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― 庭園 ―
……その心意気や、よし、と言いたいですけど、ね。
[こちらが受けた左肩の傷も熱を持って、力を奪われて行くのが自覚できた。
それを悟られまいと、真っ直ぐにハーヴェイを見た]
終わりに、しましょう……これで!
[踏み込む。
彼がこちらに向けて手を伸ばす、その腕を左手で掴んで……仰向けに引き倒した。
そうして]
異端の獣は、闇にかえるがいい!!
[起き上がろうとした彼の胸、その中心に、剣を突き立てる。
体重を乗せて、深く、深く。
何かを言おうと開かれた口元、抵抗しようと伸ばされた腕。
暫くの間、震えて……やがて、力をなくして、崩れ落ちた]
― 庭園 ―
[動かなくなったのを確認して、剣を引き抜く。
まだ暖かい赤が体を塗らす]
……ああ……
[終わったのだ、と思った。そうして、自身が人を殺めたのだ、ということも]
……申し訳ありません、ハーヴェイさん。
[たった今まで殺しあっていた相手にそう言って、彼の目を閉じる。
彼が人狼だという確信はあった、けれど、実際、証拠はないから。
こんな状況で無く出会えていたら、そう考えて首を振る]
……戻りましょうか…
[そう言って自身の剣を仕舞って、少し考えてから、ハーヴェイの亡骸を抱え上げる。
彼の持っていた刃も彼の胸元に乗せて
そうして、舘へと戻っていく**]
― 前日・食堂→ ―
はいはい、いますよ。今用意しますねー。
[>>4食堂を訪れた人の気配に気づいて顔を出すと、切って焼いた肉とスープ、キッシュを並べた。
>>3ヘンリエッタには具の無いスープと、キッシュ一切れを出しておいたがまるまる残され後で代わりに自分が食べようと思った。ヒューバートもまたきちんと食事を進めている所から、案外人間って図太いもんだなとは再認したりもしたが。
後でユージーンとハーヴェイが食堂を訪れないようなら様子を見に行った。ただ結果を知る為にという理由が大きかったが。そして、ハーヴェイは死んだのかと知る。]
ところでハーヴェイは人狼でしたか?
あとご飯はどうします?
[問いと食事の有無を尋ねて、望みの通りに給仕した。
答えがどうであれ、笑むようすは何時もと変わりはない。]
[何時もと同じように笑いながら、読んでる本のタイトルを横から覗いた。人狼に関しての本らしく、勉強熱心だねと呟きもしたが。]
そういう姿はサマになってるよね。本当に偉い人っぽい。
ところでさ、ラッセル様。
ラッセル様が金持ちだった頃住んでたお屋敷って、壁が白くて部屋が20くらいあって赤い屋根で、庭に盛大に薔薇のアーチ作ってた所じゃない?
いやだったら、私ここに勤める前に、
ラッセル様と顔あわせた事あったかもねーって思い出してさ。
(強盗に入りにね)
[返事はどうだったか。何時ものように軽口の応酬になっても、何かを告げられても、何時も通りに笑って別れて書庫を出た。]
― 翌朝・ラッセルの部屋 ―
[その日はわくわくしながら眠り、懐かしい夢を見た後、何も変化のない部屋にがっかりしながら目を覚ました。平時と変わらない時間に起きて、着替えて出て、竈に火を入れ湯を沸かしてから各部屋を回った。
ラッセルの部屋を回ったのは、何番目になっただろうか。
扉は少し開いていて、そこから慣れた臭いが漏れ鼻を通ると、あららと思わず口から落ちた。
大きく扉を開き、真っすぐ部屋へと踏み込むと、床には倒れた見慣れた顔が。床は血だらけで靴底はまた血の水溜りに汚れされた。倒れた人の傍らに、屈み込む。
そして初めて傷跡を見て目が丸くなった。]
へー、ほんとに人狼だったんだ…。
