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─ →翌早朝/書庫前 ─
どうなさいました!
[声をかけながら書庫の前へやって来ると、何かを抱き締めて声を上げるオードリー>>21を見つける。
ウェンディの名を呼ぶ声と、垣間見えた青白い少女の顔に、何が起きたのかを理解した]
ウェンディ嬢……っ。
[明らかにおかしな方向へと曲がっている首に、思わず息を飲む]
(…太陽が狼に飲み込まれて…。
否、今はそんなことを考えている場合では)
[今朝、更なるカードの異変を受けてから、目の前の人物達の周囲を巡るようにタロットカードが見える。
豊穣を司りし女帝が失われた太陽を抱き嘆く様子は、ただその姿を見るよりも胸に深く棘が突き刺さった]
…バーンズ様、お召し物が。
[そこまで言ったが、強制するような声ではなく。
こちらに意識が向くかを確認するように、嘆きに震える肩にそっと手を置く]
[人狼を見つけたことを、今、告げるか否かを悩み。
オードリーがこちらに意識を向けるようなら、ウェンディを部屋へと運ぶことを*提案する*]
うん……ああ、もう。
そんな顔、しないの。
[手を握る感触に、ほんの少し目を細め。
悲痛な表情と、向けられる謝罪に、やれやれ、と。
既に呼吸もなにもないけれど、嘆息するように、言って]
ネリーが謝る事はないよ。
……一番痛かったの、ネリーなんだし。
[どんな傷を受けたのかは知らない、けれど。
養い親の死に様を思えば、それによって感じた苦痛の程は知れたから、こう言って]
だから、謝らなくていいから。
[ね? と言いつつ、緩く首を傾ぐ。
器の束縛を逃れたからか、視界に霞がかかる事はなく。
それに対して、ほんの少しだけ、複雑なものが感じられた]
…だって。
私、死んじゃった、から。
[ヒューバートや、オードリーの顔を見た。
自分のせいで悲しむ人達の姿を、目の当たりにした。
目の前の人も、きっと悲しませた。
同じ立場になってすら、心配させてしまって。]
うう、ん。
私、は。
痛くは、なかったの。
ただ、熱かった、だけ。
[首筋に感じたその熱さも、噴き出た血と共に流れ出ていった。
時間にすれば、きっと数瞬の出来事だったはずで。
だから、身体に感じた苦痛があったとしても極僅かだっただろう。]
…さすがに、普段演技したこと無いのにいきなり演技やろうって思っても無茶な話だわ。うん。
[小さな声での呟きは、返答を期待しない独り言。
若干言い訳じみていたのは否定できないが…]
おにいちゃん、こそ。
むり、しないで。
[どうして、とは聞かない。
聞いたところで何もできないし、ソフィーが口にしないならしないままで良いと思ったから。
ただ、こんな時でも自分を心配してくれる人の手を握ったまま、じっと見上げた。**]
―深夜―
[…狼は、ハーヴェイを襲うべく廊下を歩いていた。
若干の喉の渇きと、非常食の硬パンしか食べていない事から来る空腹が微妙に狼を苛立たせる。
…だから、かもしれない。
何らかの用事で起きてきたのであろうウェンディに、己の姿を目撃されるという失敗を犯したのは。]
・・・あーあ。運が無いね、お嬢ちゃん・・・
悪いけど…ちょっと今夜の狼は狂暴だよ?
[悲鳴を上げようとする少女の首を叩き折って黙らせて、
周囲に人の気配が存在しない事を確認する。
飢えを満たすべく少女の胸に爪を立てようとして、このままでは昨日のように服を汚してしまうと気が付いた。
…静かに服を脱ぎ捨てて、隅の方へと避けて置き。
少女の胸に爪を立て、貪る様に臓腑を喰らう。]
あーぁ。こりゃ、今夜はお預けかなぁ…
[一日に一人しか殺さない。
狼のルールには、従わなくては…]
……それを言ったら、ぼくも同じだし。
[ただ、自分の死は。
人狼による被害とは、また違った翳りを執事に落としそうで、それが怖かった]
そっか、痛くなかったんなら、よかった。
[ふと過ぎったものは押し込めておいて、できる限り穏やかな口調で言って、それから。
見上げながらの言葉に、また、困ったように笑った]
……無理してる、訳じゃないよ。
ただ……どうしていいか、わかんないから……さ。
今、できそうなところから、やってるだけ……。
[考えたって、わかりはしない。
いや──何となく、察するものはある。
彼が訪ねてきた後の、養い親の様子。
時折、違和感を感じた態度。
ただ、それが自分への殺意に繋がるなんて、思いもしなかったから。
それが、戸惑いを呼んで、理解を追いつかせられなくて。
ただ、思うのは]
……ほんとに、なんでこんな事になっちゃったんだろう、ね。
[ぽつり、呟く。
閉ざされた屋敷で音を紡ぐだけの、眼を病んだ小鳥には。
見えていないものが、多すぎた。**]
― ソフィーとの邂逅 ―
まあいい。
ハーヴェイを殺した後は、
暫く大人しくしていろよ。
[我慢が出来るか如何かについては、
以前の声から疑問は残ったが。
そして、男はソフィーが寝かされている部屋へ入る。]
……ソフィー様、…大丈夫ですか?
[室内でぐったりとしている様子に、そう語りかける。]
こんなところより、自室の方が……
[大丈夫だと言われればそこで口を噤んだ。
傍らに膝をつき、そっと手を額に乗せた。熱い。]
ソフィー様。
目が、随分悪くなってないですか。
…………。
[暫く顔を見つめた後、問いかけて。
軽く息をつき、懐から石のようなものを取り出した。]
― ソフィーとの邂逅 ―
この琥珀のお守り、
昔、ソフィー様から頂いたものですよ。
俺よりは、ソフィーに…必要そうだから。
せめて近くに置いていて下さい。
[昔と接する口調は変わってしまったが。
水の置かれたコップの傍に琥珀を置いた。
琥珀の中の斑点は、星のようにも見えて。]
…………。
[もう一度、ソフィーの額に手を乗せ、
そこから、ゆるっと頭を撫でた。]
― ソフィーとの邂逅 ―
今は、ゆっくり眠って下さい。
[ソフィーを如何したいのか、
男自身分かってはいなかった。
全ての始まりは、アーヴァインの死。]
[部屋を退室し、溜息をついた。
ソフィーが殺されるともその時は知らずに。]
………これで、アーヴァイン様の血縁は、
もうハーヴェイ様しかおられませんね……。
[感情の篭らぬ声は、本当に言葉を綴っているだけの声で。
それは酷い状況へ疲れた声にも聞こえるだろうか。
ヒューバートが、男の言葉を意味を
意識出来たかどうかは、知る由はない。]
…………。
埋葬は、
すまない。
[埋葬についてヒューバートが何事か言ったとしても、
その場を去る事を詫び、部屋を退室した。]
[アーヴァインが、ハーヴェイが来る度に
何処か疲れた表情で庭に降り、
庭の花を愛で見ているのを知っていた。
――――]
………、今日の夜だ。人狼。
[ニーナの元を訪れ、告げた。
窓の外を眺めながら、有無を言わさぬ口調で。]
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