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―一階:廊下―
片割れ?
ハシェさんは……双子、ですか。
[緩やかに上がり、ウェンデルに向いた少年の眼差しは、先とは異なり、驚きを持って彼を捉えた]
――……そう、でしたか。
ここから、生きて帰って……………
会えると、いい、ですね。
[声に、視線に、羨望にも似た色が混ざりそうになるのを押し隠せたかは、少年自身にはわからない。
彼にしっかと手紙を渡したあと、指先は、知らず首元のブローチに触れる。
彼のいらえに頷きを返して、広間へと足を向けた]
―一階:広間―
[廊下に比べればマシだったが、暖かいとは言い難く室内。ソファの上、膝を抱える幼なじみのほか人気はなく、静かだった]
……レーネ、……………寝てる?
[尋ねるではなく、そうであれば良いと願うよう。
暖炉により、火を起こす。部屋の空気が暖められるまでは、まだかかりそうだった。
いらえの有無に関わらず、片隅に畳まれていた毛布を幼なじみの元に運び、肩にかける。
隣に腰掛けはせず、窓辺に立って外を眺めた]
─外・エルザの墓近辺─
[忘れてくれ、と言うユリアン。視線の動きに、一つ、頷いて。
続けて投げかけられた問いに、薄く、笑む]
……『見つけ』たので。
『成すべき事』を果たす……それだけです。
[返す言葉は淡々として、常とはどこか違う冷たさを帯びる。
実際には、内を巡るものが酷く沸き立つような心地がしていた。
今、口にした言葉は、身の内の力が何よりも欲するものだから。
けれど、それは冷たい笑みにざわ、と毛を逆立てた猫が甲高く鳴く声と、足を叩く感触によって打ち破られる]
─広間─
[体勢も体勢なために僅かばかり意識が落ちていた。意識を戻したのは肩に重みがかかったのに気付いた時]
……ん……。
[膝から顔を上げ、手の甲で目を擦る。かけられた毛布に気付くと、周囲に視線を巡らせ]
………フォル?
[窓辺に立つフォルカーに気付き、声をかけた]
……っ……ああ、ユエ。
大丈夫。大丈夫だから。
さて……ユリくん、ちょっと手伝ってくださいね。
いつまでもこのままにしておいたら、さすがに怒られます。
[不安げな猫に笑いかけ、それから、埋葬のための作業にかかる。
もっとも、身体的な部分はだいぶユリアン頼みになってしまうのだが。
ハインリヒの訪れは、その最中。
動かぬローザと、それを見たユリアンの変化に戸惑いつつ、眠るための場所を用意して]
……小言と突っ込みは、後からな。
そう、遠くなく……直接聞けるだろうから。
[小さく呟いた言葉を、場にいた者はどう聞くか。
翠は静かなまま、内心を物語る事はない]
―一階:広間―
[彼方に向けられた少年のまなこはぼうっとしていて、目に映す光景も見ていないようだった。
かかる声に一度瞬き、上半身を捻る]
起こしちゃった?
[問いかけたあとは、言葉を探して黙り込む]
……………しずか、だね。
……本当に。
見事といえば、見事な状況ですね。
ユエまで含めて、圧倒的に男性ばかりだ。
[野郎ばかり、というハインリヒの言葉に苦笑して]
とにかく、戻りましょうか……やる事、やらないとなりませんし。
[一度、集会場へ戻ろう、と促し、歩き出す。
道すがら、ダーヴィッドの話やローザの見つかった状況などは聞く事ができるか。
それから、集会場に入る前に足を止め]
と、ユリくん、ちょっと先に行っててもらえます?
俺、こちらに大事な話があるので。
[にこり、と笑って。告げるのはこんな言葉。
それに、返る反応はどうだったか。
ともあれ、ハインリヒと二人になると、静かな瞳をそちらへ向ける]
―外―
[こんな時、常の自分だったら如何していたか。
記憶の中を探ってみるけれど、感情に阻まれて答えは見つからない。
ユリアンが問い、オトフリートが答える。
ともすれば霧散しそうな意識を止めつつ、ぼんやりとそれを聞いていた]
――お前…?
