─ 広間 ─[広間に入り、真っ直ぐに向かうのはピアノの元。蓋を開け、無言のままに鍵盤に指を落とす。最初に紡ぐのは、これまでも奏でていた鎮魂歌。その旋律が大気に溶けた所で、ふ、と視線を窓越しの空へと向けて] ……さて。 覚えている、かな?[そんな呟きを漏らした後、鎮魂歌とも幻燈歌とも異なる曲を奏で始める。それは、いつかの音楽祭で奏でたもの。場に満ちた音の調和の心地よさに、つい、予定に全くなかった出来たばかりの曲を演奏した事は。果たして、少年の記憶に残るや否や。**]