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……怪我?
[それが誰の物をさしているのかは、すぐにわかったが]
俺じゃ、無理。ヴィンターならできるが……。
一体、何があったんだ?
[声にこもるのは、僅かな警戒。
ひとまず、腕に抱えたナターリエを草の上に横たえ、その前に立ち位置定める。
その傍らに舞い降りた従魔は、じ、と青年を見つめて]
普段なら聞こえない情報も、今の俺なら運ばれてくるから、な。
あれだけ情報が集まれば、推測も出来る。
聞きたいことはまだある。
多くの力を集め、何をするつもりなのか。
…他にも協力者は居るのか。
……機鋼竜が、その契約を守るつもりがあるのか。
[最後のは聞きたいことと言うよりも、聞いてて浮かんだ、疑問]
やっぱりそうなの。
ならリディさんには納得できる何かがあったというわけよね。
それが何かは貴方にも分かるか知らないけれど。
[軽く息を吐く]
それで無差別。
…さっきのは何か違ったような気もするけれど。
[根拠があるわけじゃない。ただの勘に近いものだが。
そこまで言うと、はふ、と大きく息を吐いた]
だめかな、これじゃもたないや。
[続いたのは普段のような幼さの残る声。
ハインリヒが質問するのに任せて口をつぐむ]
流水の獣と、生命の魔と。
喧嘩したらしくて、その怪我。
……それから。
二人とも、消えた。
[端的に、事実だけを告げる]
其方も、怪我……?
連れて行ったほうが、好い?
[座り込んだまま、ブリジットの言葉に一つ瞬く。
…リディが消えたの? でも、確かに協力はしてたみたいだ。
対峙する赤髪の少女へぼんやりと視線を向ける。
…リディと、ミリィと。…本当に、これでおしまい?
口に出さないまま、じっと翠樹の少女へ視線を向けて。]
白猫殿と、リディのお嬢さん……と。
[そりゃ、どんな状況だ、と思いつつ]
それで……二人は、消えた、と。
[先ほど感じた気配はそれか、と呟いて]
こっちは……まあ、怪我といえば、怪我か。
無理、してくれてね。
[声音に含まれるのは、安堵と、それから、微かな憤り]
その気になれば、二人くらいはまとめて運べるが……。
頼めるなら、ユリアン、部屋まで運んでやってほしいかな。
[まとめて運ぶと、一方が鎖での運搬になるのは秘密です。
それはさておき、この場に起きた事など知らぬが故に。
最後の言葉は、ごく自然に紡がれて]
……無理。得意分野だっけ?
[誰かの言葉を聞いたか、]
[時空の竜へと向けて投げた]
……、
…………わかった。
部屋の場所、教えて。
[沈黙は些か長かったか、][されど][そう紡いだ]
[昏々と眠る私には、何が起こっているのかわかりはせず。
ただ安堵できるぬくもりに揺られて――――]
─屋敷:果樹園─
[温もりが消え、草の匂いに包まれる。
傍らには、私の植えし若木が静かに見守って]
……得意分野って、あのね。
[口をついたのは、ぼやくような声。しかし、否定はできず]
ああ……どうせ俺も、上に行くから、一緒に行きますか。
……広間がなにやら騒がしいようだし、怪我人は安全圏で休ませないと、ね。
[白梟から、広間の様子は伝えられていたからか。
瞬間、声は険しく]
……違った?
[軽口][微かに笑みのいろ]
[僅かな時で失せてしまったけれど]
[雷撃の精を抱きかかえて、]
[白いシャツに][残る][深い緋色]
[それは大した難のようには見えず]
(彼にそれ程の力はあっただろうか?)
わかった、行こう。
[踵を返して歩みだす]
[ハインリヒの言葉にジッとハインリヒを見ていたが]
……前二つは企業秘密。
最後のは、そうだね。あれに一度でも会えば分かるけど。
あれは純粋。少なくとも嘘はつかない。知っているといえば知っているのだろうし、教えるというなら教えてくれるでしょうね。
[あれが、【器のみ】であることは知らないが、感覚的に理解している。まさか、【魂】がすぐ近くに居るとは思いもよらないが。]
……聞きたいことはそれだけ?
違いませんよ、と。
[投げやりに言いつつ、はあ、とため息をつき。
横たえたナターリエを再び抱き上げ、肩に碧を乗せて自分も歩き出す。
同時に、ふと感じる疑問。
今のよに、軽口めいた言葉が、彼から投げられた事はあったかと]
[普段と異なる雰囲気の広間]
[片側の青をゆるりと巡らせて]
[けれど、]
[怪我人を抱えているためか]
[或いは普段通りと言えようか]
[そのまま通り過ぎようと]
[企業秘密。その言葉にはやはりか、と言うような表情。続く言葉には]
…まぁ、その確信がなくばお前が契約に是と言わないか。
だが、奴は力を欲している。
そのためにお前は他の連中を奴の場所に送っている。
そのお前も、力を持っている。
取り込まれない保証は、無いんじゃないか?
この世界に15の属性が揃った理由。
それがここに繋がってるんじゃねぇかと、俺は思ってる。
[機鋼竜の状態はオトフリート達の会話を聞いたが故に頭の中に入っていて。本能的に動いているのであれば、理性たる魂が無い状態のそれが本当に約束を果たすとは思いにくい]
…どうせ聞いても、肝心なところは答えてくれねぇんだろ。
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