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[困惑の眼差しでそれを受けて]
何がですかー?
別に、誰かに何かをしてもらおうなんて、考えていませんよ
[くすっと笑って、寮へと戻ってゆく彼を見て。]
[少女の言葉に現実を突きつけられても、
頭では否定していた。
夢ではないと、理解しているのに。
そう彼女に言ったのは、自分だったのに。
逃げようとしても、逃げられるはずはなかった。
ぐるりと校舎を回って、裏庭に。
血の跡が、残されていた。
先日塗り替えたばかりという、
白亜の壁べっとりと、地面には点々と。
鍵の壊されている扉は、非常口だろうか。
それを見ても、さしたる衝撃は受けなかった。
ここは、日常ではないのだから。]
/*
ものすんごい最初の方の、ちっちゃなフラグ解消w
(怖くなる前の)マイコと某女子留学生は、ちょっとタイプが似ているのでしたw
[寮に戻ると、冷蔵庫からツナ缶とミルクを探し出して、子犬に与えた。自分もパンを少し齧って…ふと思い出して、給湯室に向かう。自身の書いたメモはそのままで、冷蔵庫の中の水羊羹も一つしか減ってはいなかった]
………
[抹茶味の缶を一つ取り出し、口にする……苦く冷たい甘さに、*目を閉じた*]
[普段よりも時間をかけてゆっくりと、
廊下を歩みながら、窓の外に視線を移す。
陽は傾いて、地平線へと下りていくところだった。
全てが朱に染まる。
けれど血の赤が消える事はなかった。
あの場を離れて、少し落ち着いたのか。
漸く、痛みが蘇り始めていた。
それが、現実を認識させる]
[シャワーを浴びてさっぱりとする。まとわりついて髪にからまったそれを無理矢理に落した。
髪がばさばさになって気持ちが悪い。
それでも丁寧に、いつものようにケアをして。
そこから出たなら、部屋で少し眠った。]
[だから、だろうか。
手当てをしようという気は、起こらなかった。
痕を追う理由は、わからない。
生存者を見つけようとしているのか、
死者を確認しようとしているのか。
ただ、窓の外の景色を眺めながら、歩み続け、]
―――…あ、
[人影を見つけた。
ヒサタカともマイコとも異なる姿。
「殺されそうだった」、そう言った。
ガラリと、反射的に窓を開けた]
[傷が大体癒えたと確かめた後、ゆっくりと立ち上がる]
……下ろしたばっかりなんだけどなあ、これ……。
[切り裂かれ、変色した紅で黒く染まった胴着に、ぽつりと呟く]
ま、この後使うかどうかもわかんないし……気にしても始まらないか。
[二階の廊下。当然だが、誰も片付けていないそこには、戦いの痕跡が残り。
窓から差し込む残照が、砕けたガラスを煌かせるか]
…………。
[僅かに、目を伏せ。しばし、その場に佇む]
[校舎を振り返ったのは唯の偶然だったのかも知れない。
音に対する感覚は鋭くても、聴覚が人並みはずれて優れている訳では無かったから。
周囲は、窓の開く音さえ聞こえるほど静まり返って居たが、それが耳に届いた訳では無かったのかも知れない。]
[見れば互いに何処かしら傷を追い、血を浴びた姿だ。
それがあまりに非現実的で、風景からかけ離れすぎていて、どこか可笑しくて少し笑った。]
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