[傷跡は、ナイフや鈍器の類では無く獣傷。まじまじと眺めて、珍しい玩具にでも触るように、傷跡をつんと触れてみたりもした。指先が真っ赤な物を拾ったので、ラッセルの服の血の付いてない場所になすりつけたが。
さぞ無念な表情でもしていたか。それとも驚いていたか諦めていたか。
開いたままの表情を暫く感慨深げにみていたが。]
それにしても…。
[オードリーの時と同じように、手を翳し瞼を閉じさせ立ち上がる。]
ちょっと期待してたのになー。
残念。
[何をとは言わなかったが。
誰かが来たのなら惨状を見せて、寝台に乗せるなら手伝わずに任せる事にするだろう。なにせか弱い女手ですからと、笑って言いながら**]
― 庭園→屋敷 ―
[ハーヴェイの亡骸を抱えて向かうのは裏口。
流石に玄関を血で汚すのは躊躇われて。
浴室付近の棚から大きめのタオルを探して、未だ落ちる血を受けるために抱えたそれの下に敷く。
そうして、そのまま、二階の客室、ハーヴェイが使っていた部屋まで運んで寝台へと下ろす]
失礼…また後で参ります。
[生前にしていたように一礼して部屋を出る]
― 二階/自身の客室 ―
[自身の手は汚れたままだったから、一度浴室に戻った。
肩の傷を見遣って、手近にあった桶に水を汲み、タオルを一枚とって自身が使っている部屋に戻る。
肩口から流れた血は止まってはおらず、乾いたそれと絡んで服の袖を張り付かせていた。
上衣と下に着ていたセーターを脱いで、肩から腕、張り付いた赤を拭う。
その後で、寝台のシーツを剥がし、引き裂いて、肩に巻きつけて傷を覆い、縛る]
……着替えはないんですよねぇ。
[などと零しながら、結局、汚れたままの衣服をもう一度着なおす。
不快ではあるけれど、黒を基調にしているためそう血の汚れは目立たない、だろう。
そうして、少し考えた後で部屋を後にする]
― 二階/オードリーの客室 ―
[訪れたのはオードリーが眠る部屋。
手にアーヴァインの時のように本と灰とを携えて]
遅くなってしまって申し訳ありません、レディ。
[謝罪の言葉と共に一礼して部屋へ。
行うのは同じような弔いの儀]
……あなたを殺した相手は裁かれました。
だから、どうか安らかに。
[そう言って、部屋を出て、次に向かうのは……]
― 二階/ハーヴェイの客室 ―
[先ほど、亡骸を安置した部屋に戻る。
携えた道具は一度、寝台脇のサイドテーブルに置く]
「死者に罪は無く、全ての生きとし生けるものは神の愛し子」
と言う人もいますから、ね……
お気に召さないかもしれませんけど。
「仕事」ですし?
[ハーヴェイの顔を覗きこんでそう言って。
そうして、表情を消して、行うのはやはり弔いの儀。
それを終えた後、表情を、変える]
― 二階/ハーヴェイの客室 ―
……あなたが人狼だと言う確信はあるのですけど、ね。
でも、それが無くても、私はあなたを殺したでしょう。
私は、護りたかったんですよ……
例え、あなたが人狼で、わたしの力が敵う者ではなかったとしても。
[人狼を見つけるといった、信じてくれたヒューバートを
いつか必ず家を再興すると信じて疑わないラッセルを
家族を亡くして怯えるヘンリエッタを
行動が不可思議でもどこか憎めないネリーを]
……何の躊躇いも無く手に掛ける「あなた」から。
[ふわり、浮かべるのは場違いな笑み]
私は、それと引き換えに死んでもよかったんですよ。
[誰にも聞こえない告白は、そのまま空に消える]
― 二階/ハーヴェイの客室 ―
[人狼である事を最後まで自白しなかったハーヴェイ。
獣の力ではなく、人の力で最後まで向かってきた、彼]
……あなたは、人で居たかったんでしょうか?
それとも、ただ誤魔化すため?