[垣間見える笑みは冷たい。
思わず抱いた身に絡み付く蒼は今無く、ただ寒い]
見つけた…?成すべき…ぁあ…エリ兄が…
ってことはオト兄が落雷を落とす人だったんだね
[オトフリートの冷笑を直視するにも複雑で、無視するにもできず、酷く中途半端に見返す。当然ながら落雷関係ありません。]
もち。長い間外にいるだけでも俺極刑ものなのにこれで無視までしたら七代ぐらいは酷い人生を追いそうだからね
[内心では既に七代たっても酷い人生を送るのだろうと思いながらも埋葬のための作業に移り]
そだなぁ…甲斐性のない野郎だらけだ
[野郎ばかりというハインリヒの言葉にこたえる。
当然なのか自分はそこには含めていなかったりする]
ん。わかった。あんま長居しないでな。
俺は俺で整理する…いざ見つけたとかいわれるとどうも上手く頭に入らない。
…というか、その前に、オト兄が見た中で誰が大丈夫な人なの?
[それは見つけるものというオトフリートの言葉と、エーリッヒのことについてというようにしつつも、他の人について誰をみたのか可能ならば聞いてみて。]
じゃ。また
[素直に二人を置いて集会場内に入った]
―→ 集会場廊下―
─広間─
ううん、大丈夫。
[問いかけにはゆるりと首を振った]
……うん、静かだね。
他の人は、外なのかな。
さっき勝手口の外が騒がしかった。
[かけられている毛布を胸の辺りで合わせ、体を包み込む。縹色はフォルカーを見つめ、その後窓の外を見るよに向いた]
─外・集会場前─
まあ、普通に考えれば、そうですよね。
[上手く頭に入らない、というユリアンの言葉に掠めるのは苦笑。
向けられた問いには、一つ、息を吐く]
……残念ながら、もう、ここはいませんよ。
今、眠らせてきました。
[ハインリヒの事には、敢えて触れず、端的に返す。
ヘルミーネの事なのは、これだけでも伝わるか。
ともあれ、ユリアンが集会場へ向かうのは、そのまま見送った]
また、誰か――……………
[所々が曇った窓の向こうに見えるのは、死者の眠る墓のある、針葉樹林とは逆の方角。雪の上に残る足跡は、人の行き来があったことを示していた]
……静かに、なった。
[先と、似た言葉を繰り返す]
もっと、静かに、なるのかな。
さて、では改めて本題に。
今のやり取りからも、お察しいただけるかとは思いますが……見つけました。
[ハインリヒに向き直ると、静かに告げる。
誰を、と問われたなら、返すのは、旅の商人殿、という言葉。
何故そこを確かめたのか、と問われたなら、浮かぶのは苦笑]
……やっぱり、俺は甘いみたいで。
子供たちを疑いきれなかった、って事にしといてください。
……それと。
[ここで一度、言葉を切り。それから、逡巡。
けれど、これは報せておくべき、と思い直して]
[応えは返らず、亡骸は土の中へ。
途中でやって来るハインリヒ。
その腕の中に眠る紅色に、女は目を見張る。
否、視線は恐らくその背後に向けられていたか]
…ローザ?
なんで。
[明るかった少女には似つかわしくない、末路の姿。
気付かれぬように目元を拭い、言葉を紡いだ]
……フォルくんの事、ですけれど。
俺の推測が正しければ……彼もまた、力を持つ者。
だから……気をつけてあげてください。
[昨夜、二人の間にあった事は知らぬ身。
否、知っていたとしても、報せる事が叶うのは彼しかいないから、小声でこう告げた]
……俺は……正直、いつまでいられるか、わからんので。
何かあったら、お願いします。
[やや一方的な言葉に、返されたのはどんな表情か。
ともあれ今は中へ、と促し、集会場の中へと戻った]
―外/墓標の傍―
[『自分』を抱き上げて運ぶハインリヒの後について歩いていけば、ユリアンとオトフリートの姿。
そしてその傍に居るであろうヘルミーネに気づけば、瞬きをふたつみっつ。
もし近くにエルザも居たなら、瞬きの数はさらに増えるだろうか。]
……………。
[何と言って良いか…と逡巡した後。
無言のままで苦笑を零し、小首を傾げてみた]
―二階自室―
[もってきた荷物に触れる。だいたいこの位置にこれがあると決まっているためみなくとも何がどこにあるかわかり、一つ一つ手に取り服に納めるたり、防寒のためのように布を縛ったり、微かな火薬の香りを消すように服を着なおす]
ま、お互い嘘ついてるんならいいよね
[いいわけがないだろうけど今はそう誤魔化した]
ぁーあ。見つかっちゃったと。
…まあいいか。そのほうが
[燻るような熱とともに胃液がせりあがってくるが、それを無理矢理嚥下して]
さーて、エリ兄は部屋の中にいっかなー
[のーんびりとした態度でエーリッヒの部屋へと向かい。そして入る]
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