我が生命の滴、贄と見なし、『門』を開け。
[静かに紡ぐのは、召喚呪。
迫る炎は、目に入ってるのかいないのか]
……天高く聳えし聖山に住まいし、太陽の翼。
……光の獣、束ねる王をこの地に招かんっ!
[唱えたのは、陽鷲王の召喚呪。
天空より光差し、現れ出でるは焔の如き翼と陽光さながらの光輪を負う巨鳥。
呼び出された陽鷲王は甲高い鳴き声を上げて羽ばたき、光と風の乱舞を呼び起こす。
乱舞は包み込むよに迫る炎と、そして、踏み込んでくるイヴァンを飲み込むように広がった]
よーし、こうなったら覚悟を決めて…って。
[こんどは何に対して覚悟を決めたのか。
ロミを見据えながら、唐突に駆け出したのには思わず瞬いてる間には時には、カバンの薬品が振りまかれる]
ぅーん。知りたくないんだけどなぁ。
ってかそんな冷たい声で喋る子に育てた覚えはありませんっ
[冷たく囁くロミに咄嗟なのかそんなことをいうが、そんなのは喰らうのごめんです。]
でも呪といっても声にこめられた念が届かないと…大丈夫だよね
<πενντα πντε>
[二節の音が振るえば、開いたままの異界の門を返してより小さく風が吹き、空気を震わす呪文の震動が己の身まで届かないように防ごうとして]
[ユリアンの呪文が展開するよりも早く、こちらの詠唱が終わる。]
「そのみ へんじよ」
ねずみになっちゃえっ!
[ユリアンに振りかけた液体はユリアンの身にかかり。
恨みを込めた強い呪詛の言葉、それに呼応するように液体も強い魔力の光りを放つ。
三日三晩魔力と呪詛の念をこめて煮込んだ液体、ユリアンの身をねずみの姿へと変じさせる。
効果時間はおそらく78分ほど。
猫の姿に戻ると、右前足でてしっとねずみになったユリアンを押さえつけた]
しゃーーー。
[押さえつけたまま、牙を剥き出しにして威嚇した]
[そりゃまあ余所事ばかりいってて、間に合うほど都合がいいわけではないのですよ。
案の定呪いのほうが早くって。どうなるのかなぁと思ったら]
……ぉぉぉぉー
[驚きなのかなんなのかの声は、魔力により液体が光って、身体の大きさにしたがって小さくなる。
そのままあっさりと捕まえられ押さえつけられ威嚇される]
チュー(ロミちゃんって重いね)
[戸惑いとかよりもまずそんな言葉が出たりした]
[炎と光と風の乱舞に目を閉じる。
炎も押し負けていない。動きの阻害は十分に出来た]
我が名を銘と刻みし剣よ。
瞬く間のみ、力食らいて細き道を通せ。
[魔力を食らう剣。
迫る力も食らうが自分のも吸い込まれる。
それでもその瞬間に勝負を掛けた。
炎も光も風も吸い込んだ空白地帯が帯のように伸びる]
貰ったぁ!
[そこを走った剣先が相手の懐へと届く。
流石に深く刺してしまうわけにもいかないから、僅かずらして掠め斬った後、引き戻し剣の腹部分を横から叩き込み直した。
呼吸が乱れれば制御も崩れる、はず]
[放たれた炎は、陽鷲王の力と拮抗する。
その力に、僅か、真紅が細められたにのは気づくや否や。
唱えられる呪に応じ、剣が魔力を食らう様。
手にした『魔本』が、物言いたげに震えるのを制し、その力の流れを辿る。
その、僅かな乱れは隙となり、そして]
……ちっ!
[気迫と共に、繰り出された刃。
回避のために影鏡や界渡りを展開する暇も余裕もなく、紅が散る]
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