[そこまで言って、バン、と音を立てて、ハーヴェイの顔の脇に手を落とす]
……せめて、尻尾くらい見せてくれればよかったのに。
そうしたら、もう少しすっきりしますのに。
人狼だと、もっとはっきり判ったなら………
姉さんがされたように、もっと切り刻んで差し上げたのに。
[それこそが、人狼は殺すと明言した、本当の、理由]
― 二階/ハーヴェイの客室 ―
[俯いていたのは、ほんの数瞬。
顔を上げれば、いつもの自分自身に戻って]
……まあ、もう過ぎた事ですしね。
[落とす声もいつもどおりに]
……では、失礼いたします……ハーヴェイさん。
[最後は、やはり生前にしていたように声をかけて部屋を出る]
― 二階/廊下 ―
[部屋を出て、少し歩いた所で呼び止められた>>5]
……ヒューバートさん
[恐らく、硬かっただろう表情が少し和らぐ。
何よりも先に、肩口の傷を見咎められて、それには大丈夫と返した。
問われたのは予想通りの事で、こちらも、簡潔に結果を返す]
オードリーさんを殺したのは、やはり彼でした。
……彼は、恐らく人狼です……最後まで自白はしませんでしたけど。
[最後まで、その言葉で結果は知れようか。
自身がそう確信した理由を話して、最後に落とされた言葉には]
……仕方がありません。でも、これで終わるはずです。
[そう言って、その後わずかながらの会話を交わして別れる。
……終わらないとは、その時は思いもしていなかった**]
― 2階・客間 ―
[何があろうと、如何なろうと、夜は必ず明ける。
光差す部屋で男は緩やかに目蓋を持ち上げた]
……眠れて、しまうのだね。
[あれ程に感情が昂ろうとも。
石に奪い去られた精神力を補う為に身体は自衛行動を取る。
ゆっくりと上体を起こし、溜め込んだ呼気を吐き出した。
それからサイドボードへ手を伸ばし]
書く必要も、もう無い……か。
[それでも頁を手繰り、辿り着くふたつの名前の下。
記すのは此方に残されたメイドの名。隣に「人」の一文字]
[其れを、じっと、見下ろす]
― 二階/自身の客室→食堂 ―
[部屋に戻って思い返す。
昔の事、今の事、そして先の事]
……
[そうして、どれくらいの時が過ぎたか
いつもより幾分控えめなネリーの声>>12が、自身を呼ぶのに気付いて立ち上がる。
ドアの外に立つネリーの表情は、心配というよりは興味が勝っていたように見えた。
肩口の破れから見える血の滲みや、衣服に染み付いた臭いから、事の顛末は知れるだろう]
……人狼は殺すべき、と言ったら睨まれましたから、人狼だったんでしょうね。
[相手の口調に合わせて軽く返した。あまり重ければからかわれそうで。
そうして、食事について問われたなら、食堂に向かうと伝えて。
あまり食欲は無かったけれど、出されたものは一通り食べた。
こんな時でも変わらぬ様子に、内心で「強い人だ」と思いながら。
そうして、食べ終えたなら礼を言って部屋へと帰る]
― 二階/自身の客室 ―
[部屋に戻って、ヘンリエッタやラッセルはどうしているだろうと考える。
食堂でラッセルと入れ違ったとは知らず、今日の一件をどう伝えるかと悩んで]
それは、明日にしましょうか……
[肩の傷から来る気だるさと、それ以上の精神的な疲れに意識が負けて。
寝台に横になれば、そう時をおかずに深い眠りへと]
― →翌朝 ―
[目覚めはあまりよくなかった。
それでもどうにか起き上がる。
肩の傷はどうやら落ち着いたようだった。
いつもどおりに各部屋を回るネリーに朝の挨拶をして部屋を出る。
今までどおりの時間が戻ったはず、だった]
― 翌朝/ラッセルの客室 ―
[部屋の扉が開いていた。嫌な既視感。
覗き込めば、既に慣れてしまった臭いとネリーの姿>>17]
まさか、そんな……
[床に転がる姿、残る傷はアーヴァインの傷と同じもので。
声が聞こえたか、ネリーがこちらを招いて、遺骸の側に歩み寄って]
まだ、人狼がいると言うことですか……それとも……
[そんなはずはない、と思う。ハーヴェイが人狼ではない、などと。
沈みかけた思考は、いつもどおりのネリーの様子に引き上げられた]
ああ、このままにはして置けませんね。
[そう言うと、寝台に乗せるなら任せる、と返される。
続いた言葉に思わず目を丸くして、そうして、笑う。
もしかしたら、彼女こそがそうなのかもしれないのに、それは、今は頭に浮かばなかった]
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