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[剣を軽く抜き、己の腕を少し切る
滴り落ちる血。だが痛みで薄れていた意識が少しましになって
イレーネを支えるナターリエを押しのけて、イレーネを抱え上げ]
下に行くぞ。ここから見てるだけじゃ何もできねえし、イレーネの傷もここじゃたいしたことできん
[そういってずかずかと、階段を下る]
[駆ける間に、その姿は風となる。
蒼の風の狼へと。
ヴィント──『風』の名は。
遠い昔の第一の覚醒の際に、瞬間触れた、緋色の世界で。
父が自分を呼んだコトバだったかと。
今更のように、思い出しながら]
『嬢ちゃん邪悪になったなー。俺等の集まりだからショガナイけどヨ。』
「口が悪くないだけマシだ。」
『え、それ俺のこと?旦那ァ?』
「…。」
[傷口を縛られたことで、落ちる雫は少なくなってゆく]
ありが、とう、ございます。
[崩れかけた所もナターリエに支えられた。
もう何度目になってしまうだろう]
…は、い。
あの。下、恐らく、は。
あのまま、じゃ。
[マテウスの言葉にも切れ切れに答える。
遠く聞こえるのは狼の声なのだろうか。
正確に伝えられなくても、彼ならわかってくれるだろうか]
一人で背負い込んではダメよ、イレーネさん。
少し落ち着いて休んだ方がいいわ…
[今はそれは無理な話だとも思ったけれど]
何も聞きません、今は。
理由なんて、きっと本人にしかわからないと思いますもの。
[そして、本人にもわからないのではないか、と]
[木々の間、どれほど駆けたか。
やがて、森の中の異変が目に留まる。
雪の上、何かが引きずられたような、跡。
そこにつく、あかいあと]
……こっち、か?
[呟いて、その先へ。
血の匂いは、更に強くなり、そして]
は、ぁ。
[大きく、息を吐き出す。
白く染まった。
手袋を嵌め、上着を羽織り直す]
ん、……行きます、か。
[一歩ずつ、けれど、なるべく速くと急いで、歩みだす。
手を貸すかと聞かれたけれど、断った]
自分の足で歩いていかないと、いけないんだし。
それに狼の警戒、しておいて下さい。念の、ため。
[乱れる髪を掻きあげ、前をしっかりと合わせる。
寒いのは、気温の低さだけじゃなかった]
/中/
ココロの流れと状況はかなり急だったなぁと反省。
私が頭悪いからですよねorz
連携不足?もっと相談すればよかったのかなぁ…?
とはいえどーやりゃいいのか。あんまり色々思考変えると悪いし…←元々優柔不断。
向いてないのk(おまえ
とりあえず次はまともな人やっとけという話(ぁ
……あ。
[歩みが、止まる。
森の中の、小さな広場に横たわる、銀の身体]
…………。
[何と呼べばいいのか、一瞬、わからなかった。
余りにもたくさんの名前があって、皆違って。
畏怖を抱いたもの、苛立ちを覚えされられたもの、懐いてじゃれついてきたもの。
それら全ての源となるものがいる、とも聞いたけれど、それは知らなかったから]
……ブリス。
[一番呼び慣れた名を、そう、と紡いで。そっと、その近くによる]
大事じゃないなら、どうして探しに行くのさ。
[駆けていく蒼い狼。]
ずるいよね。
あんなに簡単に食べてしまって、平然としていられるんだ。
[ブリジットのほうは見ない。
あくまで淡々と紡がれる、幼い感情。]
ぼくにはきっと殺せなかったのに。
[小さく頷いたイレーネを見て軽く頷き返し]
聞かないでくれるのは助かるな。今そんなに余裕ねえんだよ
[といって、イレーネを抱え、ナターリエを伴い、一階。広間へと下ろし]
見てくる。シスター、イレーネ任すぞ
[端的に告げて、引き止められなければ外へと]
[歩みながら、考える。
誰が殺したのか。
集会場にいた人間に違いない。
アーベルのことを、どう捉えるだろう。
残りたい気持ちもあったけれど、そちらの方が心配で、何より、自分の身体がそう持たないのなんて、よくわかっていた]
本当に、……嫌になる、な。
[月のひかりは絶え間なく降り注いでいるのに、酷く遠い]
[生命が既に絶えているのはわかっていた。
答えがない時点で、それははっきりしていたから。
雪の上の、銀の身体。
それは、既に冷たくて]
……あは。
なんか……寂しい、な。
[小さな呟きが、零れる]
でも、さ。
俺は、お前がいて……お前らがいて、よかったんだ。
……色々、安心してたんだ。
だから……さ。
[広間へと降りて、イレーネを楽な状態で下ろすのを見届けてから、マテウスへと目を向ける]
はい、イレーネさんはお預かりします。
お気をつけて。
[何があるかわからないから、と付け加えて、マテウスを見送る]
[呟きは、緋色の世界の内に零れ。
そして、蒼狼は、そのまま。
その場で目を閉じ、体を丸める]
……さて……これから、先。
俺、どうしますかね、と……。
[死ぬ気はない、けれど。
他者を牙にかけたいと思いもしない、けれど。
システムに抗うために、ここから離れるためには。
どうすればいいのかと。
そんな事を考えつつ、その場でまどろむ。
戻るべきかどうかを決めかねているのもあるが、今は、唯一の同胞と*共にありたくて*]
青年 アーベルが「時間を進める」を選択しました
[リディが何を指しているのか。][ぼんやりと、視界を広げればようやくそれが分かる。]
[蒼狼。近しい兄のようだった人。]
…アベル、は。
ヴィントは、猩を、グリズを、嫌ってた。
私は…。私は。どう、思われてたかなんて、分からない。
[他人の気持ちには元々疎いのも手伝って。][嫌われては居なかった、はずだけれども。]
[殺せなかったと、ずるいという幼く感じる感情には。][少し、考えて。][思い出しながら。][言葉を捜して。]
アベルは。途中で、大切なものを、望みを、変えてしまったから。
[平然としていたかどうか。][赤い世界での彼の様子は、口を噤んだ。]
[彼の心の中を。][代弁する事などできるはずが無かったから。]
[森を抜ける。
狼たちは、襲って来なかった。
白い雪の上に、点々と痕が残されている。
視界に焼きついて残る、赤]
……ブリジットの?
[それだけでは、ないように見えた]
[ナターリエに、頼んだ。と言い残し、外へと向かい、先程外から覗きみていたところに向かう。
雪の上には窓ガラスと、血が飛び散っていて、そしてその中央にミハエルが横たわっている]
…悪い…あそこで仕留められてたら……いや、もしもの話なんてしても仕方ないか
[悲鳴を上げる間もない、本当に一瞬だったのだろう
ミハエルの体は潰され、爪によってかところどころ抉れていて、その亡骸をそっと手で触れる]
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